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群馬の田舎から情報発信!

『笑う警官』(佐々木譲)

2009-01-24 21:00:21 | 読書日記
 札幌市内のアパートで、女性の変死体が発見された。遺体の女性は北海道警察本部生活安全部の水村朝美巡査と判明。容疑者となった交際相手は、同じ本部に所属する津久井巡査部長だった。やがて津久井に対する射殺命令がでてしまう。捜査から外された所轄署の佐伯警部補は、かつて、おとり捜査で組んだことのある津久井の潔白を証明するために有志たちとともに、極秘裡に捜査を始めたのだったが…。

 警察小説というと、どこか重厚で陰湿なイメージがあります。この作品も前半は、誰か見方か誰が裏切り者か分からず、サスペンス調に話が進みます。しかし、後半になると一転、騙し合い、裏の裏をかく駆け引きをしながら仲間を議事堂になんとか入れようとする話は、手に汗握るハードボイルド調になります。
 一度生死を分けるような仕事を一緒にやった仲間を信じ続ける主人公の男気は何ともニクい。

 「警察組織はそこまでするか?」という箇所もないわけでもないですが、実際の事件を基に小説化されているとのこと。現実の社会にも不可思議な事があるものです。


 

『のぼうの城』(和田竜)

2009-01-24 19:57:41 | 読書日記
 人の魅力とは何か?何が人を惹き付けるのか?
 
 乱世を生き延びるためには「何でもする」という時代の中で、「愛情」「仁」から出てくる”素直さ”・”真っ直ぐさ”に人々は魅かれるのではないだろうか?

 人間一人でできることは限られている。物事を成そうと思えば、多くの人の協力が必要になる場面がある。だからかこ乱世のリーダーには人望が必要なのでしょう。

 ”でくのぼう”の意味で「のぼう様」と呼ばれる主人公も、決して馬鹿にされているわけではなく、親しまれてそう呼ばれている。そんな関係から、戦乱になっても、「あの人を助けてあげなければいけないよなあ」という空気が流れる。

 不思議なキャラクターである。従来の戦国時代の小説には決して現れないキャラクターだと思います。
 脇を固める登場人物をそれぞれキャラがたっていて、何とも華やかな歴史小説です。
 
 

『生物と無生物のあいだ』(福岡伸一)

2009-01-24 19:39:40 | 読書日記
 「生命とは何か?それは自己複製を行うシステムである。20世紀の生命科学が到達した答えがこれだった。」

 著者は「生命とは動的平衡にある流れである」という認識。
 「生物が生きている限り、栄養学的要求とは無関係に、生体高分子も低分子代謝物質もともに変化して止まない。生命とは代謝の持続的変化であり、この変化こそが生命の真の姿である。」

 正直なところ、本書の内容の1割も理解できなかったかもしれません。しかし、
基礎学問を日夜研究してる研究者の生活、研究の面白さ・苦しさ、成功時の知的興奮など、知らない世界を楽しませてもらいました。

 こういった専門分野の内容を素人にも分かり易く伝えることは難しいと思いますが、著者がこんなにも面白く文章にできるその技量に感嘆です。

 読みかじった内容を「○○なんだってさ」とちょっと他人に話してみたくなる内容でした。(できないけど・・・)