紫苑の部屋      

観劇・絵画と音楽・源氏物語      
について語ります        

八月納涼歌舞伎

2015-08-14 22:02:41 | 観劇
勘九郎&巳之助、双方とも父親にだんだんそっくりに!それがうれしい、納涼歌舞伎でした。

第一部
おちくぼ物語
原作の「落窪物語」は、日本中古のシンデレラストーリー、
グリム童話は19世紀ですので、そのおよそ9世紀前の、源氏物語より先立つ文学、
継母によるいじめと継子のサクセスストーリーは古今東西、共通のペーソス、ということね。

古典文学のことばはほとんど現代語ではありますが、
なかなか手ごわい当時の習俗、例えば
垣間見、見染め、歌合、通い婚、
さらりとしかもちゃんと則っていたのは感心しました。
とくに、三ケ日餅、
牛飼の童でも理解していたこと、も含め、よくわかるように説明してましたね。
余談ながら、
左近少将(原作では右近の少将、なぜ左近にする必要があったのでしょう?)
道頼は、実在の藤原道頼がモデルとされるそうで、大鏡では大そう美しい容貌の貴公子、
若くして薨去、その有能さを惜しまれたとか…
原作のほうが面白いのは、阿漕、
舞台では、少将と乳兄弟の帯刀が姫との仲を取りもつようになっていますが、
零落れた姫とはいえ、帯刀はそれほど接近はできないはず、
女房の取り持ち無しでは、けっして実現しないのです。
阿漕、のキャラクターを生かした新しい脚本ができるとまた違った楽しみ方ができることでしょう。

歌舞伎「おちくぼ物語」は宇野信夫作ですが、原作とだいぶ違えてしまっているのうえに、
今回の舞台は、さらに改作がなされているようで、
仕返しがあまりあくどくないようにして、
笑いをとるところに力点があるということですかね。
とれはともかく、さりげなく軽ーく楽しめました。

さて、メインの棒しばり
巳之助さん、おちくぼの帯刀で姿容・声まで三津五郎さんにそっくりなので、びっくりします。
ふしぎですね、急に似てくるものなのでしょうか。
棒しばりの勘九郎さんも、しぐさのひとつひとつがまるで若い時の勘三郎をみている錯覚におちいります。
そして、その二人の棒しばりを世代が交代したんだと改めてかみしめ、
追憶ではなく、新しいコンビとして見れたことがとてもうれしかったのです。

【2015.8.13 観劇 歌舞伎座】★配役⇒2015観劇日誌

最新の画像もっと見る

コメントを投稿