世界の詩最新事情

毎月1回原則として第3土曜日に世界の最新の詩を紹介いたします。アジア、ラテンアメリカ、中国語圏、欧米の4つに分け紹介。

第18回 トゥラシ・ディワサ(TULASI DIWASA)―ネパール連邦民主共和国― 森井 香衣訳

2018-09-19 05:48:28 | 日記
ネパールを代表する民俗学者、文化人、詩人、作家。数々の国から招聘され、日本を含む各国で客員教授を務める。芸術院永年会員、国際委員。国内外に広く詩、論文を多数発表し、ネパールの民話、詩集等7冊を出版、16冊の民俗に関する本、6つのDVDを編纂。ネパール民俗学学会、ネパール創作協会設立、会長。 王立ゴルカ・ダクシン・バフ大賞、ディンカール国際文学賞、マドラス国際詩人賞、他、多々受賞。ネパール民俗学、文化、文学への優れた業績により、ネパール政府文化省より、国民英才賞受賞。


色づいた声の行進

青い声
空に飛び降り
青い海に流れる
赤い声
殉教者の血から現れ
乾きながら
シャクナゲの花に 零れる
黄色い声
夕暮の地平線から少しずつ消えて
整然と咲いているマリーゴールドの中で
身を沈める
白い声
雲の遮りから溶け出して
凍てつく
高く聳えるヒマラヤ山脈の心
緑色の声
驚いて
常緑の生い茂る森から逃げ出し
切り立った山の崖を通り過ぎ
裸の丘は、涙もでない土手とともに引き抜かれる
農地からでさえ
緑の移ろいに下り
海の底へ
緑の沈殿物を積み上げる
黒い声
心の伝染病に罹り,
思想の不毛と
良心の失墜 が
溢れる粗野な闇に打ち寄せている
暗いトンネルを通りー逆巻く
時代の氾濫する川
僕は
一つの声を探していたのだが
錯綜する声のなかで
自分の声そのものを失った
そして、家に帰った
何一つ声のない、静けさと孤独。
この色づいた声の行進 に
関わった後では
時代に翻弄された聖なる一つの色の駆け引きは
この静かな僕の帰郷なのだ
僕の悟り
あるいは、もう一つの壮大な断念への支度!
この無色の躊躇いのように
僕は、一つの継続的な無言の結論に、声をあげている。



木―心に映る姿


タポヴァン*の中心で
時折
瞑想の恍惚にいる木々と一緒に立って
木々が話す言葉で、木々に話しかけている
僕自身が一本の木であるように
一つの啓示が僕に来るー永遠、そして
古代は、
木々と人間の関係だ!
だから、いつも
人間には、何本かの木があり
木には、小さな人間がいる。
だが、最近、僕は分った
人間の中の木は、ゆっくりと
蒼ざめ、枯れていく
木の中にいる人間は
生き生きとしているのに!
そして、僕は、又、分かった
一本の木の中で成長していく人間は、
一人の人間の中で成長していく木よりも
ずっと高くなることを!

*瞑想の為の一本の美しい木で、カトマンズ近郊にあり、ラジニーシ・アシュラムの家もある。
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