【 Photo by Shunsuke Kudo 】
もう桜も
散り始めたのに
あったかいよって
買ったスリッパは
じっと玄関で
あなたが初めて足を入れるのを
待ちつづけ
ボロになった僕のは
棄てられないまま
寄り添って
フローリングを歩く
裸足の僕を見送っている
窓から見える
家と家の間で
春が舞ってます
ここから暖かくなって
しばらくすると梅雨がきて
その後はとても暑くなって
心地よい秋になった後
ようやくまた出番がくるけれど
それまでそこにいるかい?
そのままで
ひとりは怖いからね
ひとりは寒いからね
始まりと終わりが
仲良く並んで次を待つ
そんな皮肉の中に
止まってしまった時間と
動き続ける運命の接点が
また傷跡になってゆく
まだポカンと
窓の外の春を見ています
あなたの傷跡だらけのこの部屋で
まだ開けられない
アルバムの奥で笑う
あなたに逢えないまま
また今日も見つけた傷跡に
ためいきをしまい込んでいます
ここしか逃げる所はないのです
まだ春なんだね
まだまだ 春なんだね
Copyright ©2011~2015 My Blue Heaven Missing link All Rights Reserved
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます