Sightsong

自縄自縛日記

ゆんたく高江、『ゆんたんざ沖縄』

2008-04-29 23:56:50 | 沖縄

高円寺で、高江のヘリパッド問題をアピールしているというので、足を運んだ。それにしても、学生時代はすこしだけ「中央線な人」でもあったので、たまにこのような猥雑でゆるい街に行くと、なんとも言えない気分になる。(あまり高円寺には縁がなかったが。)

会場は、高円寺北口の北中通り、「素人の乱」という企画でいくつもの店をやっているひとつで、エンジョイ★北中ホール(仮)という、雑居ビルにある小さいイベントスペースだ。何が問題なのかを示そうとするパネルや、高江の写真がたくさん貼られていた。

まず自己紹介をしたり、おかわり自由のカレーをよそったり、という時間があったが、進めかたが激しくユルく(笑)、まあ予定時間を大幅に超えての雑談である。このようなあり方がマルチチュードなのだと主張している人もいた。ノリで来ているような人も含め、漠然とした意識は共通しているようにおもえた。

そのあとに上映された映画『ゆんたんざ沖縄』(西山正啓、1987年)は、以前から観たかった記録だ。「ゆんたんざ」は「読谷山」、読谷村を舞台にしている。

映画は、彫刻家・金城実さんが沖縄に到着するところからはじまる。チビチリガマの横に造る平和の像のイメージとするため、集団自決の体験者たちに話を聴く。また、丸木位里・俊夫妻が、「沖縄戦の図」作成のため、山内徳信読谷村長(現・参議院議員)から沖縄戦の実態について話を聴き、さらに集団自決の生き残りである知花カマドさんにモデルになってもらって筆を走らせるシーンなどが記録されている。

こういったことをどう受け止めるかについて、知花昌一さんが語っている―――集団自決に関して文献で学習はしたが、実際に体験者に会ってみると迫真性がまるで異なる。チビチリガマに近づくと泣き出してしまい、身体がいうことを聴かない方もいる。体験のない自分たちの世代は、体験者の声をこじ開けて聴いた以上、それを引き受けなければならない―――という。実際に、チビチリガマで慰霊のため、遺族の方々が遺骨を掘って集めている場面などは、当事者たちの気持ちをごくわずか汲んだだけで、痛くてたまらない。

後半は、日の丸・君が代強制の情勢にあって、卒業式での国旗掲揚に断固として反対する高校生たちの姿が捉えられている。高校の校長は、地元住民の署名や多くの声にも関わらず、「教育指導要領に従うのが仕事だ」として、国旗をあくまで掲げようとする。それに対して、ある女子学生は、「誰が賛成したのですか」「嫌です」と泣きながら日の丸を奪い、外のどぶで汚してから校外に投げ捨てる。他の学生が、「どうしても心の奥底で、国旗は戦争と結びついている。」「他の国の人々に認めてもらえるような国旗になってから、使えばよい。」といった意見を出していたのが印象的だった。

映画が撮られてから20年が経過しているわけだが、まったく状況が変わっていないどころか、軍事や教育に関するものは悪化し、同時に私たちの感覚の麻痺も進んでいるようにおもえるのが恐ろしいところだ。

●参考
基地景と「まーみなー」
読谷村 登り窯、チビチリガマ


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8 コメント

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Unknown (24wacky)
2008-04-30 12:31:22
あの女子学生による日の丸どぶ捨ては衝撃的でした。

『ゆんたんざ沖縄』と高江をどう結びつけてゆんたくしたのか興味があります。
Unknown (Sightsong)
2008-04-30 23:28:47
24wackyさん
衝撃的ですね。去年の沖縄県民大会での発言や東村でのアクションなど、生徒・学生の主張はあるのでしょうが、実のところ、教育や住環境を経た内面の衝動はどう変化しているのかを知りたいと思います。
ゆんたくは、とりあえずは場の共有、なのでしょうかね。私は遠いので22時ころで切り上げて帰りましたが、そのあと盛り上がったかもしれません。それまでは隣の人たちとのお話。
Unknown (知花竜海)
2009-11-29 08:50:35
はじめまして、Peace Music Festaというイベントを主催しておりますミュージシャンの知花竜海と申します。いつもブログ楽しく拝見させて頂いております。
この度、読谷村にて、映画ゆんたんざ沖縄の上映会を行うことになり、ネットで検索していた所、この文章に出会いました。
映画の内容が分かりやすく紹介されているため、是非上映会の告知に引用させて頂きたく思いコメントさせて頂きました。メールがどこから送れるか分からなかった為、ブログコメントでの報告になりますが、何卒ご了承願いたいと思います。



Unknown (Sightsong)
2009-11-29 11:52:50
知花竜海さん
読谷でゆんたんざ、良いイベントですね。引用了解です。少しでもお役に立てれば嬉しいです。
Peace Music Festaも、タイミングがあえば観に行きたかったのですが。
Unknown (知花竜海)
2009-11-30 01:37:36
Sightsongさま

ありがとうございます!
上映会は12/6日です。
早速以下のように使用させて頂きました。
http://peacemusic.ti-da.net/e2628621.html


Unknown (Sightsong)
2009-11-30 07:10:57
知花竜海さん
また米軍基地の存在価値が議論されている今、軍隊なるもののいびつさを問うきっかけですね(いつもそうかもしれませんが)。
ひとりでも多くの方が駆けつけると良いですね。私ももう一回観たいところです。
Unknown (大木晴子)
2010-05-12 11:58:35
私も『ゆんたんざ沖縄』もう一度みたいです。今年の一月に金城実さんそして監督も一緒に高江で観ることが出来ました。
映画の中に丸木美術館に関わっている者として「沖縄戦の図」を描かれている丸木夫妻の登場に感動しました。4月25日の県民大会には俊さんが描かれた鳩の絵の丸木美術館Tシャツを着ていきました。お二人!おられたらきっと大きな声をあげられるだろうと思って。
この映画が静かに深く多くの人に今だから観ていただきたいと思います。
17日から西山監督の最新作上映会が行われます。
http://seiko-jiro.net/modules/newbb/viewtopic.php?viewmode=flat&topic_id=1453&forum=1
スケジュールを掲載しました。
知花竜海さん!金城実さんのお宅での写真も掲載しています。
12月6日!行きたいなぁ~。
Unknown (Sightsong)
2010-05-12 22:02:49
大木晴子さん
金城実さん、西山監督との高江での上映とは得難いことですね。その時間を共有したいです。
新作は先日の座り込みですね!

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