Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

「久隅守景展」(サントリー美術館)

2015年11月13日 21時51分47秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等
 本日はサントリー美術館に出かけた。「逆境の絵師 久隅守景-親しきものへのまなざし-」を開催している。
 NHKの日曜美術館でも放映されていた。惹かれる作品、見ていて飽きることのない作品が並んでいたと感じた。



 久隅守景の人となりを解説から私なりに要約すると、「久隅守景は、狩野探幽に学び、探幽の姪・国との間に2人の子をもうけるものの、娘の雪信は探幽の弟子と駆け落ち、息子の彦十郎は佐渡へ島流し、と不祥事が続き探幽のもとを離れる。
 しかし精力的に制作を続け、晩年に加賀の前田家の招きで金沢に滞在。北陸に多くの作品が残されている。
 とくに農民風俗を描いた「耕作図」で独自の世界を確立。「納涼図屏風」は代表作と云われる。狩野派の筆法を基盤に、雪舟の水墨表現、やまと絵の表現を取り入れ、守景ならではの特徴を示しています。
 生前にすでに評判となるものの、家系、出自、生没年など、生涯の詳しいことはわかっていない。作品に年記をほとんど添えなかったため、画業の変遷をたどることも困難なため、「謎の絵師」といわれる」ということになる。

 展覧会の構成は「第1章 狩野派からの出発」で狩野派の一員として制作に参加したらしい「四季山水図襖」、「瀟湘八景図屏風」、「十六羅漢図」が目をひく。
 「第2章 四季耕作図の世界」では本日展示されていたのは2種の「四季耕作図屏風 旧浅野家本」と「同 旧小坂家本」。なかなか楽しめる作品である。
 「第3章 晩年期の作品-加賀から京都へ」では、「鷹狩図屏風」「近江八景図」「賀茂競馬・宇治茶摘図屏風」の3点が本日の展示。国宝の「納涼図屏風」は残念ながら前期展示であった。
 「第4章 守景の機知-人物・動物・植物」では小品が並ぶ。
 「第5章 守景の子供たち-雪信・彦十郎」の作品が並ぶ。大半が雪信で彦十郎は2点のみ、で後期の本日は1点「蝦蟇仙人図」であった。

 気に入った作品や気になった作品は後日にアップ予定。


加藤楸邨「まぼろしの鹿」後半より

2015年11月13日 20時57分26秒 | 俳句・短歌・詩等関連
 加藤楸邨の9番目の句集「まぼろしの鹿」(1953~1966)の後半、1959年~66年までの中から、私が惹かれたものをいくつか。

★力尽きたる色独楽の色わかれゆく
★無数蟻ゆく一つぐらゐは遁走せよ
★春暁の檸檬一顆とめざめゆく
★月さしてゐてわが手足なりしかな
★柚子匂ふすぐそこの死に目ひらけば
★累々たらず煌々たらず柚子ひとつ
★満つる力は破るる力牡丹の芽
★冬欅少年に解けざりしもの今も
★生けるものは重たさ持てり雪夜にて
★我を出て声は野に去る秋の暮
★冬の帆ひとつ過ぎをり虚脱感の中
★撃たれたる雉の目一瞬何を見し


石田波郷の「柿」の句

2015年11月13日 12時32分58秒 | 俳句・短歌・詩等関連
 正岡子規の柿好きは有名だが、石田波郷も柿がとても好きだったようだ。柿は「咳止め、肺炎、気管支炎に効果があり、抗菌作用もある」ということで、肺炎の患者には柿が勧められたことも。柿は患者にとっては命を長らえる大事な食物であった。命の象徴にもなっている。
 それを念頭に置くと、切れ字があっても完全に切って解釈しない方がよいように思える。たとえは「柿食ふや命あまさず生きよの語」の句も、1句切れとして完全に切って解釈すると「柿」が命の象徴であることを抜きにしてはまずいと教わった。

★猫背して夜更の柿や独り食ふ
★塾柿啜る目鼻埋めんばかりなり
★病室の宵更けて食ふ柿ひとつ
★昨日より今日むさぼりぬ次郎柿
★柿食へり貪るに似しをゆるめ食ふ
★柿食ふや膝かつきまで南の日
★柿食ふや命あまさず生きよの語
★山柿の熟れきはまりしお寺哉