思考の部屋

日々、思考の世界を追求して思うところを綴る小部屋

神はπに何を隠したのか

2011年05月08日 | つれづれ記

 人は時に何かに取りつかれたように、極めたくなることがあるようです。連休中にNHKで「頭がしびれるテレビ”神はπに何を隠したのか ”」という番組が放送され大変興味を持ちました。今朝はそのことを話題にしたいと思います。

 πというと長野県の南部にある飯田市の食品会社に勤める近藤勇さんという五十代半ばの方を思い出します。

 昨年8月ですが、この近藤さんが、NHKのローカル番組で、円周率πを小数点以下5兆ケタまで計算した人物として紹介されていました。

 「飯田市の男性が世界記録達成」の見出し、やったことがすごいのですが、番組で見た近藤さんは、どこにでもいる普通のおじさんという風貌でした。








(近藤さんが長野高専で使用したPC)



 円周率計算を自宅のPCを使い、筑波大学スーパーコンピューター・T2K筑波システムが2009年に2兆5769億ケタまで計算し世界記録を達成し、その後フランスの技術者がパソコンでさらに約2兆7000億ケタの世界記録を達成したばかりなのに、翌年にはその記録をさらに超える「5兆ケタ」まで計算したというわけです。




(2009年筑波大で2兆5769億ケタを達成した)

 この数値がいかにすごいかが「頭がしびれるテレビ」で放送されたのですが、実に興味をそそられました。円周率といえば、

 円周はと直径の比率は、一定である。

 円の面積は、半径の2乗に比例する。

で、円周をLし、直径をrとすると、L=2πr

 面積をSとするとS=(円周の半分)×(半径)=π(rの2乗)※表記できません。

 π≒3.14

と子どもの頃に教わりましたが、今は「3」と教えたりで、これでいいのかという問題が話題になりました。

 この番組を見ているとどうして「3」でなくせめて「3.14」で教えるべきだと思うようになります。

 さて円周率で思い出すのは、

 光の速度は、1秒間に約30万キロで地球を7周半する。ということを知り地球の半径は6400km、すると地球一周はどのくらいになるのかを計算したり、逆に光の速度が、更に約29万9724km毎時と知り、するとπはどのくらいになるかを計算したことです。を思い出します。

 光の速さいわゆる光速は、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』では、

 光速(こうそく)、光速度(こうそくど)は、光が伝播する速さのことである。真空中における光速の値は正確に 299 792 458 m/s(≒30万キロメートル毎秒)である。つまり、太陽から地球まで約8分20秒、月から地球は、2秒もかからない。俗に「1秒間に地球を7回半回る速さ」とも表現される。一般的に記号cで表される。これはラテン語で速さを意味するceleritasの頭文字である。現代の国際単位系では長さの単位メートルが光速と時間により定義されている。光速度は電磁場の伝播速度でもあり、マクスウェルの方程式で媒質を真空にすると光速が一定となるということが相対性理論の根本原理になっている。

と説明されています。

 ちなみに上記に「1秒間に約30万キロで地球を7周半」で計算するとπは、「3.122125」になります。

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 横道にそれてしまいましたが、「頭がしびれるテレビ」ではπ計算に取りつかれた人々が紹介されました。

 π計算をすることでに何か意味があるかということになります。

 9年前に世界で初めてπ計算をコンピューターで、小数点以下1兆2000ケタの計算に成功した東京大学の金田康正教授は、研究者人生のほとんどをスーパーコンピュータによるπ計算に捧げた人、その金田教授は、スーパーコンピューターといえども誤差があることから、数あるπ計算公式の中の二つのπ計算式でπを計算することで、コンピューターの精度を高めてきました。


(二つの計算式)

 番組の中で金田先生は、数学(π計算も含む)は何に役に立つのかと問われることに対して次のように語っていました。

【金田康正】

 「役に立つ」ということには、

 すぐに役に立つ。
 時間をおいて役に立つ。
 間接的に役に立つ。
 直接的に役に立つ。

があり、この四つの組み合わせで、πの値そのものではなくそれを計算する公式を見つけ、他の数学の理論に結びついたり、現代社会のIT社会に役に立っているインフラの技術の根底を支えている。

 IT社会に役に立つというのは、情報の交換に際して暗号が重要になってきています。その暗号に円周率計算の技術が役に立ち、基本は乱数を使うと次に来るものが過去に扱われたものを利用できないということで、送った情報を読み解くことができないことになります。

 この金田教授の話は、情報の暗号化にとどまらないところがあります。無駄ごと、何が無駄であるのか、求めるところに無駄ごとがあるのか。

 経験を肥やしにせよ! そんな先人の教えがあり、経験は馬鹿をも賢くする、とも言われます。

 必然的にしなければならないことや、自ら欲して行ったこと、今行なっていること。

 無駄と思えばそれまでで、何かを授かりたいものです。

 5兆ケタの計算を行った近藤さんは、「なぜπ計算をするのですか」という質問に、

【近藤 茂】(昨年のNHK番組で)

 「そこに円周率があるから計算します」としか言いようがない。登山と一緒で「そこに山があるから登る」というようなものです。

 その向こうに、またその向こうに何があるか・・・そこが知りたいというのが一つのテーマです。

 見たこともない世界に行ってみたいという、それを円周率に見出しているという・・・一つのロマンかもしれません。



ちなみに5兆ケタの最後の数字は「2」だそうです。



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 今回の「頭がしびれるテレビ」ですが、最後に、πは宇宙空間でも圧倒的な存在感を示しているということで、去年話題を呼んだ「はやぶさ」のプロジェクトメンバーの的川泰宣JAXA名誉教授は、

 πを尊敬するというとおかしいが、宇宙を考えるときにはなくてはならないもの。

と話し、「はやぶさ帰還」におけるπの話をされました。


(はやぶさの軌道計算)


(はやぶさの軌道計算)


(はやぶさの軌道計算・軌道修正でπは必要)



(宇宙からの帰還)

 地球から3億km地点からの帰還は、例えるならば日本から打っ射った矢が地球の裏側のサンパウロにいるテントウムシの黒い点に当てるようなものだそうです。

 その精度を保つのに必要なのが正確なπの値。はやぶさでは小数点以下15桁のπを使用したそうです。


(軌道修正をしないと帰還できない)


(πの必要性)

 とりわけ帰還の際の軌道の修正の最重要になり、πを3.14として計算した時とπを正確な値で計算した時の誤差は0.05%。

 もし3.14で計算すると最終的に15万kmのズレを生じさせるのだそうです。

 地球の直径は約1万2800kmですから絶対に帰還することはできないことになります。

 したがって宇宙飛行士が地球に帰還するための命綱と番組では言っていましたが、納得しました。

 番組の副題が”神はπに何を隠したのか ”ですが大変興味が尽きない話でした。

 π計算の公式には沢山のあります。




(「πの話」岩波化学の本から)


(「πの話」岩波化学の本から)

その中に日本人がいて、和算の先生です。

 計算方法についての発見話は長くなるので掲載しませんが、57歳の時に算盤をはじきながら小数点以下41ケタの数値を出し、当時としては世界的な記録であったということです。





 蓮舫議員の「なぜ1番でなければならないか?」という言葉が話題を呼びましたが、この言葉がいかに、情熱というものをそぐ言葉であるかを実感しました。

 人間の欲望には違いありませんが、その欲望は「神はπに何を隠したのか」の副題にあるように、神が人類に与えた不思議なもののひとつであるわけです。

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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (あざい)
2011-05-20 16:39:00
すごく詳しく説明して下さって、感謝します。
コメントありがとうございます (管理人)
2011-05-21 06:40:35
>あざい様
コメントありがとうございます。
実はこの話には補足したい内容がありました。これもNHKのテレビ番組なのですが、サイエンスZERO「シリーズ細胞の世界(1)」~体をつくる不思議な波2011.4.30教育である数学の公式が細胞分裂、人体の各機関を形造ることに深いかかわりがあることが語られていました。
 この番組では、πには触れていませんが、これもπに深くかかわる話なのです。
 人体の組成は、複雑怪奇に思われますが、単純な公式が深く関わりを持っている。単純な公式といっても素人には難しいのですが面白い話でした。
人間の顔、対象でない (馬 鹿之助)
2011-05-27 23:21:40
 人間の顔も、右、左どちらかが、美しく観える。右より左、または左より右、非対称こそが対象である。それが存在意義であつて、その差異が暗黒物質そのものである。
その通りだと思います。 (管理人)
2011-05-28 06:25:46
>馬 鹿之助様
コメントありがとうございます。
「暗黒物質」とまでは書きませんが(否定するものではありません)、私もそのとうりだと思います。
全てバランスの上に成り立っている (鹿之助)
2011-06-15 21:57:03
宇宙を構成する物すべてが、宇宙の一部の一部まで構成比率に於いて支配されているであろうと思う。発達段階のプロセスにおいて、作用のかけ方によって、受精卵が蛇にも、鳥にもなりうる。それが宇宙?
その通りらしい。 (管理人)
2011-06-16 04:20:07
>鹿之助様
 2011.5.5のNHKサイエンスZERO「シリーズ・細胞の世界(1)体をつくる不思議な波」という番組で、細胞分裂におけるある種の形(各種の生物個体)に分裂していく作用には、ある公式があるという話がありました。その公式はπが関係するのではありませんが数学的な公式に共通する部分がありました。結論的には単純なものだという内容でした。
 いつかこの話を書こうと思っていますが、世の中複雑であるように見えて、実は単純なことなのかもしれません。
 世の中の流れも似たような話で、結論的には人間には業がある、本当は幸せでありたいのが人類共通な話で単純なのですが、自ら複雑にしているのだと思います。
 コメントありがとうございます。
素人ですが、今回の大震災 (鹿之助)
2011-06-17 19:48:46
 今回の大震災も、受精卵が二つになり、四っに成りして、増えていって、もはや隣の細胞との関係だけでなく複合的作用において、複数の地殻が連動した?もはや単純な地殻変動は少なくなるのでは?大きな流れとして、スマトラ沖の地震と一体なのかもしれません。素人の感としては
素人の観 (管理人)
2011-06-18 00:26:47
>鹿之助様
<素人の感としては>
一つの地球。ガイア的に一つの生命とみるならば成長があり老いがあり、急激な発熱もあるかもしれません。安定体温を望んでも人は風邪をひくこともあり、その他の病にもかかります。

 頼るのは投薬等の治療です。宗教とはその投薬にも似ています。

 処方は医師を信頼して行われますが、宗教はいかがなものか。

 しかし、自然と共にある民俗的な伝統にはその病を受け入れる方法があるように思います。

 支配の宗教、選民的な宗教を言うのではありません。

<スマトラ沖の地震と一体なのかもしれません>

 地球上で起こっていることです。離れた話ではなく、折り重なり、含まれる、一つの動きではないかと思います。

 素人の感ですが。
私も見ました。 (General)
2011-08-28 15:36:52
頭がしびれるテレビ見ました。
何回も見ました。録画してみてます。
自分の誕生日も調べました。面白かったです。
より詳しくありがとうございます。
コメントありがとうございます。 (管理人)
2011-08-30 06:02:59
>General 様

 コメントありがとうございます。

 私は元々数学や物理が好きで、時々微積分を解いています。何がそうさせるのか分かりませんが、数学の世界、物理学、自然科学、細胞学・・・・限がありませんが、学びだけは忘れたくないと思います。

普遍性を求める・解の悦び・オイラーの贈物
http://blog.goo.ne.jp/sinanodaimon/e/293e29c5731acd18c75eac5dffde2a5e

にも書きましたが、現在数学に興味をもつ壮年者が多くいるようです。

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