Sightsong

自縄自縛日記

植物画、石井信義氏、『市川の自然』

2008-08-02 23:02:35 | 関東

市川市芳澤ガーデンギャラリーというところで、「博物画にちょうせん!きみも未来の博物学者に」という子ども向けのワークショップがあるということなので、息子を連れて行った。はりきって教えてもらって描いている間、ツマ・娘と「英国植物画の世界」展を観た。

18世紀や19世紀のボタニカルアートであり、すべて匿名性の作品だ。ヘビイチゴ、ケシ、ウキクサといった目立たない植物が丹念に描いてあり、地味なだけに却って博物学の魅力をみせつけられる。そういえば、小さい頃、近くの山でよく野苺を取って食べたが(田舎だったので)、あれは何の種類だったのだろう。

ここの敷地の庭は綺麗に管理されている。アオギリの葉に蝉の抜け殻がくっついていた。息子に教えると、それもスケッチしていた。

近くには、市川市木内ギャラリーという、明治・大正期の洋館もある。真間の森にちょっと入ったところだ。ここでは、「市川の自然を見つめ続けて―地域で生き抜いた生物教諭・石井信義先生の足跡を辿る―」という展示がなされていた。

中学や高校の生徒の指導や地元紙の連載のため、氏が延々と描き続けた細密画が沢山展示してある。すべて足繁くあちこちをまわり、丹念に観察しながらでなければ成立しえない世界であり、ちょっと感動的だ。

妙典のいまは少ない湿地帯や、江戸川放水路下流の干潟のアシハラガニやマメコブシガニなんかが丁寧に描いてあって、今度あらためて観察に行こうとおもった。

普段は足を運ぶことが少ない市川市北部の台地だが、真間の森は鬱蒼としていて、近くに住んでみたいと思わせる。このあたりは、確か石川文一(カメラマン石川文洋の父)や井上ひさしが住んでいたり、島尾ミホが一時期入院した病院があったりしたところだ(相当アバウトな記憶だが)。市川駅近くに「りぶる」というライヴハウスが以前あって、川下直広やら片山広明やら何度か聴きに行ったことがあったが、マスターの失踪事件があってから店じまいしてしまったようだ。今日あえて確かめるのも不純な気がしてやめた。

ところで、市川市芳澤ガーデンギャラリーで、『発見 市川の自然』(「発見 市川の自然」刊行委員会、市川市発行、2006年)という本を見つけた。こんな良い本が出ているとは迂闊にも気が付かなかった。帰宅してざっと目を通したが、街中にクロマツが目立つ理由や、北部の森の様子(ここにも石井信義画が使ってある)、低地や湿地の状況なんかが詳しく説明してあってとても嬉しい。近いうちに、これを持って・・・。