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癒さぬ傷口が 栄光への入口

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「憑神」

2007-07-26 | エイガ。
見てから2週間だか3週間だか経過してしまった。




実は映画を見たあと、どうにも原作を読まずには収まらない気がしたのだ。
で、結局原作小説を買ってしまった。
読む時間がなかなか取れず、まだ読了はしていない。
しかし、おおよその見当はついてきた。

この映画は、本当に原作に「忠実」に作ろうと試みられたのだろう。

まだ読んでいないラスト部分がどうなっているのかはわからないが半分くらいまで読んだ今の段階で、それを強く感じた。
では、先に原作を読んでいたら、満足のいく映画だったのだろうか…?

すでに先入観が入ってしまったのでどうとも言えない。


ただ、映画を見終わった感想は「残念」だった。

非常に楽しみにしていた映画だったし、役者も好きな顔ぶれ。あらすじなどを見ても面白そう。
なにより、予告がいかにも面白そうだった。
では、何が残念だったんだろう。

私としては珍しいことだと思うが「原作」を読まずにおれなかった。

心底つまらないと思えば原作を読んでみようだなんてまず思わない。
心底楽しめたと思うなら逆にわざわざ原作を読まなくてもいいかと思う。

何が納得いかなかったのかを知りたかったのかもしれない。
この納得いかない感覚が、そもそも原作からしてのものなのか、それとも映像作品としてのものだったのか、それを知りたかったのだ。

原作も監督も、いずれ名の通った先生たちである。
同じ原作と監督のコンビで「鉄道員」という名作(私は見ていないが)も生まれている。
それでも見終わった後の「納得いかない感じ」は何だったのかという疑問は今も私の胸の中にある。



憑神
〔原作〕浅田次郎
〔出演〕妻夫木聡 西田敏行 赤井英和 森迫永依 佐々木蔵之介 香川照之 夏木マリ 他
〔監督〕降旗康男

【以下ネタバレも含みます。未見の方はご注意あれ】

由緒はあるが禄は少ない下級武士の家の、しかも次男坊。
出来は良かったので実家より良いお役の家に養子に出ることは出来たが、ある揉め事で離縁されて家に戻っている。
つまり出戻りで無職のただ飯食らいで、兄夫婦には当然ながら疎まれる。
母が気遣って小遣いをくれるのについ甘えて呑んだくれてしまったりする。
同輩が外国へ留学したりなどして出世していくのを妬ましくも思う。
別所彦四郎はそんなダメ武士として登場する。

その彦四郎が酔った勢いで正体不明の怪しい稲荷社に手を合わせたことで、物語は始まった。

酔った勢いとはいえ、信じてもいないのにわが身の不幸を神頼みでなんとかしてもらおうとしたわけだが、頼んだ神は福の神ならぬ貧乏神。
ただでさえ貧乏な別所家を守るため、そして策謀によって自分を追い出した意趣返しのために「宿替え」という秘法を頼んで元の養子先の家になすりつける。
ほっとしたのもつかの間、次にやってきたのは疫病神。
今度は、ぐうたらでお役目を果たさず武士として上司から難色を示されている兄にその難を振り、兄にとってかわり別所家当主となる。あくまでも、お家存続のために。
しかし、次に死神が来るにいたって、彦四郎はもうそれを他者に押し付けることをよしとはせず、ただ武士にふさわしい死に方がしたいと考えるようになる。

折から幕末の混乱の只中。
徳川の世の中どころか「武士」なんて身分もなくなると噂される中で、彦四郎は頑固に『武士』であり抜こうとする。



前述の通り、途中までではあるが原作を読んだ限りかなり忠実に───勿論細部は違うが───映像化しようとしているしされている作品だとは思う。
だから、映画を見終わった後にこの原作を読み始めた時、あまりにも鮮やかに映画の場面が思い浮かぶものだから少々困ったほどだ。

それはさておいて、正直なところ見終わって最初に感じたのは
「同じ原作の作品を、他の脚本家・他の監督が撮ったらどんな作品になるだろう」
ということだった。
これは監督に対して非常に失礼な感想だとは思う。
が、原作そのものに納得行かない部分が無いとはいわないがそれにしても「役者の力量でなんとか持っている」という印象は拭えない。

西田敏行の「貧乏神」
佐々木蔵ノ介の「別所左兵衛(主人公の兄)」
香川照之の「蕎麦屋の親爺」
と、このあたりである。
彼らの存在感が無ければこの作品、どうなっていたかわからない。

(ちなみに夏木マリの演じる主人公の母は、映画だけなら文句はなかったけれど原作を読むともう少しおっとりとしてふわっと可愛らしいところのある女性のように描かれていたので少しイメージが違ったのかもと思う……がそれは瑣末なことかな。)

見ていて頭を捻りたくなったのが、妻夫木聡や佐藤隆太ら若手が、今まで私は上手いと思ってたのに酷く下手に見えたこと。
子役の森迫永依は子役にしてはかなり達者だと思っていたけれど、「おつや」は見た目は童女、中身は1200年だか生きているベテランの死神という難しい役どころ。少し荷が重かったかな…。

登場人物に感情移入できないのは、役者のせいばかりではないのだろうけど。
いつも書いていることだが、私は物語の登場人物に容易に感情移入するし、涙もろいからちょっとしたことでも泣いてしまう方だ。


「最後の武士」として、
「最後の影武者役」として、
父祖がずっと守り続けてきた「御蔭鎧」を身に纏って、

そして散ってゆく彦四郎。


おいおい、私がここで泣かなきゃどこで泣くんだよと心の中でツッコミつつラストシーンを迎えてしまうわけで。
ありありと泣かせようとしてる場面で私が泣けない作品はどうもいけない。

原作が(おそらく)そうなのだから仕方ないが、将軍の影武者として散ってしまうというのはいささか話が大きくなりすぎで、最初の(悪い意味でなく)みみっちいところからのスケールアップ幅について行けなかったというのもあるかもしれない。




そんなわけで、駄作とは呼びたくないのだが、
やはりこの作品に一言で感想を言うなら
「残念」───と、こうなってしまうのだ。

どこに納得がいかなかったのか、まだ答えはみつからない。
原作を読み終えた後、もしもう一度この作品を見る機会があるなら少しは感想が変わるのだろうか。
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2 Comments

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やっぱり? (りさ・ふぇるなんです)
2007-07-29 13:22:07
これまだ見てないんですが、(原作も読んでない)一連の浅田次郎作品の映画って「良いと思うんだけど、何故か付きまとうがっかりポイント」が必ずあるんですわ。
多分良いところと悪いところの差が激しいからなんでしょうね。
「壬生義士伝」や「鉄道員」はテンポが前半良くて後半だれるのががっかりポイントでした。
逆なら映画館で観るのには良いのにね(^^;
これはやっぱり監督の力量なんでしょうね。
りささん (さいん)
2007-07-30 17:55:35
そうなんですよー。
私この作者のも監督のも映画は見たことが無いのですが…一般に名作みたいに言われてるのでもやっぱそうなんですか。
後半ダレるのがこの監督の難点なんでしょうかね(苦笑)
この作品も、前半は面白かったんですが…。

自分の好みに合う合わないというのもあるのでしょうけど、その基準で言うなら降旗監督は私の好みではなかった、ということになりますわ。

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