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源氏物語千年紀ー源氏物語の生まれた宮廷サロン

2008-01-15 18:27:42 | 源氏物語
「源氏物語の時代 一条天皇と妃たちのものがたり」(山本淳子著 朝日選書)
より、中宮定子のサロンとは対照的な彰子中宮の人となりを探ります。

枕草子が書きとった、
雪月花、風雅の世界、
機智に富んだ歌説話の世界、
それは、帝と中宮定子、少納言ら女房たちの知性が作り出した
華やかな宮廷サロンでした。

いっぽう、彰子中宮の宮廷サロンはどうなのでしょう。
「かかやく藤壺」と、「栄花物語」などで称された、といわれますが、
著者は、こんなふうに対比的にみます。
彰子と、道長が選りすぐって集めた女房群団が作り上げた後宮サロンは、
 1.ひけらかしを嫌う(機智とウィットに富む気の利いた会話を良しとする)
 2.上品だが控えめ (華やかでお洒落な風流を重んじる)
カッコ内は定子サロンの特徴、
彰子のほうは、いわば、中宮の品格、なのね。
高貴なお方は、知性をひけらかしにしない、
確かにね、女三の宮のおっとりとして幼いようす、にどこか似てます。

彰子に仕えた紫式部は、
こういう姫君こそ、高貴なお育ちの品性、
と思ったに違いない。
式部は彰子中宮の家庭教師であり、愛読書の作家であったわけで、
保護者のようなあたたかい眼差しを向けていたのでは、
と著者は、推測しています。

彰子は式部に応えて、聡明な女性に成長し、
望月の世の大きな存在になっていくのですね。
長生きをして、曾孫の天皇まで見届けます。
彰子の生涯は、意外に知られてないですよね。



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