水道橋のFtarri(2017/7/5)。
■ 大城真+永井千恵
Makoto Oshiro 大城真 (self-made instruments)
Chie Nagai 永井千恵 (voice, objects)
虫の鳴き声かノイズかというような小さな音を、大城さんは奇妙な楽器類から発してゆく。スピーカーの中心に紐が結わえられ、天井へとつなげられている。また爆弾にも見える発振体。一方の永井さんも声が声としていかに成り立つのかを見極めるかのように、トライアルを続ける。ときに缶や風船を弄んだりもして。
中盤に、大城さんが大きな電子音を発するスピーカーをあちこちに置き始めた。その盛り上がりとともに永井さんも切り裂くような声を発し、ふたりの音が見事にシンクロした。
■ アルフレート・23・ハルト
Alfred 23 Harth (cl, bcl, vo)
さて主催のヨシュア・ヴァイツェルさんが何と紹介するのかと楽しみにしていたら、23は「ドライウントツヴァンツィヒ」ではなく「にじゅうさん」!
ハルトのパフォーマンスは、楽器の朝顔で壁を擦り、向こう側に語り掛けるところから始まった。それは実は、となりの神社にいる「狐さん」に向けられたものなのだった(てっきりドイツ語なので「Hi volks」と言っているのかと思ったのだが、あとでヨシュアさんが「ちがうよ、foxだよ」と教えてくれた。もっとも隣の神社は金毘羅さんではあるのだが)。
パフォーマンスは短めに区切られ、次に、クラリネット自体を擦り、そして、クラ、バスクラ、クラを順に吹いた。クラに再度持ち替えたときには、なんと、トランペットのマウスピースを装着した。面白い人である。
クラもバスクラも音がなかなか多彩であり、間合いをはかりがたい独特のユーモアとともに発した。
■ 二コラ・ハイン+ヨシュア・ヴァイツェル+中村としまる
Nicola Hein (g)
Joshua Weitzel (三味線)
Toshimaru Nakamura 中村としまる (no-input mixing board)
二コラ・ハインはギターをギターでないものであるように扱う。モーターで回る円盤で弦を擦り、鉄板や手でギターをばしばしと容赦なくスラップし、リズムや弦の不連続性を敢えて無視したひとつながりのものとしてサウンドを創っているようにみえた。
それに対し、ヨシュア・ヴァイツェルの三味線は、楽器が本来もつコードからの逸脱もあり、中村としまるの波のようなパルスとともに、ハインの創出するエクトプラズム的な連続体を揺るがさんとしていた。
ヨシュアさんはこの翌日のライヴを最後に、いったん日本を離れてカッセルに戻るそうである。
Fuji X-E2、XF35mmF1.4
●中村としまる
Spontaneous Ensemble vol.7@東北沢OTOOTO(2017年)
中村としまる+沼田順『The First Album』(2017年)
内田静男+橋本孝之、中村としまる+沼田順@神保町試聴室(2017年)