ちょっとマンネリですが・・・

ダラダラ過ごしている毎日のことあれこれ・・・・

人は、その性格に合った事件にしか出会わない。

2010年04月10日 | Weblog
「逆境を生きる」城山三郎著より。

この言葉は懐かしく感じられた。もう30年ほど前に、ラジオで城山(三郎)さんの講演会を聞いていたとき、渋沢栄一の話がでてきて、そのなかで語られていたことを思い出したからだ。実に短くて印象深いフレーズだった。渋沢は前日触れた御木本幸吉がずっと意識していた大先輩だった。

御木本は渋沢が九十過ぎまで長寿を保ったから、自分も長生きすれば少しでも渋沢に追いつけるかもしれないと願って、実際九十六まで生きている。さて、渋沢は日本最大の経済人で、近代日本の指導者の一人だった。

もともとは埼玉県の山奥のお百姓の出身で、あの時代ではまったく出世できるはずのない生い立ちだった。明治時代の出世コースは薩長土肥の出身者、しかも侍あがりで固められていたのだ。

城山さんは、渋沢が近代日本の代表的な指導者にまでなったのは、彼の受信機能の良さのせいだと考えていた。どんな人からもさまざまな知識を吸収しようと努めていたのだ。

上記のフレーズは、文芸評論家の小林秀雄さんが書いていたことだった。つまり、そういう性格だから、そういう事件にあったのだという。事件が性格を作るのではなく、性格が事件に遭遇させてしまうと考えたのだ。

ここでは、その例として渋沢栄一を城山さんはあげていた。渋沢は先ほども触れたように、どんな環境でも吸収魔といわれるくらいに勉強を重ねてきた結果として、日本最大の経済人とまで呼ばれるようになったのだろう。