Sightsong

自縄自縛日記

ポール・ブレイ『Bremen '66』

2018-08-08 23:58:20 | アヴァンギャルド・ジャズ

ポール・ブレイ『Bremen '66』(Hi Hat、1966年)を聴く。

Paul Bley (p)
Mark Levinson (b)
Barry Altschul (ds)

このときポール・ブレイは30代前半。まだ若いブレイも良いものだ。後年の演奏を比較対象にすると、まだ粗削りで歯を凶暴に剥いているようなところもあるが、その一方で、自分自身の発する音の響きに耽溺していることが伝わってくる。

その場で編み出されたフレーズを完成系に持ち込もうとはせず、そのまま怖れず提示することが、かれのアイデンティティのようにも感じる。それは一音一音の響きについても同じことで、自分が直前に弾いたばかりの音に身をゆだね、愛おしむように同じ音で歌っていたりもする。

どの曲も良いのだが、やはり名曲「Ida Lupino」。バリー・アルトシュルはミスマッチでやかましいな。

●ポール・ブレイ
フランソワ・キャリア+ミシェル・ランベール+ポール・ブレイ+ゲイリー・ピーコック『Travelling Lights』(2004年)
ポール・ブレイ『Solo in Mondsee』(2001年)
ポール・ブレイ『Synth Thesis』(1993年)
ポール・ブレイ『Homage to Carla』(1992年)
ポール・ブレイ『Plays Carla Bley』(1991年)
ポール・ブレイ+ゲイリー・ピーコック『Partners』(1991年)
ポール・ブレイ+チャーリー・ヘイデン+ポール・モチアン『Memoirs』(1990年)
チェット・ベイカー+ポール・ブレイ『Diane』(1985年)
イマジン・ザ・サウンド(1981年)
アネット・ピーコック+ポール・ブレイ『Dual Unity』(1970年)
ポール・ブレイ『Barrage』(1964年)
ポール・ブレイ『Complete Savoy Sessions 1962-63』(1962-63年)


サムスクリュー『Ours』、『Theirs』

2018-08-08 22:14:20 | アヴァンギャルド・ジャズ

サムスクリュー(Thumbscrew)の3、4作目となる『Ours』『Theirs』(Cuneiform Records、2017年)。

Michael Formanek (b)
Tomas Fujiwara (ds)
Mary Halvorson (g)

タイトルの通り、メンバーのオリジナル曲集と、他の音楽家の曲集。録音は同じときになされている。

どちらにおいてもメアリー・ハルヴァーソンのギターは歪んでいて目眩がさせられるものだが、元の曲を知っていることもあってより過激さに驚かされるのは『Theirs』のほうである。いきなりベニー・ゴルソンの「Stablemates」におけるエフェクトで幻惑されて何が何やら、またスタンリー・カウエルの「Effi」は意外にもケニー・バレルをも彷彿とさせるノリ疾走のジャズギタートリオ的。何しろシンプルなトリオなのに振れ幅が大きい。

いままでメアリーにばかり耳と心を奪われていたけれど、マイケル・フォルマネクの時間軸方向に柔軟なベース、トマ・フジワラのシンバル音を抽出して洗って鮮やかに提示したようなドラムスも、また、個性的で面白いことに気付かされた。

●メアリー・ハルヴァーソン
トム・レイニー・トリオ@The Jazz Gallery(2017年)
メアリー・ハルヴァーソン『Paimon: Book Of Angels Volume 32』(2017年)
トマ・フジワラ『Triple Double』(2017年)
メアリー・ハルヴァーソン『Code Girl』(2016年)
メアリー・ハルヴァーソン『Away With You』(2015年)
イングリッド・ラウブロック、メアリー・ハルヴァーソン、クリス・デイヴィス、マット・マネリ @The Stone(2014年)
『Illegal Crowns』(2014年)
トマ・フジワラ+ベン・ゴールドバーグ+メアリー・ハルヴァーソン『The Out Louds』(2014年)
メアリー・ハルヴァーソン『Meltframe』(2014年)
アンソニー・ブラクストン『Ao Vivo Jazz Na Fabrica』(2014年)
イングリッド・ラウブロック(Anti-House)『Roulette of the Cradle』(2014年)
『Plymouth』(2014年)
PEOPLEの3枚(-2005、-07、-14年)
トム・レイニー『Hotel Grief』(2013年)
チェス・スミス『International Hoohah』(2012年)
イングリッド・ラウブロック(Anti-House)『Strong Place』(2012年)
イングリッド・ラウブロック『Zurich Concert』(2011年)
メアリー・ハルヴァーソン『Thumbscrew』(2013年)
ウィーゼル・ウォルター+メアリー・ハルヴァーソン+ピーター・エヴァンス『Mechanical Malfunction』(2012年)
ステファン・クランプ+メアリー・ハルヴァーソン『Super Eight』(2011年)
ウィーゼル・ウォルター+メアリー・ハルヴァーソン+ピーター・エヴァンス『Electric Fruit』(2009年)
アンソニー・ブラクストン『Trio (Victoriaville) 2007』、『Quartet (Mestre) 2008』(2007、08年)

●マイケル・フォルマネク
メアリー・ハルヴァーソン『Code Girl』(2016年)
メアリー・ハルヴァーソン『Thumbscrew』(2013年)

●トマ・フジワラ
メアリー・ハルヴァーソン『Paimon: Book Of Angels Volume 32』(2017年)
トマ・フジワラ『Triple Double』(2017年)
メアリー・ハルヴァーソン『Code Girl』(2016年)
『Illegal Crowns』(2014年)
「JazzTokyo」のNY特集(2016/8/1)
トマ・フジワラ+ベン・ゴールドバーグ+メアリー・ハルヴァーソン『The Out Louds』(2014年)
トマ・フジワラ『Variable Bets』(2014年)
Ideal Bread『Beating the Teens / Songs of Steve Lacy』(2014年)