線路端日誌

東海地方の鉄道を中心に、細かいネタからこつこつと。

台湾糖鐡訪問記 その1

2009年01月20日 22時44分38秒 | 鉄道
さきの3連休+1日で、台湾へと出かけていました。サトウキビを農場から工場へと運ぶナローを虎尾というところまで撮影に行く大学の先輩の方についていく、という形の旅行でした。その記録を、見たまま中心ながら2回に分けて書いてみたいと思います。

訪問したのは1月11日(日)でした。前の晩に虎尾市内のホテルに入り、この日は朝6時半に起床しました。台湾は南国であるともいわれるのですが、少し肌寒い朝でした。この旅行中は台湾にも寒波が来ていたようで、テレビニュースをつけると、「低温特報 下探6度」「寒流来襲!低温特報 厳防寒害、老人小心温度突然変化~」などと大騒ぎの様子でした。ただ、朝方寒かったのは放射冷却の影響だったようで、日が高くなるにつれて気温も日本の春並みに上がりました。

虎尾(fuwei)は、台湾中西部の雲林県にある街です。ここに残る、サトウキビを農場から工場へと運ぶナローゲージのトロッコ列車、糖鐡を今回訪れました。この種の列車はかつて台湾の多くの場所で走っていたそうですが、トラックへの輸送転換と台湾における製糖産業自体の衰退によって、現在も残っているのは虎尾一か所の一路線のみとなっているそうです。


朝の街

まず、糖廠の出口へと赴きました。


入れ替え中

小さなDLが入れ替え作業に勤しんでいる様子を、門の外から撮ることができました。その後、列車を牽いて出てくるところを撮ろうと待ち構えていたら、工場の人と思わしきおじさんがなにやらジェスチャーで工場の中、ヤードの入口あたりの事務所前を指差しました。ここまで入って撮ってもいいよ、ということのようで、スクーターで犬走りを走っていくおっちゃんについてぞろぞろと入らせていただきました。このおじさんからは、列車は8時半ごろから2本出てくること、今日の列車は3本あることも教えていただけました。


控え車


三線軌の転轍機

現在は工場と農場(積込み場)を直結する路線しか残っていませんが、かつては台鐡の駅へも線路が延びていたそうです。1,067mmゲージの貨車も糖鐡内へ乗り入れていたらしく、その時代に使われていたと思わしき、両方の貨車を備えた廃車体が放置されていました。もしかしたら今も動くことは動くのかも…


糖廠の煙

聞いた時間までは数十分あり、踏切近くの店で肉まんとパン、豆乳を買って朝食を摂りながら、咲いている花や野良猫を眺めながら待ちました。

8:25、一本目の列車がやってきました。


空車を連ねてやってくる



車体の割に大きなエンジン音の大きな機関車がまず通り過ぎ、続いてミシミシと音を立てて空の貨車が通り過ぎていきます。速度は遅いはずですが、車両が小さいために早く感じられました。

工場を出ると列車は道路との併用軌道区間へ入り、路面トロッコとなります。もっとも、土が積もっているのであまりそんな感じはしません。二本目はここで撮りました。写真のデータによると、8:38。線路近くにたむろする野良犬を警笛で遠ざけて走っていきました。


砂煙を巻き上げて

朝の二本撮影後、台西客運の虎尾バス停へと向かい、そこからタクシーに乗りました。台湾のタクシーはどれも真っ黄色に塗られているのですぐに分ります。龍巌國小(小学校)を通り過ぎた所にある踏切でタクシーを降りると周囲はひたすらサトウキビ畑でした。



降りた地点のすぐそばに踏切小屋がありました。そこの中年女性によると、現在地は12号積込所と13号積込所の間とのことでした。13号積込所へと向かい、踏切からは線路沿いの道を西へと進みます。足元にはサトウキビが落ちていました。列車が落としていったもののようで、手に取ってみるといずれも干からびていました。


さとうきび畑の中

歩いているうちに、遠くに黄色い機関車の姿が見えてきました。こちらに向かってきているので歩くのをやめて待ち受けることに。


工場へ向かう積荷編成時間は9:40

線路わきに土を盛り上げた所があり、そこからサトウキビ畑を入れて撮ってみたつもりだったのですが、いまひとつな構図となってしまいました。列車は左右に揺れながら、ポロポロとサトウキビを落として走っていきました。


落し物

列車が通り過ぎた後、再び線路沿いに歩きます。先ほどまでとは違い、まだ水気の残っているサトウキビがそこかしこに落ちていました。


13号積込所 積込設備


上から見る


廃車体


全景

積込所を嗅ぎまわったのち、ふたたび西へと歩き始めました。もう一本、列車がやってくるという期待を込めてのことで、13号付近から少し歩くと並木道となって、なかなか良い雰囲気。ここで待つことに決まりました。


14-13号積込所にて

待ってはみたのですが、列車はなかなか来ませんでした。列車は必ずしも終点まで走るものばかりではなく、途中で折り返すものもあります。もしかしたら12号以前の積込所で折り返しになっているのかもしれないという可能性もあるため、東の方へと移動を開始することになりました。

先ほどの踏切まで戻ってくると、廃車体利用の踏切番小屋に人の姿はありませんでした。踏切番の人がいなければ、もうその日は列車が走らないということです。

廃線跡などに寄り道しながら線路上を東へ歩き続ける。サトウキビ畑の光景が刈り取りの終った一面茶色の景色に代わった頃、貨車と12号積込所が見えてきました。畑の中の道をダンプカーが砂塵を巻き上げて積込所へと走っていくのも見えてきます。積込み作業の最中ということなので、自然と足が速くなります。


ダンプカー


積込所


積込中

結構な頻度でダンプがやってきては、サトウキビを貨車へと落とし込んでいきます。積込みはなかなか豪快で、塊が一度に落ちると貨車は脱線するのではないかというほどに揺れていました。積込みは1両ごとに行われ、1両が終わるとトラクターで何両にも連なった貨車を押して移動させて次の積込みに備えていました。


満載

写真や動画を撮っているうちに、東からやってくる列車の姿が見えてきました。




工場からの空車が到着


砂埃がすごい

列車が止まるとすぐさま機回しが始まりました。このDIEMAの機関車は意外に速い速度で転線、積込みの終った貨車との連結リンクにピンを落とすや否や、もう発車態勢に入ってエンジンをうならせ始めました。大慌てでカメラをかまえます。


工場へ向け発車


ぞろぞろと

サトウキビを満載した列車は、サトウキビをポロポロ落としながらノッソリと工場へ向かって去っていきました。

列車が出た後も積込み作業はまだ続いていました。今日の列車がもしかしたらまだあるのかもと思って作業員の方に筆談で聞いてみましたが、答えは「没有」。貨車を指差して「明天」とも言われました。どうやらサトウキビを積み込んだら明日まで貨車は放置のようでした。


工場方を望む


空車。貨車は一両ごとに自重が違った

貨車を観察したりした後、虎尾の街へ戻るために歩き始めました。12:40頃でした。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿