尾崎哲夫『英単語500でわかる現代アメリカ』(朝日新書、2008年)を、kobo touchで読む。TOEICの試験もあるし、と、さもしい気持ちで買ったものである。米国の時事ネタを解説しつつ、そのキーワードになる英単語を併記するというスタイルだ。
何しろ4年前、オバマ大統領誕生前夜だ。当時の盛り上がりは記憶に新しいような、もう昔の話になってしまったような。
本書も、冒頭を「2008年の大統領選」と題して、その経緯や背景について書いている。そんなわけで、バラク・オバマ、ヒラリー・クリントン、ジョン・マケインの生い立ちやキャラクターなどを紹介しているのだが、やはり時代の熱気があるせいか、まるで英雄譚になっているのは仕方がない。
その後は、「アメリカの政治制度」、「アメリカの司法制度」、「アメリカの政治風土」、「人種問題」、「ポリティカル・コレクトネス」、「アメリカ人とは?」、「中絶論争と女性の権利」、「同性愛をどう見るか」、「建国「以前」から現代まで」、「星条旗の歴史」、「国歌の歴史」、「道路と交通」、「ITが変えた生活」、「アメリカの音楽」と続く。通読すると、忘れていたことや、へええと驚いてしまうようなことも多い。
それにしても、米国は、生まれも育ちも面倒で困ったちゃんなんだな、と痛感する。もっとも、それは各国各様であるけれど。
英単語も、普段の仕事や雑談では使わないボキャブラリーであるだけに、なかなか勉強になる(だからこそ覚えられない)。微妙な言葉の使い分けも面白い。例えば、同じ「道」であっても、street、avenue、boulevard、sidewalk、lane、alley、rowはどう違うか、など。
TOEIC対策になるかどうかは置いておいても、米国を俯瞰するひとつの本として良いのではないかと思う。今度の大統領選後にでも改訂すれば、また読み応えがある本になるに違いない。
●参照
○成澤宗男『オバマの危険 新政権の隠された本性』を読む
○ワールド・サキソフォン・カルテット『Yes We Can』
私の本を宣伝していただきありがとうございました。
こちらこそ勉強になりました。
オバマ再選を踏まえての新版も期待します。