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七月大歌舞伎・夜の部@歌舞伎座

2018-07-31 | 歌舞伎

歌舞伎、能、オペラの融合を目指したらしい、夜の部の通し狂言「源氏物語」。

 

私は理解力が劣っているのか、何をしたいのか非常に分かりにくい演出だと思いました。

瀬戸内寂聴訳の脚本で「須磨・明石」を見た身としては、これはもう「源氏物語」ではない、全く別物の

創作歌舞伎だと感じたのです。

 

元々、「源氏物語」になぜに宙乗り? と訝しく思っていたので、観劇するまで不安で不安で。

せっかく千穐楽に最高の席を確保できたのに期待と大きく外れていたら、どうしようと……。

悪い予感、的中。

 

冒頭から唐突にオペラ歌手が出てきます。

二人の男性オペラ歌手はそれぞれ黒と白の装束に身を包み、光源氏の心の闇と光を表しているとのこと。

昼の部に出かけたときに今月の筋書きを買っていて、予習できたから分かりましたが、会場はポカ~ンとして、

何となく引いているようにも感じられました。

 

しかも、白い衣装の歌手は結婚指輪をしていたため、思いっきり俗世を体現していて、それならスーツで歌ってくれても

構わないんですけど、と思わずにいられません。

 

海老さまが源氏の君で登場すると、後方のお婆さま方が「綺麗ねぇ~」と嘆息を漏らしていました。

そうなんです!

これこそがファンが求めている「源氏物語」なのです!!

 

筋書きによると、平成12年5月上演の 玉三郎@藤壺、新之助(海老蔵襲名前)@光源氏はあいにく、

歌舞伎を見始めた直後でそんなプラチナチケットは取れず、私にとっては幻の公演。

 

これがすさまじい人気でチケット完売、当日券も購入できない女性ファンが歌舞伎座の前で泣き出したとか

ニュースになったほど。

あまりの人気に翌年5月に福助姐さん@明石の君で「源氏物語」再演。

そこでようやく見ることが叶いました。

 

明石の君のお父さんを故・團十郎丈が演じ、娘を思う明石の入道の心情に会場中が感涙にむせび、

私も顎のあたりまでダラダラと涙が伝って大変だったのが懐かしく思い出されます。

 

当時、寂聴さんが劇場を訪れた際のエピソードとして、「ご年配のご婦人方が光源氏を見ながら手を合わせてた。

あなたはもう、何もしなくていい、そこにいてくださるだけでいい、と拝んでいた」との談話を載せていました。

 

今月も初日から完売。

前のほうの良い席には、年配女性がご友人らしき方々と大勢いらっしゃいました。

おそらく、彼女たちはかつての「源氏物語」を期待していたと思われます。

私だってそう。

 

しかし、期待は見事に裏切られ、正味2時間半の舞台で美しい源氏の君のお姿は30分もなかった気がします。

 

オペラも能も数回ですが、実際に生で見たことがあります。

どちらも素晴らしい芸術です。

でも、この舞台に関してはチョイ役のように登場する必然性が感じられず、その素晴らしさを味わうことは

全然できませんでした。

 

プロジェクションマッピングも「ワンピース」のように、大船団を舞台に出すことはできないので使うというのなら

効果的ですが、四季の移り変わりを見せるだけでは「誰も見たことがない」という触れ込みは過大といえるでしょう。

 

舞台のお花もその場で生け込むのですが、最前列で見ていても多分、造花に見えて意図は伝わってきません。

それなら、うんと豪華な生花をあらかじめ飾っておいたほうが、幕が開いた瞬間に意外性があったように思えます。

 

ラストも、なぜかいきなり鷹之資君や男寅君やらがワラワラ出てきて、舞台で踊りまくります。

外人さんお二人も笑顔でご参加。

 

皆が揃って、何となくハッピーエンド風の大団円。

スタンディングオベーションが起きましたが、私は立ちませんでした。

玉三郎さんが養父から言われた戒めで、「役者を殺すのに刃物は要らぬ、日に3回褒めればいい」って言葉を

テレビで話されていたのを思い出しました。

 

今回のバージョンの「源氏物語」が来年あったら、また行くかと問われたら、多分行かない……。

 

テンション下がって帰途についたせいか、軽い熱中症のような症状で珍しく頭痛に見舞われ、

その夜はブログ書きかけで就寝した次第。

美しい光の君さまを、もっと見たかったよぉぉ。

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