思考の部屋

日々、思考の世界を追求して思うところを綴る小部屋

鈴虫の音に耳をすまして・音色・本音

2010年10月02日 | ことば

 最近BSハイビジョンで「こんなステキなにっぽんが」の番組で「鈴虫の音に耳をすまして」と題して長野県松川村が紹介されました。

          

 松川村は、1万人が暮らす農業が盛んな村です。私が住む安曇野市のすぐ隣の村で車で5分と掛からないところです。北アルプスの裾に広がる安曇野平に属します。

 番組では、旅人としてミュージシャンの坂本美雨(みう)さんがこの村を訪ねました。この村は別名「鈴虫の村」で、田んぼの稲刈りが始まるころになると、みんなで夜になると提灯を掲げ田んぼに向い鈴虫の声を聴くために出かけます。

 旅人の坂本さんは9歳からニューヨークで育ち、現在は東京を拠点にシンガーソングライターとして活動しています。

 音楽作りに自然のおとから得るものが多いという坂本さん、次のように語っていました。

          

【坂本美雨】
この村は鈴虫の音に耳を傾けて、それをみんなと楽しむという文化があると聞いていて、アメリカだとそういったことは聞かないので、楽しみに来てみました。

この言葉を受けてナレーションの方が

鈴虫などの虫の声に季節の変化や哀愁などを感じ取る日本で生まれた独特の感性。
松川村には息づいています。

と日本的な感性を語っていました。

番組中ではこの鈴虫の音について、

● 一つ一つ違う音色(ねいろ)で奏でる鈴虫。

● 個性豊かな鳴き声(こえ)が響きます。

と表現していました。
 私が今、キーボードを打つときは「鈴虫の『ね』」と打っています。すると自動的にそのように変換してくれます。

 番組中では、登場している村人の人たちは鈴虫の音を、「おと」か「声」と表現していて「ね」は、音色(ねいろ)の時にしか発音していませんでした。

          

 童謡では「あ~うつくしい虫の声」で、「虫の声」という人が多いのではないかと思います、が私はどうも虫の音(ね)が自然です。

 虫の音と書いて、虫の「ね」・「おと」と表現されまた、虫の声(こえ)とも言い「虫の鳴き声」とも表現されます。言います。

 この「音(ね)」ですが、本音を言う・本音を吐くで「本心から出た本当のことば」としても使われます。

ではここで得意の辞書調べです。今朝はベネッセの古語辞典からです。


「ね(音)」【名詞】という古語には、

① 人の声。特に人の鳴き声。
② 動物の鳴き声。
③ 楽器などの音(おと)。

と説明されるのが普通です。

 単音の「ね」という言葉だけだと他には「根」「子」「姉」「値」「寝」「嶺」「「打消しの助動詞の『ね』」「完了の助動詞の『ね』」があり多種多様です。これを解析していきますと私の主張するところのやまと言葉の「もの的思考(動詞的思考)」の世界になって話は長くなりますので、今朝は、この「音」だけに注目します。

「音(ね)」と言う言葉、虫の音があり、本音があり、音色があります。

 音色で音が香りのように漂うものであり、本音で、心まで漂って来るのでしょうか。このような書き方できますと、日本人は付き合いの中で、相手の本音を漂いの中で聞いているようにも思います。

 実に不思議な表現です。

英語では「本音」は、

give oneself away

で当然音は出てきません。

 今朝は不思議な不思議な本音の話でした。 
 
          

 最後に番組で、松川村を「鈴虫の声をいつくしむ心が受け継がれる里です。」と紹介していましたが確かにそうです。

          

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