カメラを片手に

オオバオオヤマレンゲが咲く

深夜の9.6℃が最低気温で、久しぶりに寒さを感じる曇り空の朝、連れ合いは
ついエアコンをONにしたほど。
でも予報通り昼前には雲は消えるも、最高気温は午後2時前の19.1℃で、から
っとした五月晴れの天候になった奈良です。
 *五月晴れ、旧暦の6月の梅雨の晴れ間を指す言葉だが、近年は新暦の5月
  のよく晴れた日としても使われることがある。 
      14時、18.1℃、33%

若草山の芝、写真でも一重目から二重目、かなり緑が濃くなってきている。

ふと鼻をかすめる甘い香りが漂ってきた。
見れば多分「オオバオオヤマレンゲ・大葉大山蓮華」の白い花が下向きに
咲いている。モクレン科モクレン属・マグノリアの落葉低木です。
      5/9

花被片は白色、9~12枚、3枚ずつ輪生し、雌蕊は約10個、特徴は多数の
雄蕊が紫紅色葯も赤色とされる。
花言葉は 「変わらぬ愛」「永遠の愛」「秘めた情熱」 です。
      5/9

写真は、大峰・弥山から八経ヶ岳への登り口の群生地に咲くオオヤマレンゲ
雄蕊は多数でらせん状につき、花糸と葯隔は淡赤色、葯は淡黄緑色から白色
(オレンジ色)とされ雄蕊が赤紫色である点で異なる。
      2014.7.26

オオヤマレンゲの分布の謎が明らかになる論文を見つけました。
Subspecies divergence and pronounced phylogenetic incongruence in the East-
Asia-endemic shrub Magnolia sieboldii、2020年9月にAnnals of Botany 
(東アジア固有低木オオヤマレンゲに見られた亜種間分化および系統的矛盾)
国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所
  菊地 賢(北海道支所)、大曽根 陽子(森林総合研究所PD)

登山者に「天女花」として人気のあるオオヤマレンゲは、標高1000~2000mに
生育するモクレン属の落葉低木です。亜高山帯に自生することから涼しい場所
を好むと思われますが、分布の北限は北関東で、なぜかそれより北方には分布
しません。また、オオヤマレンゲは大陸では中国南東部に隔離分布する一方
で、近隣の朝鮮半島には亜種のオオバオオヤマレンゲが分布するという、生物
地理学的に不思議な分布をしています。そこで、オオヤマレンゲとオオバオオ
ヤマレンゲの系統分化と分布の変遷注)について解析を行なった結果、2つの
亜種は300~400万年前頃の古い時代に分化した後、およそ100万年前に交雑
し、西日本のオオヤマレンゲ集団にオオバオオヤマレンゲの遺伝子が混じった
可能性が高いことが明らかとなりました。また、どちらの亜種も雨の多い地域
を好みますが、オオヤマレンゲが北日本に分布しないのは夏に雨が比較的少な
い気候を好まないためであること、オオバオオヤマレンゲは冬の乾燥に耐えら
れるために朝鮮半島に分布しているらしいことも分かりました。一方、どちら
の亜種も約7~1万年前の最終氷期には分布域を暖かい南方に大きく変化させる
のではなく、低標高域に移動することで生き延びてきたことも分かりました。
以上の結果は、日本列島の森林生物相が大陸とも関連しながら進化したことを
示すとともに、南北で異なる気候や複雑な地形が森林生物多様性の維持に寄与
してきた可能性を示唆するものです。このように生物種の分化過程や多様な生
物種が維持される仕組みを解明することは、日本列島の生物多様性の保全に役
立つ知見となります。
オオヤマレンゲの系統分化の模式図 

結論)オオヤマレンゲとオオバオオヤマレンゲは、古い時代に分化し、その後
、氷河期に朝鮮半島と九州が陸橋でつながったときに交雑し、西日本のオオヤ
マレンゲに遺伝子が混じったと考えられます。
 


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