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王力雄:チベット独立ロードマップ(4)

2009-02-14 16:17:41 | 中国異論派選訳
王力雄:チベット独立ロードマップ(西蔵独立路線図)

3、チベット問題はなぜ解決しないのか

「官僚集団の民主性」およびその中共党内における作用が分かったら、中国の現行のチベット政策がなぜ変更されないのかが分かる。それは13の省部級以上のチベット関係機関にかかわり、また24の省部級以上の「反分裂」機関にかかわる。中国の状況を知っている人なら皆分かることだが、「上を騙し人民を虐げる」「上に政策あれば下に対策あり」「引き延ばせば大勢が固まる」という手段で、一つの省部級機関が中央の決定を執行しないだけでも、中央はそれをどうにもできないという状況は珍しくない。いわんや24の機関が結託したらお手上げである。

今日の中共指導者の権威は毛沢東や小平とは比べようもない。経歴も功績もなく、カリスマ性もない。彼らはみな官僚出身であり、官僚システムに長年浸っていて、官界のルールを熟知している。逆選抜(訳注:情報の非対称性が存在する状況では、情報優位者は情報劣位者の無知につけ込み、劣悪な財やサービスを良質な財やサービスと称して提供したり、都合の悪い情報を隠してサービスなどの提供を受けようとするインセンティブが働く。そのため、情報劣位者は良質な財やサービス、契約相手などを選択しようとするのであるが、結果的にはその逆の選択が行われているかのような状況に陥ってしまうことがある。このような、取引前に行われる機会主義的行動=モラルに制約されない利己的な行動が、逆選抜である。wikipediaより)の官僚出世階段を上ってきたのに、官僚集団の手練手管を知らないはずがあろうか? 彼らが今とは違う路線に進もうと思っているかどうかはともかく、たとえ思ったとしても、それが難しいことは知っているだろう。彼らは本質的にリーダーではなく、トップまで上り詰めた官僚であり、ほとんど超越性はなく、権力掌握のみが目標であり、限界を超えようとはしない。ゆえに、毛沢東、小平のような独裁者が取りうる決断や自己転換は彼らには望みがたい。今回のチベット事件発生後長い期間中共トップの動きが見られず、すべて「反分裂」機関が自分たちで処理し、今回の事件の特殊性の一つとなった。24の「反分裂」機関は様々な権力をもっている。決定権・武器・言論のすべてを備えており、互いに決定・執行・協力のチェーンを形成しているので、たとえトップリーダーの主宰がなくとも、自分たちで調整し、自分たちで運営できる。

また、今日の中共は自分で作った落とし穴に落ちている。革命党が利益集団に変質し、権力の核心である主権と主権維持の民族主義が唯一の実質的なイデオロギーとなり、挙国体制で行うイデオロギー注入と飽くなき歴史の改ざんは、中国人をしてかつて中国が帝国として占領した領土を「昔から中国に属していた」とあまねく信じ込ませることになった。この状況は「反分裂」官僚たちに「政治的公正」の地位を与え、彼らは民意の支持のもとに、統制しきれない勢力となった。「反分裂」は彼らの盾となるだけでなく、彼らは武器としても使える――誰も彼らに異議を唱えられず、彼らはいつでも攻撃できる。24の「反分裂」機関の連合は、唯一実質的なイデオロギーの高地を占領したことでエネルギーは非常に大きくなり、「党内民衆手続」を使って政変を行いうるほどになった。国家主権防衛に力を尽くさないという名目で彼らと一致しないトップリーダーを罷免するのに簡単に党内党外の民意の支持を取り付けることができる。ゆえに、権力をすべてとみなす中共指導者はこのような脅威を前にして、政敵に弱みを握られ、世論の攻撃を浴びるのを避けるためには、常に左になるとも右にはならず(訳注:批判される立場には立たない)、自分の地位を脅かすような新思考は採用しない。たとえ彼らがこのまま進めばより大きな危機が起きることを分かっていても、彼らにできることは危機の発生時期をできるだけ遅らせることだけである。中共指導者が終身制から輪番制になったことは、表面的には一種の進歩であるが、実際はババ抜き(訳注:原文では「撃鼓伝花」、鼓を鳴らしている間は花を隣に回してゆき、鼓の音が止まったときに花を持っていた人が罰として酒を飲むゲーム)のように地位にあるものが自分の任期中だけの平穏無事を考えることになる。そして危機が後任者の時に爆発しても、それは自分とは無関係である。

ゆえに、国際社会が中国指導者とダライラマの会見を促し、ダライラマが中間レベルをとばして中共リーダーと直接交流することを望み、チベット人エリートが中共高官に手紙で丁重に勧告しても、私が見たところ中国側の本当の決定要因ははっきりしない。チベット問題をどのように解決するかは、中共トップが独断で決められることではない。特殊な状況下では、中共トップはチベット問題についてある種の特殊な処理をするかもしれないが、それは戦術面に限られ、本質に触れるものではない。「反分裂」勢力が中国権力構造においていかに重要かつ広範な地位を占めているかを知れば、中共リーダー個人(たとえそれが開明的なリーダーであったとしても)にチベット問題の解決を期待するのは、現実にそぐわない幻想である。

原文:http://www.minzhuzhongguo.org/Article/sf/200811/20081111105226.shtml
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http://blog.goo.ne.jp/sinpenzakki/e/2ef1cc767204f12eabb9cbd727d91548
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