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介護と福祉、医療を考える

前文京区議会議員の鹿倉泰祐です。
介護難民・医療難民が生まれるのは何故か。
介護と福祉、医療について考える。

書評「生活保護申請マニュアル」

2009-02-27 11:52:41 | Weblog
書評「本当に困った人のための 生活保護申請マニュアル」湯浅誠 同文舘出版

著者略歴は、自立生活サポートセンターもやい事務局長とあるが、最近では日比谷公園での「年越し派遣村」の“村長”と言ったほうが、わかりやすいでしょうか。

この本の面白いところは、「生活保護申請マニュアル」とありますが、役所といものがどういうものか、生活に困っている人に役所がどのような対応をするのかが、具体的に書かれていることです。

だから、目次をみても“申請マニュアル”らしくない。
例えば、2章は「まず、敵を知ることから始めよう」となっていますし、3章は、「相談員のあらゆる攻撃に対応する」、5章も「福祉事務所はあなたの主戦場だ!」等と過激?な章立てとなっています。

2003年の東京都の福祉事務所にあった生活保護申請件数は、4万714件、その内、生活保護開始は4万289件とされています。単純計算すると開始率は99.0%。

 しかし、著者は「背後にどれだけの生活保護の要件を満たしているのに追い返された人たちがいたか。それは想像してみるしかない。ちなみに、同じ年の面接相談の延べ件数は22万1307件である。」としています。

著者は「そもそも申請ができないなんて、聞いたことあります?」と問います。
そして、読者に「ところがあるんだな、一つだけ。それが、福祉事務所における生活保護申請だ。これは申請させない。申請させないことに体張ってるようなところだ。

 信じられないかもしれないが、事実だ。」と説明し、「嘘だと思うなら、ためしに福祉事務所に行って、生活保護の申請用紙を探してみるといい。」と読者に語ります。

だから申請用紙をお願いしますと頼んでも、その申請用紙を渡してくれない場合が多々あるので、その場合の対策を教えてくれている。福祉事務所で申請用紙すら渡してくれない場合どうするか?あきらめてそのまま帰るのか?

 著者は、「自分で申請書を作ればいいのだ。」と驚きの知恵を授けてくれます。

つまり「生活保護の申請は要式行為ではない。つまり、書式はない。自分で勝手に作って提出すれば、それで立派に申請したことになる。」
申請書を出した以上、「生活保護を申請したといおう事実は立派に残り、福祉事務所には原則として14日以内に決定しなければいけないという義務が残る」と具体的に戦い方を教えてくれています。

却下された場合でも、不服審査を行うことや再申請を行うことなど、事細かに書かれています。もちろん対決する場合ばかりではなく、穏当に手続きも進めることも教えてくれているので、いろんな場合に対応できます。

でも重要なのは決定打をしっかりと持って相談に行くこと。これが本当に重要だということは、経験を積んだからいえることだと思う。
著者も「本書の想定問答は、すべて実体験に基づいている。」としている。

 さて、皆さん!自分の近くに生活に困っている人がいたら、この本に書かれていることを頭に入れて、手助けができるかもしれません。
 今、生活に困っていない方でも、いつか役に立つことがあるかも知れません。
一読の価値ありです。