今月は三津五郎丈の三回忌追善公演でもありました。
未だに信じられない、信じたくない思いですが、遺影が飾ってあるのを拝見すると物悲しい気分に……。
マダムに人気だった三津五郎さん。
お着物姿のご婦人が遺影の前で手を合わせていたのが印象的でした。
追善狂言として、「どんつく」が息子の巳之助君によって披露されました。
舞踊の名手といわれた人の御曹司。
正直言って、以前の巳之助君は踊りも芝居も台詞もあまり良くありませんでした。
それが、ある時期からみるみる上達して、見るたびに「おおー」と思う成長が感じられるようになったんですよね~。
そして、それは現在進行形。
一生懸命、三枚目役もこなすし、変声期を経て声も安定しましたね。
夜の部「助六」の福山かつぎでも、シャキシャキした江戸っ子を好演していて、「そうか、巳之助君がいた!」
と絶好の配役に感心した次第。
昼の部最大の眼目は、仁左衛門の「義経千本桜」。
「渡海屋」の幕では、カッコイイ船問屋の主人・銀平。
「大物浦」では幽鬼のような平知盛を。
もー、仁左さまったら、どうなさったの? 驚くほどの素晴らしい出来。
前回、同じお役を務めたときも、「仁左さまが知盛?」と疑問を抱きつつ見に行って、すっかり魅せられたものですが、
今回は完成度が高すぎて恐くなったほど。
新聞劇評でも「命を削りながら演じている」と評されていたくらい、鬼気迫るものがありました。
三階席で見たので、錨と共に海に落ちていく場面では背面から真っ逆さまに跳んだことを表す両足の裏が見えました。
その下では支える黒衣さん、3人の姿がチラリ。
間違っても、お怪我なんてさせられないですからね。
こういう舞台裏を垣間見ることができるため、1階最前列でなくても、演目によっては3階のほうが良かったりして。
昼の部は海老さまが、「どんつく」に若旦那役で付き合って少ししか出ないのがわかっていたので、節約。
とはいえ、仁左さまの芸術的な知盛を1等席で見たかったという気もします。
大幹部の至宝ともいえる舞台を見逃さないように、今後も歌舞伎座に通いますっ!
なかなかブログはアップできないけれど。