「野村ノート」野村克也著より。
しばしば、結果的に勝ったものが強いと思いがちのではないだろうか、と思わず突っ込みをいれたくなってしまう。勝負の世界では実力の差で勝負が決まってしまうものだが、野球の場合、戦力に4対6、3対7くらいの戦力の差があっても弱者は勝者になれることもあった。
それはつまり勝率が5割台であっても優勝チームになる可能性があるからだった。年間144試合でも最後は1勝の差であったり、優勝決定戦までもつれ込むこともある。
最後まで優勝の行方がわからないというのも、観る側のファンにとっては面白いことでもある。またヤンキースや巨人のように、莫大な資金で補強したからといって、優勝できるとは限らない。そこを野村氏は強い者が必ず勝つとは限らないと表現していた。
初めから戦力に大きい差がある場合、弱者が強者に勝つにはどうするのか。そのために対策、戦略を練っている。それは考えて戦うことだという。これはふだんの仕事でも同じことが言えそうだと思った次第。
中小の会社も大企業にない技術力、機動力、人材力などをもつことで十分太刀打ちできることもある。決裁までに時間がかかる大企業よりも、アイデアとスピードに優れた個人企業のほうが顧客にとって内容がいい仕事ができるかもしれない。
またきめ細かさ、丁寧さ、サービスの良さ、アフターケアの良さ、応用力などを考えれば、大きくて強い組織がかならずしも優れているとは言えそうもないことにも気づく。