現在、中国ではアメリカ製映画『南京』が話題を集めている。
もちろん、内容は「南京大虐殺」について。
8月15日に封切られ、杭州地域だけでもかなりの観客が押し寄せているという。
なぜ、アメリカが作ったんだ、ということはさておき。
そんな中、南京に行ったのである。
過剰な反応があるかと思ったが、別にこれといって何もなかった。
過剰な心配であったようで、ひとまず安心。
かといって、この問題に触れないわけにはいかないのも事実。
なので、全ての日程が終了した後、単独行動をとった。
目指すは、「侵華日軍南京大虐殺遇難同胞記念館」。
(ちなみに中国では「大虐殺」は「大」と言います)
しかし、残念ながら現在は修復中で見ることができなかった。
何せ今年は「南京大虐殺」からちょうど70周年なもんで。
がっかりしたが、仕方がない。
目的地を変更して、中山陵へ。
名前から分かるように、革命の父・孫文さんのお墓。
タクシーを降りると、いきなり人が寄ってきた。
「100元で、説明付きでここら辺の案内をしてやるから」というもの。
明らかに怪しい。
普段なら絶対に無視する。
でも、なぜかつい乗ってしまった。
あとで考えるとこれも何かの縁だったと思う。
ガイドは運転手さん。
彼がまず「おまえはどこの人だ」というから、
「日本人だ」と正直に答えた。
「オレは日本人の客もよく乗せるぞ」なんていう。
「でも、みんな言葉が分からないけどな」と笑って言う。
今度は、
「じゃあ、お前はどこの人だ」とこちらが問いかけると、
「南京出身だ」ときた。
そこで、
「本当は南京大虐殺の記念館に行きたかったけど、修理中だった」と、話を振ってみた。
そこから、話は南京大虐殺の話に。
彼は話し始めた。
「南京大虐殺では36万人が殺された。あのときオレの一族は4人が殺された。今でも87歳になる祖母は日本人を恨んでいる。多くの南京の老人たちは日本人のことが嫌いだ。今でも南京大虐殺のあった12月13日と清明節(中国のお彼岸みたいなもの。4月にあります)には、必ず3分間の黙祷を南京市民は行う。だけど、それはお前の責任ではない。過去の話だし、若い人たちは日本人を恨んではいないから大丈夫だ。」
このとき、ボクは「ありがとう」とのみ答えた。
「一族の4人が殺された」と聞いたとき、一瞬泣きそうになった。
36万人(何を根拠としているか不明)という数字より、
4人という数の方が、実感が湧いたからかもしれない。
彼があまりにも淡々とさらっと言ったからかもしれない。
彼が本当のことを言っているかどうかはわからない。
日本人が来たときのための「物語」かもしれない。
だけど、彼が嘘を言う理由も見あたらない。
そもそも、「物語」を語っても、理解できる人は今までいなかったようだから。
「お前ほど中国語を理解している日本人は乗せたことない」と言っていたし。
見学途中、老婆が飲み物を売っていた。
彼はその老婆を指し、
「あの人は日本人が嫌いだ」と言った。
その後続けて、老婆に向かって「こいつは日本人だ」と言った。
再びボクに向かって「だけど大丈夫。きちんと話してあるから」と言った。
彼が一体何を目的としていたのかはわからないけど、
ボクはその老婆に軽く会釈する以外の行動は思いつかなかった。
よく日本人は謝罪すべきだという。
もちろん、まずは謝罪すべきだとは思う。
だけど、このとき、ボクには「謝罪」という選択肢はなかった。
(霊場や記念館に行ったら、心の中で「謝罪」はしたかもしれないが)
目の前にいる運転手や老婆に対して、謝罪をする意味がないと思った。
運転手に対して「ありがとう」という感謝の言葉を述べるのが最良だと思った。
恐らく、単なる日本からの観光客として来ていたら、こうは感じなかったかもしれない。
中国に住んでいて、日本を距離を持って眺めていたからそう思ったのかもしれない。
でも、それも定かかどうかよくわからない。
実は、ボクはまだ映画『南京』は見ていない。
見る必要があるかもしれない。
それも、他の中国人に混じって映画館で。
*写真の奥の橋みたいのが「中山門」。
ここから日本軍が南京に入城してきたらしい。
よく写真で見るあの門がここなんだってさ。
もちろん、内容は「南京大虐殺」について。
8月15日に封切られ、杭州地域だけでもかなりの観客が押し寄せているという。
なぜ、アメリカが作ったんだ、ということはさておき。
そんな中、南京に行ったのである。
過剰な反応があるかと思ったが、別にこれといって何もなかった。
過剰な心配であったようで、ひとまず安心。
かといって、この問題に触れないわけにはいかないのも事実。
なので、全ての日程が終了した後、単独行動をとった。
目指すは、「侵華日軍南京大虐殺遇難同胞記念館」。
(ちなみに中国では「大虐殺」は「大」と言います)
しかし、残念ながら現在は修復中で見ることができなかった。
何せ今年は「南京大虐殺」からちょうど70周年なもんで。
がっかりしたが、仕方がない。
目的地を変更して、中山陵へ。
名前から分かるように、革命の父・孫文さんのお墓。
タクシーを降りると、いきなり人が寄ってきた。
「100元で、説明付きでここら辺の案内をしてやるから」というもの。
明らかに怪しい。
普段なら絶対に無視する。
でも、なぜかつい乗ってしまった。
あとで考えるとこれも何かの縁だったと思う。
ガイドは運転手さん。
彼がまず「おまえはどこの人だ」というから、
「日本人だ」と正直に答えた。
「オレは日本人の客もよく乗せるぞ」なんていう。
「でも、みんな言葉が分からないけどな」と笑って言う。
今度は、
「じゃあ、お前はどこの人だ」とこちらが問いかけると、
「南京出身だ」ときた。
そこで、
「本当は南京大虐殺の記念館に行きたかったけど、修理中だった」と、話を振ってみた。
そこから、話は南京大虐殺の話に。
彼は話し始めた。
「南京大虐殺では36万人が殺された。あのときオレの一族は4人が殺された。今でも87歳になる祖母は日本人を恨んでいる。多くの南京の老人たちは日本人のことが嫌いだ。今でも南京大虐殺のあった12月13日と清明節(中国のお彼岸みたいなもの。4月にあります)には、必ず3分間の黙祷を南京市民は行う。だけど、それはお前の責任ではない。過去の話だし、若い人たちは日本人を恨んではいないから大丈夫だ。」
このとき、ボクは「ありがとう」とのみ答えた。
「一族の4人が殺された」と聞いたとき、一瞬泣きそうになった。
36万人(何を根拠としているか不明)という数字より、
4人という数の方が、実感が湧いたからかもしれない。
彼があまりにも淡々とさらっと言ったからかもしれない。
彼が本当のことを言っているかどうかはわからない。
日本人が来たときのための「物語」かもしれない。
だけど、彼が嘘を言う理由も見あたらない。
そもそも、「物語」を語っても、理解できる人は今までいなかったようだから。
「お前ほど中国語を理解している日本人は乗せたことない」と言っていたし。
見学途中、老婆が飲み物を売っていた。
彼はその老婆を指し、
「あの人は日本人が嫌いだ」と言った。
その後続けて、老婆に向かって「こいつは日本人だ」と言った。
再びボクに向かって「だけど大丈夫。きちんと話してあるから」と言った。
彼が一体何を目的としていたのかはわからないけど、
ボクはその老婆に軽く会釈する以外の行動は思いつかなかった。
よく日本人は謝罪すべきだという。
もちろん、まずは謝罪すべきだとは思う。
だけど、このとき、ボクには「謝罪」という選択肢はなかった。
(霊場や記念館に行ったら、心の中で「謝罪」はしたかもしれないが)
目の前にいる運転手や老婆に対して、謝罪をする意味がないと思った。
運転手に対して「ありがとう」という感謝の言葉を述べるのが最良だと思った。
恐らく、単なる日本からの観光客として来ていたら、こうは感じなかったかもしれない。
中国に住んでいて、日本を距離を持って眺めていたからそう思ったのかもしれない。
でも、それも定かかどうかよくわからない。
実は、ボクはまだ映画『南京』は見ていない。
見る必要があるかもしれない。
それも、他の中国人に混じって映画館で。
*写真の奥の橋みたいのが「中山門」。
ここから日本軍が南京に入城してきたらしい。
よく写真で見るあの門がここなんだってさ。