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Sightsong

自縄自縛日記

ギュンター・ハンペル『Heartplants』

2018-04-06 07:52:44 | アヴァンギャルド・ジャズ

ギュンター・ハンペル『Heartplants』(MPS、1965年)を聴く。

Gunter Hampel (vib, fl)
Manfred Schoof (tp)
Alexander von Schlippenbach (p)
Buschi Niebergail (b)
Pierre Courbois (ds)

1965年といえば、ESPの名盤『Music from Europe』が吹き込まれた前年である。作曲も構成も、ソロの音色も、どうしてもヨーロッパ的。最後の曲「Our Chant」におけるハンペルのヴァイブにバップ色があるけれど、そのくらいのものだ。

マンフレート・ショーフがその雰囲気の中で吹くロングトーンも、暗闇の中から霧が少し切れたように現れるハンペルのヴァイブも見事。そのヴァイブの尖った音色があるために、尖っているはずのシュリッペンバッハのピアノが丸くサウンドを覆うように聴こえるのだから不思議なものである。

●ギュンター・ハンペル
セシル・テイラーのブラックセイントとソウルノートの5枚組ボックスセット(1979-86年)
ギュンター・ハンペルとジーン・リーの共演盤
(1968、69、75年)


クリス・デイヴィス+エリック・レヴィス@新宿ピットイン

2018-04-06 00:35:04 | アヴァンギャルド・ジャズ

新宿ピットインで、クリス・デイヴィスとエリック・レヴィスのデュオ(2018/4/5)。

↑タイポだらけ

Kris Davis (p)
Eric Revis (b)

最初のアンドリュー・ヒルの曲において、レヴィスがかすかな音から次第に音量を上げる。弦の響きのマッスがあるからこそ、かすかな音が際立つ。一方のデイヴィスは分散和音など工夫しながら雰囲気を創り上げてゆく。

レヴィスのベースはパワーだけではないし、また上手いだろうと言わんばかりの弦だけの増幅でもない。デイヴィスの内部奏法の変化に呼応して、コントラバスの弦がかなり強く張られているはずなのに、浮遊したりたわんだりするような柔軟性もみせた。また、ウォーキングベースは当然のように安定感も強靭さもあるし、歌うフレージングがなにより素晴らしい。チャーリー・ヘイデンのように同音を続けつつグラデーションと残響を創り出す時間もあった。

この剛柔とりまぜたレヴィスのベースに対して、デイヴィスは隙間を縫ってはあらゆるアプローチを提示する。それは極力偶然に頼らないように聴こえた。内部奏法においてもそうであり、同時に鍵盤を弾くところなどとても巧妙。ファーストセットの終盤に、デイヴィスのタッチが細かく柔らかく、猫やミシャ・メンゲルベルクを思わせる感覚になってきたと思ったら、程なくして、エリック・ドルフィーの「Miss Ann」のフレーズに化けた。それも含め、デイヴィスはやりたい放題だ。

セカンドセットでは、最初にジュリアス・ヘンフィルの曲。テープを内部の弦に貼りつけてのプリペアド演奏も、やはり偶然の力に頼ったものではない。ここまで確信に満ちたピアニストだったとは驚きだ。4年前に観たときはそこまでは圧倒されなかった。最後のアンコール曲は、セロニアス・モンクの「Trikle Tinkle」だったか、愉しそうに音でレヴィスと突っつき合う余裕をみせた。

●クリス・デイヴィス
クリス・デイヴィス『Duopoly』(2015年)
イングリッド・ラブロック、メアリー・ハルヴァーソン、クリス・デイヴィス、マット・マネリ @The Stone(2014年)
マックス・ジョンソン『In the West』(JazzTokyo)(2014年)
イングリッド・ラブロック(Anti-House)『Roulette of the Cradle』(2014年)
トム・レイニー『Obbligato』(2013年)
イングリッド・ラブロック(Anti-House)『Strong Place』(2012年)
スティーヴン・ガウチ+クリス・デイヴィス+マイケル・ビシオ『Three』(2008年)
クリス・デイヴィス『Rye Eclipse』、『Capricorn Climber』(2007、2012年)

●エリック・レヴィス
オリン・エヴァンス+エリック・レヴィス@新宿ピットイン(2016年)
カート・ローゼンウィンケル@Village Vanguard(2015年)
エリック・レヴィス『In Memory of Things Yet Seen』(2014年)