鮎川俊介の「幕末・明治の日本を歩く」

渡辺崋山や中江兆民を中心に、幕末・明治の日本を旅行記や古写真、研究書などをもとにして歩き、その取材旅行の報告を行います。

黒の「ポルシェ」と「電波時計」

2006-11-05 12:31:52 | Weblog
 今日、来客があるということで、居間の和室に座布団を用意し、座卓を中央に置いて、準備完了。妻は、お茶とビールと簡単なおつまみの準備をしてくれました。気になっていた障子の破れも、先日、妻が張り替えてくれました。

 午後2時少し前に、近くのコンビニの駐車場(そこが待ち合わせ場所)に行き、停まっている車を確認しましたが、どれも来客のものではなさそう。
 コンビニの横に咲く花が綺麗なので、携帯電話のカメラでその写真を撮っていると、携帯が鳴りました。
 N君からの電話で、あと10分ほどで着くはず、とのこと。
 コンビニに着いたら、また電話をかけてほしいと伝えて、いったん家に戻ると、しばらくして電話。「着いた」とのこと。早速、コンビニに向かうと、駐車場に、黒いポルシェが入ったところでした。

 私は、Sさんが運転してくるものと勝手に思い込んでいたのですが(N君とⅠ君は、おそらく酒を飲むだろうから)、実はその黒いポルシェが、3人が乗ってきた車でした。
 左側の運転席にはⅠ君、助手席にN君、後ろの狭い席にSさんが乗っていました。

 この黒いポルシェには、十年ほど前に、我が家から車で10分ほどの、宮ヶ瀬の湖畔園地の駐車場で停まっているのを見かけたことがあり(私が家族を連れてやってきて、車を停めた隣に停まっていました)、

 「おう!、ポルシェだよ。どんな奴が乗っているんだろう」

 と妻に話し掛けたところに、その持ち主が家族(奥さんと小さい娘さん)と戻って来て、その顔をチラリと見ると、なんとⅠ君だったのです。

 「なんだ、Ⅰか!どんな奴が乗っているのかと思ったよ」

 ということで、妻と子どもを紹介し、Ⅰ君の奥さんにも挨拶。

 「面白いところで会うもんだなあ」

 ということで、しばらく話を交わして、やがて3人はポルシェに乗り込み、重厚なエンジン音をたてて、駐車場を出て行きました。

 「ポルシェとはなあ……」

 と妻に言いながら、その後姿を見送ったのですが、なんと、そのポルシェに3人は乗って来たのです。

 出てきたⅠ君に、

 「Sの車で来るのかと思ったよ」

 と言うと

 「Ⅰちゃんの家に寄ったら、ポルシェを出してくれたので」

 とのこと。

 N君も後席から出てきたSさんも、ポルシェに乗るのは初めてだったようです。

 「どう走りは?」

 と聞くと、

 「加速が全然違いますよ」
 
 Sさんも、

 「全然違う」

 と、やや放心の体(てい)。

 Ⅰ君に、

 「昔のままか」

 と聞くと、乗って10年。走行距離は9000キロとのこと。

 黒いポルシェを眺め回した後、3人と我が家へ。

 妻に紹介(N君とSさんとは初対面)。

 障子を張り替えたばかりの、和室の座布団に座ってもらいました。

 Ⅰ君は運転をするので、ビールをやらず(私も残念ながら駄目ということで)、N君とSさんがビール。

 前の飲み会のことなど、少し話した後、Sさんから「1年5組一同」からプレゼントがある、ということで、大きな袋を2つ。その一つを促されて開けると、箱の中からきれいな飾り時計が。
 前に結婚した時に、仙台の友人から時計を贈られて、それをずっと枕元に置いて重宝していたのですが、それが故障して動かなくなり、それに代わる時計を欲しいと思っていたので、

 「やあ、うれしいな。こういうのを欲しいと思っていたんだよ」

 と、遠慮なく、いただきました。その時計の裏には、金文字で「1年5組一同」と書かれていました。

 それから、午後6時半ころまで、いろいろと思い出話やその他もろもろのことなどの話が飛び交い、3人は、また黒いポルシェに乗って帰ることになりました。

 帰る時に、Ⅰ君に、聞きたいことを聞きました。

 「このポルシェ、いくらだった?」

 「1250万」

 「1250万!……」

 走行距離が10年間で9000キロだから、ガレージに飾り、自分でメンテナンスをやり、余り走らせずに大事に乗っているようです。

 「じゃあ、運転には十分気をつけて」

 というのも、Ⅰ君もN君も、二十歳(はたち)代初めに、それぞれ大事故を起こし、瀕死の重傷をおっているからです。

 2人とも大量の輸血を受け、そのために2人とも肝炎(N君は事故により肝臓の三分の一を切除)になり、Ⅰ君はある治療でようやく治ったものの、N君は、今でも薬を飲んでいて、薬代がばかにならないという状態。

 私は、仕事中に右手首の骨2本を折ったことがありますが、それなどまるっきり大したことでないような重傷と手術と治療を受けているのです。

 運転席のメーター類のイルミネーション(?)がややレトロに輝き、あの重厚なエンジン音をたてて、3人を乗せて、その黒いポルシェは闇の中を走り去りました。

 その後、飾り時計に電池を入れると、電波式で、いったんくるくると長針と短針が回転し、3時過ぎでいったん止まり、ややあってまた回転して、午後七時半でぴったり止まり、またややあって、今度は秒針が小刻みに動き始めました。

 その贈られた時計を、和室の箪笥(たんす)の上に置きました。

 大事に使っていきます。

 
 では、また。


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