連載エッセイ しとせいかつ 第4回 紙上の標本から、いつか世界をうつすものへ 亜久津歩 2015年04月09日 | エッセイ 劇的な読書体験から詩作を始めたという話をしばしば聞くが、わたしはそうではなかった。読書量の少なさを恥じつつも劣等感を動機に読み漁るのは無粋に思え、必然性のある、または直感的な巡り合いの到来を待ち焦がれている。運命的と言い換えることもできる。存外、ロマンチストなのだ。そして怠け者である。 さてここに、ウンメイテキに出逢い、今も家族のように居る一冊がある。「私の好きな詩人」でも書いた、谷郁雄著『自分 . . . 本文を読む