那覇市外の南、豊見城市との間に、漫湖干潟がある。国場川と饒波川との合流するところで、名前とは違って湖ではないが、汽水域である。沖縄本島でラムサール条約の登録湿地に指定されているのはここだけだ。もっとも、他にも大事な干潟・湿地はたくさんある。(東京湾でラムサール条約に登録された場所が谷津干潟だけ、というのと同様。)
近くには「漫湖水鳥・湿地センター」があり、まずは満潮時に足を運んだ。クロツラヘラサギという貴重な鳥の剥製があったり、地図や展示が工夫してあってとても良い感じの場所だった。2階には双眼鏡が並べられていて、バードウォッチングができるようになっている。 なんだか行徳の野鳥観察舎と似ている。職員の方も親切で、みんな缶バッジをもらってしまった。
時期的には鳥が少ないようで、ダイサギやダイシャクシギを見つけた程度。改めて干潮時に出かけた。漫湖公園から干潟に下りることができるようになっていて、マングローブや生き物をじろじろ観察した。息子の夏休みの自由研究も兼ねて、なのだ。
カニはやはりうじゃうじゃいる。白いシオマネキ、爪が赤いヤエヤマシオマネキ。いつまでも片手で潮を招いているのは愛嬌がある。もちろん近づくと一斉に姿を隠す。トビハゼも敏捷である。
マングローブは、このあたりはメヒルギが多いようで、胎生種子(泥に刺さったところで発芽する)が「漂木」(牧野富太郎)の通り漂っていた。
干潮時の漫湖 FUJI GW680III、Kodak VC400、ネガプリント
ヤエヤマヒルギ FUJI GW680III、Kodak VC400、ネガプリント
メヒルギの胎生種子 Leica M4、Biogon 35mmF2、Rollei Retro400、イルフォードMG IV RC、2号
シオマネキ
ヤエヤマシオマネキ
トビハゼ
シオマネキの動きは見ていて飽きない。デジカメで動画を撮ってみた。
>> シオマネキの動画(15秒)
夜にだけ花を咲かせるサガリバナも、広い意味ではマングローブに含まれる。帰り道に奥武山公園の駅まで漫湖公園を歩いていたら見つけた(もちろん咲く前)。これはこれで嬉しかったのだが、数日後、那覇の街路樹として咲いているサガリバナを見つけたときには、ちょっと感激してしまった。
開花を待つサガリバナ Leica M4、Biogon 35mmF2、Rollei Retro400、イルフォードMG IV RC、2号
ところで、7月25、26の土日に豊見城市の豊崎ビーチでハーリーの大会が開かれていた。ハーリーの発祥が漫湖だという由来にあやかって、昨年から復活させているイベントということだ。タクシーで「ハーリーやっているらしいので・・・」と話すと、普通は終わっている、もう季節外れだねと言われてしまった。
豊見城のハーリー FUJI GW680III、TMAX400、イルフォードMG IV RC、2号
豊見城のハーリー Leica M4、Biogon 35mmF2、Rollei Retro400、イルフォードMG IV RC、2号
●沖縄の干潟
○糸満のイノー、大度海岸
○泡瀬干潟の埋立に関する報道
○泡瀬干潟の埋め立てを止めさせるための署名
○泡瀬干潟における犯罪的な蛮行は続く 小屋敷琢己『<干潟の思想>という可能性』を読む
○またここでも公然の暴力が・・・泡瀬干潟が土で埋められる
○救え沖縄・泡瀬干潟とサンゴ礁の海 小橋川共男写真展
●マングローブ
○科学映像館の熱帯林の映像(胎生種子が下の泥に突き刺さる)
○荒俣宏・安井仁『木精狩り』(ヒルギ=「漂木」=「干る木」)
○島尾ミホ・石牟礼道子『ヤポネシアの海辺から』(海辺のヒルギ、染物に使う)
○沖縄県東村・慶佐次のヒルギ
○沖縄県東村のサガリバナ(下がり花)
○那覇のサガリバナ(下がり花)(那覇でも街路樹になっている)
●三番瀬
○三番瀬を巡る混沌と不安 『地域環境の再生と円卓会議』
○三番瀬の海苔
○三番瀬は新知事のもとどうなるか、塩浜の護岸はどうなるか
○三番瀬(5) 『海辺再生』
○猫実川河口
○三番瀬(4) 子どもと塩づくり
○三番瀬(3) 何だか不公平なブックレット
○三番瀬(2) 観察会
○三番瀬(1) 観察会
○『青べか物語』は面白い
●東京湾の他の干潟
○盤洲干潟 (千葉県木更津市)
○盤洲干潟の写真集 平野耕作『キサラヅ―共生限界:1998-2002』
○江戸川放水路の泥干潟 (千葉県市川市)
○新浜湖干潟(行徳・野鳥保護区)
●その他
○加藤真『日本の渚』(良書!)
○『海辺の環境学』 海辺の人為(人の手を加えることについて)
○下村兼史『或日の干潟』(有明海や三番瀬の映像)
○『有明海の干潟漁』(有明海の驚異的な漁法)
○理系的にすっきり 本川達雄『サンゴとサンゴ礁のはなし』(良書!)