【 Photo by Yoshinobu Tashiro 】
冬の空が聴いている
秋の音を
カサカサカサと
どこまでも続く
落葉を踏みしめる
短距離ランナーのような
過ぎ去ってゆく
哀しみの足音を
冬の空が聴いている
冬の声を
ヒューヒューヒューと
スピードを上げながら
追いついたい
追いつきたいと
走り続ける
冬のひとり言を
冬の空が聴いている
ボクのため息を
言葉でもなく
口笛でもない
行き場のない命が
こぼれ出る音をたよりに
また明日も
歩きつづける
春を忘れた人も
春を思い出せない人も
夏が忘れられない人も
夏を怨んでいる人も
秋に忘れ物を探す人も
秋に荷物を置く人も
冬に夢を忘れた人も
冬に明日を燃やす人も
冬の空と雲に
誰にも言えない
自分を棄ててゆく
冬のはじめの空には
いろんな音が滲んでいる
その音はゆっくりと
カタチを作り
そして夕焼けが
すべてを消してゆく
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