短歌散文企画 砕氷船

短歌にまつわる散文を掲載いたします。短歌の週は毎週第1土曜日です。

第2回 はいとこたえる 柳本々々

2017-04-28 14:44:57 | 日記
これはいい? ときくと、
まあそれはいい、というので
ひろって、かごにいれる。

かご、どうしたの、ときみがいうので、
ひろったんだ、とこたえる。
星のふる丘で。

「星のふる丘で」はうそをついている。
うそをつかないでねおねがいだから、
ときみからいわれる。

これもひろっちゃっていいかな? ときくと、
まあいいかなそれも、というので
ひろってコートのポケットにいれる。

まさかそのトレンチもひろったんじゃないでしょう?
ときかれたので、
ある日森のなかで、
とわたしはこたえる。

「ある日森のなかで」がうそで、
おねがいだからうそはつかないでねはやくかえってきてね、というきみのことばをおもいだす。

こんなんはどうだろう、ふやふやしているひかるもの
とわたしはきみにきく。

どうかな、ときみがいう。

わたしは、またうそをつきそうになる。

うそはつきたくなかったから、わたしは、

  星ひろう。なんでもひろわないでねときみにいわれる。「はい」とこたえる。  柳本々々
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 第1回 煮込まれてゆく言葉... | トップ | 第3回 「石は建てないがい... »

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事