老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

核のゴミ処分場問題

2017年07月19日 21時59分17秒 | 原発関係
 このブログでも再三指摘しているように、原発の使用済み核燃料からプルトニウムなどを取り出した後に出る高レベル放射性廃棄物(いわゆる“核のゴミ”)については、放射能が安全レベルに下がるまでには約10万年を要するため、日本ではガラス固体化して金属などの容気に入れた上で、最終処分場にて地下300m以上の高深度の地下施設に埋設する建て前になっています。

 目下政府が「科学的特性マップ」なるものを策定中で、地質学的に問題のない場所を適地として、その中から最終処分候補地を絞り込むようです。

 7月15日の毎日新聞に、これに関する記事が掲載されていますが、大きな問題点は下記のように思われます。

<候補地の選定について>
◆同新聞によると、最終処分場候補として好ましくない特性として、火山から15km以内/活断層付近/鉱物資源所在地が挙げられていますが、これを外した「適地」は何と国土の70%にも及ぶということです。

◆しかし再三指摘している様に、事は放射性物質と言う人類が簡単に制御できないものであり、想定外と言うような言い訳が許されない、絶対に安全な処理方法でなければならないということです。
容器の安全性や埋設方法などについては専門家の意見を尊重するとしても10万年という人類の記録と記憶もない気が遠くなるような期間の保存という事に対しては、現在のトップレベルの科学水準を持ってしても“100%安全”といえる場所は特定出来ないでしょう。例えば、

・現在の火山学や地震学の知識で、約10万年絶対に安全と言う個所を特定できるのか。
・現在は地下資源と思われていない物質が、将来に鉱物資源となる可能性はないか
という疑問がありますが、何よりも現在の地形になって精々2万年といわれ、色々なプレートがひしめき合い地震/火山の巣窟と言われる日本の10万年後の地形を本当に想定できるのでしょうか

<候補地の絞り込み>
 例え科学的に10万年の保管に耐え得る場所があったとしても、そこを最終処分地として容認する自治体があるか否かです。

◆同新聞によると、最終処分地設定までの大きな流れは、受入れを申し出た候補地については自治体の協力の下で、文献調査(約2年)⇒概要調査(約4年)⇒精密調査(約14年)を実施して最終候補地を絞った上で、施設建設(約10年)⇒操業開始(その後60年後に閉鎖)と100年近くにもなる長期の流れになるようです。

◆果たして、そのような長期にわたり、最終処分地受入れの住民合意が継続されるものでしょうか。
2002年から公募された最終処分場建設に向けての調査受け入れの自治体はなかったので、政府は2015年から安全性を検討した適地から複数の候補地を選んで受入れを打診することにしたようで、第1段階の文献調査を受け入れるだけでも20億円の交付金を出すとの案もあるようです。

◆現在、原発廃棄物の処理工場を受け入れている青森県も、最終処分場は受け入れないとの約束を歴代の政権と結んでいるようですし、今まで手を挙げた自治体の中で高知県東洋町は住民の反対運動で頓挫したようですし、前向きな姿勢を示していた佐賀県玄海町や北海道幌延町などは地下に鉱物資源あるとの理由で不適当なようです。

◆世界的に見ても、最終処分場が決まっているのはフィンランドとスウェーデンだけの様で、『トイレのないマンション』問題が、いよいよ脚光を浴びそうです。(まさ)