大事にしていたもの

あたしだけだったのかな・・・

sweet sweet sweet

2005-03-31 | Weblog
このセミダブルのソファーベットは
あたし達には大きすぎた、いつも手をつないで重なるように寝ていたから・・・

『重ねあう手と手 ほどかないで ふれる胸と胸 離さないで
 時を止めてこのまま 終わらない二人だけのsweet dream』

ドリカムの『sweet sweet sweet』大好きだった曲・・・
まるであたし達の歌の様だった

籐クンは時々歯ぎしりをする、歯をカチカチと鳴らす
あたしは・・・ほらまたやってるよ・・・と彼を起こすと
・・・これは違うんだよ・・・と寝ぼける

すごくいとおしかった、15歳の時の彼の顔の様に・・・
10年前、あの雨の日の放課後に教室のストーブの前で見た顔の様に・・・

あたしは籐クンを抱きしめた
ドリカムの歌の様に・・・


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理解

2005-03-30 | Weblog
籐クンは絡めたあたしの手の指を、一本づつ口に含みキスをしながら言った

・・・俺さー充ちゃんに言われちゃったよー・・・
・・・なんて?・・・
・・・何で彼女がいるのに、千翳と逢ってるの?って・・・
・・・それで?なんて答えたの?・・・
・・・いやぁーそれはお互い理解してる事だしって・・・

『理解してる事』かぁーあたしは、指のキスに酔いながら想っていた・・・

後で充にこの話をしたら、「千翳が好きだから」って言葉、聞きたかったんだって
いくらなんでも、初対面の充に言うとは想わないけどねっ・・・

確かに籐クンに彼女がいても、なんのこだわりもなかった
今が続けばいいなぁー、今こうして一緒にいれればいいと想っていた

これが『理解』なのかなぁ?籐クンも同じ事想っていたの?

あたしと籐クンがこうして逢う事は、別の次元だったよね?・・・

いつの間にかあたし達は、眠りこけてしまった
あたしはいつもの癖で、籐クンに背中を向けて寝てしまっていた

彼はそんなあたしを背中から抱きしめながら寝ていた・・・





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2005-03-29 | Weblog
あたしは恥ずかしいからうつ伏せになった
籐クンはあたしの背中の引っかき傷を見て
・・・あぁー俺、引っかいちゃったかな?・・・と言った

あたしの肌はアレルギーがあるからちょっと引っかいただけで
ミミズ腫れの様になってしまう、直ぐに消えるんだけど

この傷だけは、消えないでほしかったな・・・

それから背中を向けて寝ようとしたら
・・・そっち向かないで・・・とふざけながら背中からあたしを抱きしめ
鎖骨にキスマークを付けようとしていた

その日は肌寒くてあたしが・・・寒いよー・・・と言うと
籐クンは・・・おいで・・・と言って抱きしめてくれる

でもね籐クンに抱きしめられると直ぐに暑くなって布団をはぐと
彼はくすくすと笑って・・・子供みたいだなっ・・・と言った

そしてあたし達は抱き合い、いっぱいキスをした・・・







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素肌

2005-03-28 | Weblog
今日も一緒に寝れるなんて嬉しいなぁー

この日、あたし達は初めて素肌で抱きしめあった・・・

彼はキスをしながら、あたしのパジャマのボタンを、ひとつひとつ丁寧にはずした
そして滑らすように自然にシャツを脱がし、彼もTシャツを脱いだ

籐クンの素肌はとても綺麗だった、鍛えられた体は胸の間に筋肉の線が通っていた
男の人の体を綺麗だと想ったのは、後にも先にもこの時だけだ・・・

あの時の素肌の温もりは忘れない・・あたしは一生忘れない・・・

ホントにあたしの体が溶けてしまいそうだった

彼はあたしの左の胸にキスをした、それだけで気がおかしくなりそうだった

それからあたしの左の胸は特別になってしまった
魔法をかけられたみたく、そこだけ特別になったしまった

あたしの人生の中で、こんなに綺麗に残った夜はこれからも来ないだろう・・・








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月曜日だから

2005-03-28 | Weblog
あたしも籐クンの仲間達と飲んで話をしていた

令奈が次の日言ってた
「籐クンさーやたらと千翳の事気にしてたよー
どこにいる?あいつ飲みすぎてない?とか」

ちょっとしたやきもちなの?なんか嬉しかったなぁ・・・

夜中の3時位にあたし達は帰った、あーあー楽しかったなぁー
籐クンの仲間、あたしは籐クンの好きな物は好き、籐クンの好きな人たちも好き・・・

シャワー済ませ寝ようかな?と思った時、部屋のチャイムが鳴った、4時過ぎてるのに

ドアを開けると籐クンだった
あたしはびっくりして・・・どうしたの?・・・と言った

・・・だって今日、月曜日だから・・・彼は言った

籐クンは車を飛ばしてやって来た・・・

1992年10月26日、月曜日だった

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まだ別れてないんだぁ

2005-03-27 | Weblog
次の月曜日は彼のアメフトチームの飲み会に誘ってくれた
だから一緒に寝れないのかっ・・・

あたしは、令奈と胡桃と充を連れて行った
こんな事は初めてだった、お互いの友達を紹介するみたいな事・・・

チアガールの彼女の事みんな知ってるんでしょう?
なのにあたしなんて行っていいの?

仕事を終えて、渋谷のハンズ近く、彼らがいつも使っているらしいお店だった
体のごっつい人たち20人位いたのかな?籐クンの仲間達・・・

ドサクサに紛れた感じであたし達も飲んで騒いだ

籐クンはあっちの方で誰かと話していた
その中の籐クンの後輩の『ウツボ』と呼ばれ、かわいがられている様な子があたしに言った

「いいですねぇー別れてから何年もたつのに二人とも仲よくて、羨ましいなぁ・・・」
籐クンはあたしの事何て説明したのかな?『昔の彼女』って?

あたしは笑いながら、ウツボを見てウンウンとうなづいた

・・ホントはさぁー、あたし達まだ別れてないんだぁ・・と密かに心の中でつぶやいた・・・

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絶対出来ない

2005-03-26 | Weblog
あたしは京都のガイドブックを買い込み、新幹線の時刻表を見て、旅館を探す

旅館はおもむきのある京都らしい所がいいなぁー
京都にも温泉ってあるの?

浴衣は付いてる?歯ブラシは?
ご飯がおいしくて、二人で食べれる部屋食の旅館がいいなぁ・・・

何着て行こう?靴は何履いて行こう?

京都の後の事は考えもしなかった
だってー彼とエッチしたってのめり込んでいくに決まってる

籐クンと終わりにする事なんて、今のあたしには絶対出来ないもん・・・

そしてあたしは、旅館に予約の電話を入れ新幹線のチケットを2枚買った

友哉には何て言い訳して行こう?
心の奥の半分で、いっそバレテもいいや・・とも想っていた


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あの頃の顔

2005-03-25 | Weblog
この頃のあたしはきっとキラキラしてたんだろうな・・・
今とは全然違う顔してたんだろうな・・・

あたしは裕子に「幸せなんだーー」を連発していたらしい
口にして言わずにいられないほどの気持ちだったのかも知れない

裕子は「何で?籐クンが優しくしてくれるから?」と首をかしげる
そうだよね、裕子は友哉派だった・・友哉はどうなるの?と言いたげだった

友哉ともそれなりにうまく過ごしていた
人は負い目があると相手に対して優しくなれるもので・・・

でもそんな自分を冷静に見下すよりも
籐クンとの幸せな時間、これから行く京都の事で頭がいっぱいだった

あたしは色々と考えていた、だって一生の思い出となる籐クンとの京都だもん
きっと考えてたあたしは、すごく幸せな顔してたんだろうなぁ・・・




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予約

2005-03-24 | Weblog
籐クンはあたしの髪の毛が好きだった、いつも髪を触る

・・・髪、細くてサラサラだねっ・・・あたしも彼に髪を触られるのが好きだった

・・・京都さー、12月の5日、6日はどう?・・・
・・・うん、いいよ予約しなっ、新幹線も指定席にして・・・

・・・指定席も予約出来るんだ・・・
・・・おまえ、何にも知らないのなー・・・笑いながら、子供にするみたくあたしの髪をなぜる

あたしはいつも、彼にしがみつく様に抱きついていた
朝になって籐クンが帰っちゃうのが嫌で、片時も離れるのが嫌で・・・

そんなあたしの事を・・・ひっつき虫みたい・・・と言う

わざと反対側を向き彼から離れたら・・・おいで・・・って子供に言う様に
抱きしめてくれるんだ・・・

朝になって籐クンは、帰る時に寝ているあたしにキスをして出て行った

幸せな時間はあっという間に過ぎてしまう
朝になって、いつもの日常が始まると、あたしは虚しくなる

次の日になるとあたしの事なんて忘れて、日常を送る籐クンを想像してる自分がいる
今のあたしを予想していたかの様に・・・

1992年10月19日、月曜日だった



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愛してる?

2005-03-23 | Weblog
4日後の月曜日、籐クンは夜遅くにやって来た

・・・月曜日が楽しみだなっ・・・
籐クンは言った、あたしも楽しみだった、月曜日・・・

キスの途中、あたしは突然
・・・ねぇー愛してる?・・・と聞いてみた

・・・誰を?・・・籐クンは言った

期待して質問した訳じゃなかったけど、予想外の答えだった

普通この状況でだったらウソでも「愛してるよ」位言ってもいいのに
昔からバカ正直なんだ、この人・・・

・・・彼女を・・・あたしはとっさに、そして冷静にかえした

・・・愛してる時もあるけど、愛してない時もある・・・

多分、相当真面目な彼の答えだった・・あたしの企みに気づいた籐クンは

・・・おまえは?愛してる?・・・と言う
・・・誰を?・・・
・・・彼氏・・・
あたしは彼と同じ答えを言った

籐クンは・・・ずるいなぁ・・・といいながら、あたし達はまたキスをした・・・



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大切な時間

2005-03-22 | Weblog
籐クンは路駐した車を気にしながら
・・・車見てこようかな?あっ今はチョット無理か・・・
と自分を気にしながら恥ずかしそうに言った

・・・俺、原チャリ買おうかな?・・・

そうだよ、そしたら車の心配しないで済むモンねっ

あたしは1分、1秒がこんなにも大切だと想った事はなかった
どうして夜は明けるの?どうして朝になると籐クンは行っちゃうの?

ずっとこうしていようよ・・・籐クン
ずっと抱きしめて、いっぱいキスしよう・・・

あたし全部憶えておきたいから、寝ないんだぁ

こんな大切な時間、寝ちゃうのはもったいなくてがんばってるけど
睡魔には弱かったあたしは朝方寝てしまった

その日、彼はあたしを起こさない様にそっと出て行った

お昼頃、会社に電話をくれて
・・・朝起きて、俺がいなくてびっくりしただろう?・・・って

こんなひと言のために、わざわざ会社から電話くれて嬉しかったんだ
そっと出て行ったの、気づいてたよ、籐クン・・・


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月曜日

2005-03-21 | Weblog
あたし達は、お互いの都合で月曜日に逢う事を決めた

籐クンは、次の日に練習のない曜日
あたしは週一で、皮膚アレルギーの体質改善のための注射を打ちに
病院に行っていたのでその日は午後出社でよかった、前日の曜日で・・・

月曜日の夜は、籐クンがこの部屋にやってくる日と決めた

あたしは土曜、日曜は友哉と過ごし、月曜を心待ちにする
これって『二股』??あたしってこんな事出来る女なんだ・・いやっ違う

籐クンとはエッチしてないし、まだ・・それに心の中は籐クンでいっぱいだったし
でもこんな後ろめたさから、友哉とのいさかいはしていなかった

シーツだって日曜に代えていたし、籐クンが首にキスするから友哉にされると妙に感じちゃう

友哉に「千翳は手をつなぐ時、普通のと絡めるのどっちが好き?」って聞かれた時も
籐クンが絡めるから、友哉には「普通の方かな」なんて言ったし・・・

あたし達はいつも手をつないでねた、朝までずっと・・・
・・・今度こうして歩こうかっ・・・籐クンは言った



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特別

2005-03-20 | Weblog
その夜も一緒に寝た・・・

あたし達は、この間よりもいっぱいキスをした
彼の手が、服の上をすべるようにあたしの体を走る、腰の辺りであたしは彼の手を止めた

初めては京都でと想っていたからだった・・大事な想い出になるから
この部屋ではなく、京都でと想っていたから・・・

あたしはふざけて籐クンの唇を軽く噛んだキスをした

・・・どうして噛むの?・・・と彼が言う
・・・だって好きなんだもん・・・

あたしが噛むキスすると、彼はふざけてキスの途中で
・・・いたっ・・・と言って、今度はあたしの唇を噛むキスをくれる

籐クンはあたしの髪をなぜながら言った

・・・やっぱりお前は俺にとって、特別なんだ・・どうでもいい子だったら
 簡単だけど、お前とは簡単にいかないよ・・・

『特別』、『特別』・・『俺にとって特別』
あたしが生きてく中で・・多分生きてた中で一番の言葉だった・・・

籐クンにとっての『特別』ってなんだったの・・・

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NFL

2005-03-19 | Weblog
11時半に彼はやってきた
・・・ごめん、ごめん、先輩につかまって・・・

そして彼は、こんな夜中に煮詰まったビーフシチューを食べると言った

・・・おいしくないでしょう?・・・

両肘をテーブルについて頬ヅエをしながら、籐クンの食べる様子を見て言った

・・・俺が遅くて煮詰まっちゃったんだもんなっ・・・

なんか籐クンの優しい慰めだった

あたしはホントに友哉に、合鍵を渡さなくてよかったと思っていた
合鍵を渡していたら、いつ来るとも限らないし・・こんな事も出来なかった・・・

・・・アメフトのルール難しくて全然わかんないや・・・

・・・BS映る?今頃NFLやってるから、それ見ながら教えてやるよ・・・

残念ながらチューナー持ってなかった

あたしは2週間後、BSチューナーを買った、NFLを見るために・・・
でも籐クンと一緒に見ることはなかった


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ビーフシチュー

2005-03-18 | Weblog
・・・明日行くよ・・・

・・・なんか手料理ご馳走してよー・・・彼は言った

・・・えーー!わかったー待ってる・・・

電気コンロひとつしかない、この小さいキッチンで何作ろう?
料理は出来ない事もなかったけど・・・

次の日、時間が押しそうだったのであたしは会社から
仕事をしていない、隣駅に住んでいる令奈に電話して
籐クンが来るからビーフシチューの材料を買って来てくれる様にお願いした

夜帰ると、小さいポストの中から溢れる食材に笑ったっけ・・・
いつもの材料のほかにフランスパンに赤ワインとフルーツ・・完璧だった

あたしはまな板を置くスペースもないキッチンでビーフシチューを作り彼を待った
籐クンは11時をすぎても来なかった・・・

あたしは小さいキッチンに座り込み
シチューに入れて残った赤ワインを飲み干していた

また約束破られたのかな?籐クンもう来ないのかな?

コンロには・・煮詰まったビーフシチューが出来ていた・・・

1992年10月15日、25才の秋だった







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