Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

「日本絵画の魅惑」展(その3)

2014年05月21日 20時55分12秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等
 琳派の絵では、昨日取り上げた、伝俵屋宗達の「月に秋草図屏風」、そして最初に取り上げた酒井抱一の「風神雷神図屏風」、今回の酒井抱一の「八ツ橋図屏風」、並びに鈴木其一の「桜・楓図屏風」の4点が展示された。

  

   

 この八ツ橋図屏風は、下に掲げた尾形光琳の同名の作品(メトロポリタン美術館蔵)に倣った作品である。比べてみるとすぐに気付くのは、カキツバタの背丈が一回り小さくなり、本数も少なくなっている。金箔の部分が広くなり、全体的にはスッキリした感じになっている。その分の律動感は増している。
 葉についても、色の濃い部分が少なくなり全体的に淡くなり重苦しさが無くなっている。カキツバタの群落が若々しくなった。
 律動感という点では酒井抱一の方に私は軍配を上げたくなる。より洗練されているといえばいいだろうか。木道(八ツ橋)も色が明るくなり、画面全体を軽くしている。その分、カキツバタの存在感が希薄になったといえるかもしれない。金箔も落ち着いた色合いになっている。
 画家の感性は酒井抱一の方がより装飾性重視、視覚重視なのだと思う。より現代的といえる。



 もう一つの琳派の作品は江戸最末期の鈴木其一の「桜・楓図屏風」である。これは大胆な構図で人の眼を惹く。桜には幹や枝が描かれず、桜の花だけが大振りに描かれてい。葉の大きさに比べて花びらが大きく描かれ、より装飾性重視の作である。
 楓は逆に幹を大きく描き、葉で楓と分かる程度に申し訳なさそうに描かれている。メインは大木の古びた幹である。楓の老木の幹の肌合いと若々しい緑の新しい葉の対照、淡いみずみずしい桜の旺盛な満開の花びらと出てきたばかりの桜の葉の葉脈まで描かれた若々しさの対比。
 それぞれの木における対比と、今度は桜と楓の対比と、対比が二重になっている。ある意味で理知的であり、悪く言えば少し懲りすぎているともいえる。その割に広い空間が目立ち、そのくどさを解消しているのかもしれない。
 鈴木其一は「朝顔図屏風」や「夏秋渓流図」などのように緑の際立つ描画が印象的でそれが魅力である。この絵には緑の生命力の旺盛さは感じられない。私にはちょっと不満がある絵である。

 次回の(その4)で長谷川等伯を取り上げて、今回の感想は終了予定。



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走り梅雨

2014年05月21日 18時19分12秒 | 俳句・短歌・詩等関連
 本日は朝から強い雨が続いていた。明け方に大雨・洪水・強風・雷注意報が出ていた。9時半には強風注意報だけに変わったが、講座の教室のある桜木町駅前は強い雨が降っていた。お昼を挟んで二つの講座を受講後、市民税・県民税の申告で区役所を訪れて、帰宅。風もそれほどではなくなっている。
 明日は午前中晴れるようだが、午後からはまた雨の予想。気温は25℃とだいぶ上がるようだ。入梅を前にして天気がぐずついている。
 関東地方の梅雨入りは気象庁の予報では6月8日、梅雨明けは7月21日となっている。平年より2日早く、昨年よりも遅くまで梅雨が続くとの予想になっている。
 「走り梅雨」という言葉がある。季語として扱われる。5月から6月にかけて梅雨のような天気が続くことをいう。しかし特に「これが走り梅雨」ということではない。雰囲気的な言葉でもある。本日からのぐずついている天気が「走り梅雨」というものなのか、わからない。曖昧な言葉である。

★走り梅雨抱けばくびれし米袋  河角京子
★病む便り逝く報せ来て走り梅雨  小出秋光
★書架の書の一つ逆しまはしり梅雨  林翔
★むちむちの白き二の腕走り梅雨  武田直美

 1句目、スーパーなどで売っているビニールの米袋ではなく、卸などで使っている紙製の10キログラム入り位の袋ではないだろうか。これは空気を抜いてびっしりと詰まっているが、担ぎ上げれは自重でたわんで肩に馴染むように感じることがある。寒い時、夏暑いときには担ぎにくいものである。微妙な季節による差を感じたのは、日々の労働の一瞬を大切に感じ取っている証ではないか。
 2句目、思いがけない時期に友からの便りにびくっとする時がある。私もそんな年になっている。
 3句目、この句が一番気に入っている。他のどんな季節よりもこの時期の感覚ではないだろうか。明るく気分のいい5月から梅雨前の蒸し暑さが気になり始めたころの少し憂鬱な気分が、何の変哲もないことがらに気持ちが張り付いてしまう。
 4句目、衣更えが終わったばかりのまだ日焼けしていない肌が艶めかしい。「むちむち」というのはなかなかに思い切った表現に思えた。


 一昨日はだいぶ飲み過ぎた。昨日もビールをだいぶ飲んだ。今日は、友人の忠告を聞いて休肝日にすることにした。





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