もう騙されないぞ(Won't Get Fooled Again)

旅、音楽、日常・・・まったり雑談します

初めてのバックパック旅行(6)

2004年09月29日 | 1997ネパール
ポカラからカトマンズに戻ってきた僕は
ダサインという祭りを見たり、パタンの町を観光した以外は
いつものようにタメル地区でダラダラと過ごしていた。

カトマンズとポカラ以外にもう1箇所どこかに寄ってからネパールを出よう。
そう思った僕は手元の「地球の歩き方・ネパール」を眺め、
カトマンズからバスで数時間のところにナガルコットという避暑地を見つけた。
ヒマラヤを眺めながら紅茶をすするっていうのもいいな。
僕はさっそく近くの旅行代理店に足を運んだ。
代理店の男は「ナガルコットか、あそこはグッドプレイスだ」と笑顔で言ってたが、
電話でバス会社と話をしている途中、急に不機嫌な顔になり
受話器を置いてこういった
「マイ・フレンド、バッド・プロブレムだ」

インドと国境を接しているためか、
ネパール人も多少めんどうなことでも「ノー・プロブレム」と言うのだが、
「バッド・プロブレム」と真剣な顔で言われるのは初めてだったので、
どういうわけか笑いがこみ上げてきた
僕は笑うのを我慢しながら、どうしてバッド・プロブレムなんだと聞くと
「お前がナガルコットを出る日はバス会社のストライキ・デーだ」と言う。

ストライキか、それは困った。
僕はナガルコットを昼過ぎに出て、夜の便でバンコクに行く予定をたてていたのだ。
ナガルコット滞在を1日縮めてもよかったのだが、
避暑地にたったの1日しかいないというのもなんか無駄な気がする。
タクシーも考えたが、カトマンズまでいくらかかるかわからないし、お金もそれほど多く残ってない。
ナガルコットでタクシーが確実に拾えるのかもわからない。
結局僕はナガルコットに行くのを断念し、
ネパール滞在の残りをカトマンズで過ごすことに決めた。
もう動く気力が失せてしまったのだ。

ネパール滞在最後の夕食はまたしても「味のシルクロード」でだった。
レストランで定食を食べ終え、そばの服屋で仲良くなった店員と喋っていると
予約したタクシーが時間通りにやってきた。
市内から空港まで歩いていくにはちょっと遠い。
バスのストライキのため、タクシーは強気に値段交渉してきたが、
服屋の店員が僕に協力してくれたおかげで、それほどお金を払わずにすんだ。

タクシーに乗り、服屋の店員にお礼を言うと「窓は閉めたほうがいいよ」と言ってきた。
僕は彼の言わんとしていることが理解できなかったが、タクシーの運転手も同じことを言ってくる。
僕は運転手にその理由を聞くと
「今日はストライキだ。住民が石を投げてくるかもしれん」
どうしてバスのストライキでタクシーが被害を受けるのか理解できなかったが、
僕は彼らのアドバイスに従い窓を閉めた。

タメル地区を抜けて住宅街を抜けようとしたその時こぶし大の石が投げつけられた。
どこからか叫び声が聞こえ、またもや複数の石が投げつけられた。
運転手は窓を少し開けて怒鳴り、そして速度を上げてその場を抜けた。
ますますわからない。ストライキとタクシーと投石の奇妙な因果関係。
僕は運転手にそのことを聞いてみたが、僕の英語がうまく伝わらなかったせいか
運転手はずうっとバス会社の悪口を空港に到着するまで言っていた。

ストライキと住民の投石で僕のネパール滞在は終わった。