紫苑の部屋      

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市川猿之助十八役早替り

2014-10-12 01:02:49 | 観劇
猿之助はいつも精力的です。
彼は歌舞伎座には出ません、杮落しにも出てないですねー
先代が異端児として、弾き出されたそれを逆手に、
偉業を成し遂げたその精神を受け継いでいるからでしょうね。

そういえば襲名も演舞場でした。
一貫していてかえって気持ちがいい!

宙乗り、早替りの
獨道中五十三驛
文字通り孤軍奮闘
とはいえ、替え玉役をはじめ共演の俳優、タテのお兄さんたち総動員で彼を支える姿が感動ものです。
それは、花道のセリでの失態でもってその場が凍りつく、のを目の当りにして、
余計そう思いました。
あわてた猿之助さんのスタッフを呼ぶ声、黒衣が駆けつけてなにやら指示して、ご本人は花道をひっこむ、
その数分間、なにが起こったのか、亡霊らしき団扇をもった女はなんだったのか、
わからず仕舞いでした。
初日から3日目でしたので、いまはもうすっかり段取りがスムーズだと思いますが…

さてお芝居は
役者澤瀉屋はさておき、  
メインの与八郎、主君の若君、のっとり役の若君、
与八郎妹お松、継母のお三、実は猫の怪  
そして悪役側の江戸兵衛、といった具合に進みます。
いっぺんに登場するわけではないですが、
これだけでも大変、
もっとも脇役はつぎつぎと殺されていく、というか、早変りのための筋書きになっている、
なので、話の筋に説得力なし、いとも簡単に殺される、
とはいえ、それに勝るスペクタル、とくに化け猫の、意表を突いた宙乗り、圧巻です。

五十三次の終点日本橋で、勧善懲悪の結末、
大詰めに、浄瑠璃お半長吉「写書東驛路」
という残りの11役の早変わりが披露されます。
それぞれの役がどうかかわっているか、
とくに先の完結したお芝居とどうつながるのか、一切説明がない。
なので、観客はあまり深く考えない、とにかく早変りを愉しむことに専念、
するしかない、というわけです。
もっとも、浄瑠璃では各人物の関係をうたっているらしい、でも聞こえてこない…
でも、わたしは先の筋のあるお芝居のどたばた、より、
浄瑠璃&舞踊のほうが深く考えずに愉しめる、と思いました。
そしてこちらにはパロディーを愉しむ、という二重の仕掛けがあって、面白い、
いくつわかるかなー、と猿之助さんが投げかけているのですよ。

一瞬のうちに入れ替わる、お半長吉(お染の七役の二人のパロディ、
 本来なら『桂川連理柵』の長右衛門お半の心中)
弁天小僧菊之助の登場のあとは、
芸者雪野、お関、脈絡がさっぱり、
まして、長右衛門女房お絹、ってどこででてきました? 長右衛門いないのに? 
鳶頭亀吉と船頭、いなせなお兄さん、よかったよ!
雷、これは恰好でわかる、
土手の道哲は、うかれ坊主の出で立ちね、富十郎のが思い出される…
 これはちゃんと踊ってほしかったなー
トリはお六、猿之助のはまり役、
 そういえば、お芝居のほうの悪役で江戸兵衛いましたね。、
 
狂言回しの弥次さん喜多さんの設定、グッドアイデアね、
 猿弥&弘太郎コンビ、自然体で役者だねー!
忘れてはならないのは、奴の亀鶴さん、いい味していて、なくてはならない俳優に成長しました、
猿之助一座にコミットする、錦之助とともに、今公演の俳優陣の広がり、大いに歓迎です。

2014.10.6 観劇 於:新橋演舞場


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