Sightsong

自縄自縛日記

ジャズ的写真集(4) ウィリアム・クラクストン『Jazz seen』

2008-10-27 01:02:52 | アヴァンギャルド・ジャズ

つい先日、写真家ウィリアム・クラクストンが亡くなった。ドキュメンタリー映画『Jazz Seen/カメラが聴いたジャズ』(ジュリアン・ベネディクト、2001年)でもわりと最近の様子が映し出されていたが、機動的に、また音がしないようライカM6を使い、二度とこない瞬間を撮っているのだった。

この同名の写真集『Jazz seen』(TASCHEN、1999年)には、代表作かもしれない写真がいくつもおさめられている。レコードジャケットで見覚えがあるものも多い。大きくて重いため(よくこんなもの作ったな)、ページが耐えかねて取れそうになっている。その対極のポストカードブックもある。

いや本当に、無二の瞬間が散りばめられている。共演している音楽家を前後に交錯させつつターゲットを捉えたり、演奏を仰ぎみる角度が多かったりとスタイルもある。ライヴ会場、スタジオ、楽屋、路上など場所はいろいろだが、夜と都会の音楽としてのジャズが、これらの写真群にはある。そこには、音楽家への畏敬の念のようなもの、極めつけはチェット・ベイカーに対する恋のような憧れ、なんてものを感じざるを得ない。

ジャッキー・テラソンやブラッド・メルドーなど新しい音楽家の写真もあるが、圧倒的に惹かれるのは50年代や60年代の活気だ。その意味で、写真のスタイルや熱気が、時代と不可分だと(いい意味で)言っていいのだろうとおもう。


チェット・ベイカー


クリフォード・ブラウン