思いつくまま

みどりごを殺す「正義」はありや?
パレスチナ占領に反対します--住民を犠牲にして強盗の安全を守る道理がどこにあろう

于建:中国における階級対立(2)

2006-08-28 17:02:49 | 中国異論派選訳
将来の中国社会の衝突の予測と考察

将来のある時期、中国は社会的衝突の多発期に入るであろう。社会的弱者集団である労働者農民大衆と、政治権力と経済的資源を掌握している社会的強者集団の争いがその主な内容である。もしも、効果的な社会的利益表現メカニズムの構築をもって社会の不公平を解決できなければ、社会的弱者の地位におかれた労働者、農民と下層インテリは連合をむすび、社会の主導的地位にあるエリート同盟と対抗するであろう。もし下層連合とエリート同盟との衝突が革命的政権転覆をもたらすことを防ぎたければ、中国社会の核心的価値を再構築し、公正な立憲政治体制を建設しなければならない。

 第1に、中国が労働者農民大衆の権利擁護闘争の社会的衝突多発期に入ると、労使衝突と農地問題衝突が主な衝突原因となるであろう。

 国有企業改革の推進に伴い、社会主義の伝統的意味の労働者は徐々に雇用労働者に変わってゆく。失業者は一定の期間は各種の抗議行動を行うだろうが、大勢は定まっており、どうしようもない。よって、労働者の権利擁護闘争の主体は出稼ぎ労働者をはじめとする雇用労働者と資本の側との衝突へと移ってゆくであろう。そして農村においては、税制改革の進展に伴い、地方政府および強者である資本家集団は現在農村で最も価値のある土地資源を略奪の主要目標とし、農地をめぐる衝突が長い期間続き、土地を失った農民は社会問題の焦点となるであろう。

 第2に、弱者集団となった労働者、農民と下層インテリは連合を実現し、社会の主導的地位を占めるエリート同盟と対抗する可能性がある。それは下記の要素によって決まる。

 1、下層集団の身分的共同性の承認。他の国と違い、中国社会の弱者集団は老人、病者、傷害者にとどまらず、生活の貧困と就業競争において弱者の地位に置かれた広範な労働者と農民である。一般には、現在の労働者と農民は共同の社会的地位と利益を有するが、独立の社会的行動勢力となることは難しいと考えられている。彼らの連合は社会のほかの集団の共同行動への参加なしに実現しない。しかし、そのことは彼らが自己の利益のために闘うことができないとか、彼ら自身に組織能力がないということを意味するものではない。現在労働者と農民という下層集団の中には、一定の社会的関係と組織的動員力を持った社会集団がある。それは退役軍人である。これは非常に独特な社会集団であり、農村に生活する退役軍人だけでも2100万人いる。現在多くの農民負担軽減組織や土地権利擁護組織の中には、退役軍人が重要な役割を果たしている。南部のある地区では、退役軍人がこの独特の身分を生かして連合型の社会的動員を行っている。例えば湖南省のある地区の退役軍人は自称10数万人の「反腐敗部隊」を組織しており、その主なメンバーは失業労働者と貧しい農民と下層インテリであり、「労農連合」を実現したと称している。

 2、大衆連合の言説体系が効果的かどうか。社会の下層にある集団が連合行動を行うには、彼らに合った社会的動員を行う言説の体系が必要である。それを通じて彼らの共同の境遇を認識することは彼らが連合行動を行うための重要な前提条件である。現在の中国の状況から見て、「反腐敗(汚職)」は社会的動員の言説となっている。過去に発生したり現在発生している衝突において、労働者と農民の基本的要求の中にはいずれも「反腐敗」の内容がある。一部の労働者と農民にとっては、彼らの生活の困難の根源は「腐敗」であり、境遇を変えるためには団結して彼らの共同の敵である「腐敗分子」と戦わなくてはならない。彼らは現行体制の中の腐敗現象に不満であるが、将来の社会について明確な展望はなく、ただ汚職反対を通じて自己の生活状況を改善したいのである。

 第3に、下層大衆連合とエリート同盟との衝突が革命的な政権転覆になるのを防ぎたければ、中国社会の核心的価値を再構築し公正な立憲主義政治体制を創らなければならない。

 中国にはすでに大規模な社会運動が発生する基本的条件がそろっている。しかし、現在の労働者農民大衆とエリート集団の間の衝突が社会運動や社会革命になるかは、多くの不確定要因がある。主に次のいくつかの点が問題となる。

 1、最高権力者の「仁政」は既得権益集団の承認を得られるか。かなりの程度、胡錦涛・温家宝の親民新政は下層大衆の承認と賞賛を得ている(訳注:たしかに江沢民との交替当時はかなりの期待があった)。しかし、既得権益集団、とりわけ権力を使って富を築いた者たちの本当の承認を得ているとは限らない。時間の推移に伴って、権力集団内部での分裂が起こるかもしれない。実際、以前も現在も続く中央政府と地方政府の利益争奪ゲームにおいて、中央の権威は徐々に地方共産党政府の利己的主張によって崩されている。しかも、国家や党の幹部が追及する個人的目標は、多くの場合国の目標と衝突する。このことは、経済が開放された社会は、多元的政治秩序がなければ維持することが難しいということを示している。

 2、権力者がいかに労働者農民の権利擁護闘争に対処するか。現在労働者農民の権利擁護闘争は一種の政治的圧力として存在する。もしも、圧力としての限界を越えれば、現在の統治秩序はバランスを失うことになる。とりわけ強まり続ける労働者農民の権利擁護活動を法治システムの中に取り込むことができなければ、各種の社会的衝突事件を引き起こし、社会秩序の混乱をもたらすであろう。そうすれば、権力集団の再編をもたらし、いずれにしてもそうなれば、労働者農民の権利擁護闘争は国家政治レベルの行動に変化するであろう。

 3、中国社会の核心的価値観念が打撃を受け、現在のイデオロギーでは修復不可能になっている。中国の現在の主流社会の核心的価値はすでに大きな変化を遂げている。被統治者が革命を通じて政治制度を変革するという要求もますます合法性がうしなわれている。しかし、そのことは社会の最下層にある民衆に革命の衝動がないということを意味しない。革命期からのイデオロギーはすでに政治的遺産になっており、労働者農民の権利擁護闘争の政治的資源となりうる。
 しかし、政権党にとっては、もし革命期の政治的遺産を財産とみなせば、労働者農民大衆の政権党に対する承認を得ることができ、また現在強化されつつある排他的体制の力を抑えることができる。もちろん、そのためには権力者が政治的な智慧と勇気を以って、労働者農民「解放」の社会的価値を再構築する必要がある。その再構築は多方面にわたるだろうが、一つだけ確かなのは、政権党が政治制度の整備を通じて、労働者農民が自己の利益を代表する組織を作ることを認め、彼らの市民的権利を擁護し、彼らの労働者としての基本的権利を擁護し、全社会の各階層の調和的発展を図ることである。

『鳳凰週刊』2005年第7号(通巻176号)
原文:
http://blog.goo.ne.jp/sinpenzakki/e/
e92e9f818c446415e5555b80aef6be98
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
« 于建:中国における階級対立... | トップ | 梁京:中国陳情制度の欺瞞 »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

中国異論派選訳」カテゴリの最新記事

関連するみんなの記事