紫苑の部屋      

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能楽現在形第2回公演

2006-12-23 21:17:53 | 観劇
第1回は「定家」、シテは片山清司でしたが、ちょっと辛口の批評だったと記憶してます。
第2回の「井筒」、とてもよかったです。
どういうところが、というと、人さまざまでいいと私は思っています。
能を見はじめてまだ一年ちょっと、
演目ごとに、面白かったところがいくつかあって、
鑑賞しているあいだ,ちっとも退屈ではなくて、
また見てみたいなーと思ったら、それはグー、
と思ってきました。
薪能は、その雰囲気だけでいいものです。

さて、現在形の公演、文句なしに面白かった!
理屈じゃなく、観てるだけで楽しかった!
舞囃子「野守」というのが、どういう筋なのか、よくわかりませんが、
一噌幸弘の笛と亀井広忠の大鼓の掛け合いときびきびした大島輝久の素舞(素の舞い)
そのコラボレーション、うん、いけてる!
そして能「井筒」
地謡には必ず重鎮が入ります。友枝昭世。
シテ狩野了一
アイ野村萬斎
役者が一同に揃います。
お能の笛は、最初のピーという張りつめた一声が、一瞬にして能の世界にいざなうのですが、
今日のは落ち着いた控えめでいてジーンと心に沁みていくような音色です。
伊勢物語の井筒、業平と幼なじみの妻、の物語。
愛人のところに通う夜道に夫を案ずる、という美談、あの物語です。
能は、怨念とか、情念とかが高じて成仏できなくなった女を鎮める神事の意味がつよい。
井筒の女も恋しい業平を井戸の水鏡に見て、
自分に業平をのりうつらせてしまうのですから、
業がね、やっぱり強かったのですよね。
内に秘めたままの執着心、嫉妬心などなど。
激しい内なる情念をシテの若さが表現しています。
アイの語りが物語の全容を示してくれて、とてもわかりやすくなっていました。
最後に、現在形のメンバーのトークが楽しかったです。
(12/22観劇)



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