声がした・・・

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『 声がした・・・ 』


目前に迫った横浜個展のために、ペン・墨＋パステルを使った小品の新作を30点近く描いた。

この『 声がした・・・』はその中の1点。
小品群の中では比較的大きな方とはいえ高さは26cmほどしかないが、最初にペンで線描してから、何と7年余りたってようやく完成した作品。
「なぜ？」と訊かれると返答に困る。
自分でもよく分からない。

ノラ猫の何気ない姿に惹かれて、ペンでデッサンを描いた。
すぐにパステルで色を付けるつもりだった。
しかし、いざパステルを手に取ろうとすると、なぜかそこから先に進めなかった。
「じゃあ、この次に描いてあげるね」と言って、そのままに・・・。
数えてみたら、それが7年間にわたって続いていた。

それが今回は、今までが嘘のように不思議なほど自然に色を付け始めることができた。
「そろそろ、いいんじゃない・・・」
そんな声が聞こえたような気がした。

今回の小品群の中で、同じように何年越しかで完成した作品が他にも2点・・・。
機が熟す・・・と言うとちょっと大げさなような気もするが、実はそういうことってあるのかもしれない。
それはきっと、その絵に向かい合う時の自分の気持ちの有りようなのだろうけど・・・。


初日まであと3日。
いろいろな思いを感じながら、今最後の準備に没頭している。

今週も残暑がきびしそう。
もう少し涼しくなってくれないかな・・・と、自然を相手に我がままを言ってもしょうがないか・・・。
天気のことは、まさに運を天に任せ、自分にできる精一杯のことをやって皆さんを迎えようと思う。
ぜひ、お出かけください！