「来年」を失わないために。

……来年があるってことは、ものすごく幸せなことやねんで。

ズレータ暴行「事件」について思う

2006年04月24日 | 球界のあれこれ。
実はこの問題については完全にスルーするつもりでした。
何故なら、色んな意味で気分が悪いから。

それに、真っ当なことはすでに色んな人が書いているようですし異口同音な記事を書いても仕方ありません。


暴力は絶対にいけない、なんて当たり前のことはもう書きません。
いけない事だから、世の中には暴力に対する罰則があるのです。

実は本来私が書きたいのはもっと別の事なのですが、まずは「異口同音なことを言っても仕方ない」と言った舌の根も乾かぬうちながらこのあたりについて少々触れてみたいと思います。

せっかくなのでこちらにTBします。
(きょうろぐ企画)どうすれば球場での暴行を無くす事ができるか?
(TBセンターはめたかさんのところ。


・「暴力行為」に対する罰則は「甘い」?

暴力行為に対する罰則が軽すぎるのでは?という件については、野球界全体で「お互い様」というナアナアな空気によるものだと思います。
どこのチームにも、血気盛んそうな選手はいるはずですから、罰則を重くしすぎていつ自分の球団がワリを食う羽目になるかわかりませんから。(うちに限って…というのは通用しません)
つまり、暴力行為に対して「傷害事件にもかかわらず」甘い、というのは野球界全体の問題だと思います。


ここからちょっと本題を逸れます。
参考までに、刑法では
人ノ身体ヲ傷害シタル者ハ十年以下ノ懲役又ハ三十万円以下ノ罰金若クハ科料ニ処ス
ということです。
私はもちろん法律の専門家ではありませんし、どの程度の傷害ならどの程度の刑が適用されるのかまでは調べる元気はありませんが。
こないだの奈良の「騒音おばさん」は(傷害で)1年の実刑判決。

何故ここでそんな『野球とは関係ないところ』での傷害の話を書くかというと、ズレータの暴行について「一般なら立派な傷害犯じゃないか」という言い方をする人が少なからずいるからです。
そんなに一般の傷害と比較して言うなら、実際にはどの程度の刑なのかちょっと見てみようかなと思った次第です。
もちろん、相手(この場合金村投手もしくは日本ハム球団)が被害届を出して刑事告訴すれば刑法によるお裁きを受けることになります。その場合どの程度の刑になるのかは…法律の専門家の方におまかせします。専門家でなくても実際に傷害罪の刑を受けたことがある、もしくは傷害を受けて相手を訴えたことがある人ならもっと詳しいでしょうが。ここはそう深く追求しても仕方ないかなとも思いますし。


一般の傷害では(懲役でなければ)罰金30万円以下かもしれませんが、問題は何万人もの観衆+テレビ視聴者、及びその後のニュースなどで目にする人の多さ、及びプロ野球の試合という公共性の高い舞台で堂々と暴行が行われる、ということ。
リーグ及び球団からの処罰というのはこれに対して実行されるべきでしょう。


本来、罰則を罰則として有効に機能させるなら例えばですが

「暴力行為1回1ヶ月出場停止、再犯は該当シーズン全試合停止」

とかそのくらい重くても構わないと思っています。
残り試合の関係があるので、やっぱり日数指定の方がいいけど。
(罰金についてはあっても無くても意味がないというか、どうせリーグの運営資金の足しにするだけだろうという気がするので罰則としてはオマケのようなものです。金額については前述の刑法の罰金を参考にしたのではないかと思ったり。)

出場停止期間が長ければ違反した選手はチームにも多大な迷惑をかけることにもなりますし、その迷惑に対して球団からさらなる罰則や年俸の査定に影響を与える、外国人選手ならそのまま解雇ということも充分ありえる話です。そのようなペナルティをぶら下げて尚違反するのならそのまま解雇されても誰にも文句は言えないでしょう。

ただし、罰則は本当に「罰する」ことが目的なのではなく、未然に防ぐための抑止力として機能すべきことであって、きちんと(役立たずの会議ではありますが)しかるべき決定機関で基準を決定し、来季からなら来季からと施行する期日を決めなければなりません。



ここから再び脱線して、「今回のズレータ」の件に触れますと。
上記のことから、今回の裁定(出場停止10日)は私は妥当だ、と考えています。
何故なら、それが現在までの判例に基づく裁定だと考えられるからです。
むしろ、これまでの裁定からすれば王監督の述懐のように「意外と重かった」と言うのも現場責任者の実感としては偽らざるところだと思います。

よく引き合いに出されますが、昨年の中日タイロン・ウッズ選手の暴行事件も10日です。
ウッズの場合、以前から「次に危ない球を投げられたら殴る」と予告していたこと、実際にぶつけられてもいないのに殴ったこと。
ズレータの場合は計画性はないものの暴行は2度目であったこと(退場は6回目ですが実際に暴力行為は2回目です。威嚇行為というのがあったので2.5回というべきかもしれませんが。鬼の首をとったように「6回目」を連呼されるものも見ましたが、暴言での退場などと一緒にしてはニュアンスが随分変わります)
そのあたりからプラマイで同程度の日数に落ち着いたものだと思われます。

さらに脱線すると、この記事を書いている最中にも、清原選手がダルビッシュ投手から死球を受けた際に、「今度こういうことがあれば、相手を倒す」という旨の発言をしてさらに物議をかもしています。
これでもし万が一本当に清原選手が暴行に及んだ場合、ウッズと同等の処分になるということでしょうか。
一気に処罰を重くするということが出来ないならば、さらに「意外と重い」ということにしてウッズ以上の処罰を与えるべきでしょうね。

ともあれ、王監督の「意外と重かった」発言で、ソフトバンク球団が暴力行為に対して容認しているとか甘いという意見も見ますが、これは特別王監督やSB球団が、ではなくおそらくどこの球団のどの選手で同じ裁定が出てもペナントを争う現場責任者なら思わず「10日はちょっと重いな…」という感想を持つだろうと思います。冒頭に書いた、「球界全体がお互い様でナアナア」であるということを象徴しているとも思いますが。


ところで、「即解雇させろ」というのを何度か目にしたんですがそれが日本人選手でもそう言えるんでしょうか?
もしどこかのチームの日本人主力選手が暴行事件を起こしたら、それを即解雇しろって、簡単に言えるのかな。
外国人選手だから解雇しろでは哀しい話だと思う。


・暴行の芽をつむことも
実際に「起こってしまった」時の処罰を重くして抑止力として利用するということをこれまで書いてきました。が。
実は私は「人間の理性」というものをあまり信用していません。
ということで処罰を重くすることで一定の抑止力は得られるとは思うものの、それでも暴行を働く者というものは「ゼロ」にはならないのではないか…と思っています。
誰でもいざというときに理性を働かせることが出来るなら世の中の「かっとなってやってしまった」なんて事件はとっくに無くなっているはずですから。

ということで、やはり(すでに他のブログ等で案として提案されていることですが)暴行や乱闘の原因になりやすいプレーに関してルールを変えてゆくなり(危険球の適用範囲を広げるとか)「芽」を摘む工夫も重ねてもらいたいもの。

どの方策でも「これで『ゼロ』になる!」などという万能の策などあるわけがありません。
様々な方向からの「抑止力」を重ねて、限りなく「ゼロ」に近づけていく努力をして欲しいです。





きょうろぐTB企画向けの内容は以上です。
本来なら別記事にすべきなのでしょうが、この問題について記事をいくつも書くのも嫌なので、引き続き、まったく別方向の切り口のことを書こうと思います。

この問題、色々と気分悪いこともあり(主にブログ界の中でのいろいろ)本当にスルーしようと思っていました。
が、ひとつだけどうしても私の気持ちとして言っておきたくなったことがありました。


勿論、ズレータがやってはいけないことをやったという事実は変わりません。
罪の重さも(処罰の重さ軽さに係らず)変わりません。
それをきちんと踏まえた上での話ですが。

私はホークスが好きです。
ぶっちゃけ、Buを除けば12球団で2番目に好きなんじゃないかなと思います。
だから今から思いきり甘いことを書きます。それがむかつく人は読まないで下さい。読んでむかついても責任はとりません。


ズレータが、どんなに素敵な選手だったか、社会貢献活動に熱心で、感激屋さんで、ファンのことが大好きで、福岡のことが大好きで、数々の奇跡を起こして大きな歓喜をファンに与えてきた選手だったかということも、ファンの方ほどではないけれど知っています。ファンの方ならもっとよく知っていると思います。
一昨年に暴行で退場になったあと、昨年は王監督に諭されてブツケられても怪我させられても堪えていたことも知っています。

それを自分でぶちこわして、チームにも迷惑をかけて、他チームのエースに怪我をさせて、止めに入った仲間のことすら目に入らなかった、なんて馬鹿なんだろうって思う。

でも、私はそのことでズレータの今までのことの総てを否定はしたくない。


いつか、私は「選手を叱るのはそのチームのファンにしか出来ない」って書いたことがあります。(実際は本人の周囲の人が叱るんだという現実的な話は置いておいて、です)
愛情を持って叱ること。
そして、そのあとに、彼のことやこのチームのことをよく知りもせずに批判し否定する人たちから守ってあげることも、ファンにしか出来ないのだと思うのです。だって、彼から幸せをもらってきたのはそのファンの人なのだから。
こんな暴力選手のことは嫌いになっちゃった、という人はまあその人の勝手ですが。


私が、どんなに退場回数が多くても、やっぱり暴行で刑事告訴まで検討されちゃったタフィ・ローズを、それでも愛し続けたように。


どんなに馬鹿でも、ズレータが愛しくて、戻ってきて欲しくてたまらない人はきっといっぱいいると思う。それは出場停止で打線に穴があいちゃったよどうしよう、とかそんな次元ではないはずです。

球団は「次やったら解雇」と言っています。当然でしょう。今回即解雇にならなかったことに不満を持っている方もいると思います。
ズレータのそういう人となりを知っているからこそ、前回球団は彼を信頼してくれたのだと思うし、それを裏切ってしまった彼を即刻解雇するという選択肢もあったはずですが(もちろんチーム事情から甘くならざるを得ないという部分はあるにせよ)もう一度信頼して最後のチャンスを与えてくれたものだと思い、今度こそ本当に「二度と」このような行為に至らないよう願います。
地に落ちたイメージを回復するのも大変だと思います。戻ってきてパナマウンガーをやっても、犯罪者扱いして批判する人は多いでしょう。
それを乗り越えて、また大きな歓びを与える側の選手になって欲しい。

そんな風に、思うのです。

※ホークスファンの皆さん、ファンじゃない私が出すぎたことを言って申し訳ありません。

尚、これは
殴られた金村投手が私の贔屓球団の選手じゃないから他人事だと思っているわけではありません。
殴られたのがもし岩隈であっても、もちろん間違いなく激怒はしますが、最終的には私は同じ事を言っていると思います。


ただ、加害者が昨日今日ぽっと出てきて態度も悪いわ働きも悪いわチームにもファンにも社会的にも何の貢献もしてこなかったロクでもない選手なら徹底的に断罪しますよ。そこんとこの判断基準はきちんと線引きが出来ることではなくそれこそ個人個人の中にある、「好き嫌い」も含む気持ちに左右されることです。だから、この考えは誰に押し付ける気もありません。私はこうだと宣言しているに過ぎないということはあらためて書いておきます。

私の野球選手に対する目線は多分に母性に支配されていることが多いのだと思います。
だから悪いことは悪いと叱り飛ばした後に好きな選手を庇うのは当然だと思っているし、庇うのはファンの当然の権利だとも思っています。
「この子は悪くないのよ、相手が悪かったのよ」という盲目的な庇い方は感心できないけど、彼の全人格を否定するような声から庇ってあげることはちっとも恥ずかしいことじゃない。そしてそれは彼のことを一番よく知っている筈のファンにしか本当は出来ないことなんだと思うのです。
ただ、こういう場合に加害者を庇うには、自分も批判されることを覚悟の上でしか出来ませんが。

ズレータに問う“サムライソウル”
筆者は「月間ホークス」などのライターをつとめている人。だから、身内に甘い感覚かもしれない。けれど、ファンにはこういう目線で見てやって欲しい、そんなコラムだった。


※尚、今回の一件で多くのブログなど(ファイターズファン、ホークスファン、それ以外)で様々な方向からの意見を拝見致しましたが、今回はあえてどこの記事も引用・リンクなどはしておりません。「~という意見をよく目にした」といった表現にとどめております。そういう表現は卑怯だと思われる方も中にはいらっしゃるかもしれませんが、特定の個人と論争したり慰めあったりする気はありませんのであえてそうさせていただきました。

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8 コメント

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ありがとうございました (ぼたん)
2006-04-24 20:25:07
ズレータのことはうんと叱ってやりたいと思います

監督・チームメイトそしてファンがどれだけがっかりし

そして行く末を心配したかを しっかりわかって欲しいから
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ちょっと違うんじゃない? (ねこ)
2006-04-24 21:47:48
吉川晃司は書類送検どまりだったはず。



事実を語れない人間が暴\力を語れるのかな?
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ぼたん姐さん (さいん)
2006-04-24 22:36:19
「ホークスファン」でない私が出すぎたことを言って申し訳ありません。

でも私も他チームファンながらズレータのことは好きだったので、このことで全否定されてしまうのはとても悲しかったのです。

真摯に反省しやりなおす姿を見せて欲しいと心から願っています。
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ねこさん (さいん)
2006-04-24 23:50:11
コメントありがとうございます。

あなたの情報も「はず」止まりなんですよね。

確かにきちんとした記録は当たらずに書きましたが、本人が数年前ライブで言った事をこの耳で聞いたので、それを信用していました。

間違っていたならお詫びします。



ということでご指摘もありましたので個人名を出すにもかかわらずウラを取らずに書いた内容を一部削除しました。



ここを削除したところで本文の内容には全く影響ありません。

あしからずご了承下さい。
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しつこいようだけど (ねこ)
2006-04-25 01:34:30
「はず」って書き方が紛らわしかったかも知れないけど、書類送検は公に報道されたから間違いない。



吉川は非を認めてるけど、訴訟を起こされた訳じゃないのに有罪判決はないよ。
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ねこさん (さいん)
2006-04-25 09:44:11
そこまで吉川晃司に絡んでこられるというのは、ファンの方なのでしょうか?

念のため申し上げておくと、私自身吉川晃司の20年来のファンですので彼を誹謗する気は毛頭ありません。

尚、吉川晃司は「執行猶予」ではなく「起訴猶予」だったことがわかりました(彼がライブで言ってたのを鵜呑みにしていました)。一時的にでも不確実な情報を記事に掲載したことを深くお詫びします。

ということでこの前段階で、該当部分(吉川晃司という記述部分はすべて)削除しております。



なお、この記事は本来吉川晃司とは一切関係ない内容の記事ですので、これ以上の吉川に関するコメントはご容赦頂ければ助かります。
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ありがとうございます (愛読者)
2006-04-26 01:10:24
19日のズレータのあの1件以来 

しばらくの間、日課にしていたブログめぐりが出来ないでいました。

今回の件でズレータは批難されて当然だと思いますし、私も暴力を振るうズレータは大嫌いです。

でも、批難の文章を冷静に受け止められる自信がなかったからです。

だって、やっぱりズレータは嫌いにはなれませんし・・・

かばってあげたい気持ちもいっぱいありますから・・・



退場6回=暴力行為6回という認識で書かれてるものを読むのが一番辛かったかも・・・

ですから、さいんさんが書いてくださって、本当に嬉しかったです。



ほんとうにありがとうございます。
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愛読者さん (さいん)
2006-04-26 12:29:32
辛いお気持ちの中、読んで頂いてありがとうござます。

好きな選手でも糾弾せねばならないという気持ちとそれでも庇ってあげたいという気持ちの板挟みになって辛い思いをされている方の胸のうちを思うと、とても心が痛んで…。

もちろん、暴力は許せないと怒る方、金村投手を逆に批難するような過激な意見に憤慨するファイターズファンの方、それぞれの気持ちももちろん察することは出来るものの… 

ぼたんさんや愛読者さんたちのように、心を痛めている方に追い討ちをかけるような記事が非常に多かったのも事実で、それは私にとってもとても悲しいことでした。

愛読者さんたちを含め、私には鷹ファンのお友達がたくさんいるので…。



そんな方に、鷹ファンでなくても私のような考えの人間もいるんですよ、と知って欲しかった。この記事を書いた最大の理由は実はそれです。

少しでも気が楽になる手助けになったなら…それだけでも書いた甲斐があります。ありがとうございました。
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