2013年、最初に紹介するのは、
「ロッタちゃんとじてんしゃ」。
リンドグレーン作、ヴィークランド え、やまむろしずか訳。
1976年初版で、長く親しまれている絵本です。偕成社から出版されています。
リンドグレーンさんと言えば、「長くつしたのピッピ」が有名ですよね。
さて、
「ロッタちゃんとじてんしゃ」という話は、簡単に言うと、やんちゃな5歳の女の子が、じてんしゃを手に入れるまでのドタバタを描いたお話です。
5歳のロッタちゃんは、おにいちゃん、おねえちゃんがやることを、じぶんでもやってみたい、じぶんもできると思っています。
5歳くらいの子どもって、そんなとこありますよね。
すぐに「じぶんもできる~!」って言って、何でもやろうとする、あの感じ。
そのロッタちゃんが、できると宣言しているのが、じてんしゃに乗る事。
「あたいだって、きっと、じてんしゃに乗れますよ」と。
でも、ロッタちゃんは、ようやく5歳になろうかというところで、とてもじてんしゃには乗れません。
おにいちゃんやおねえちゃんは、「おまえは小さすぎる」「じてんしゃももってない」と言って、「おまえには無理」と相手にしてくれません。
でもロッタちゃんは「乗れないのは、あたいが、じてんしゃを持っていないからよ」と言って、「ほんとは乗れるんだから」と負けません。
そこで、ロッタちゃんは、ぬいぐるみのバムセに、「おそろしい」計画を聞かせます。
「あたいのたんじょうびに、もしほんとうのじてんしゃがもらえなかったら、あたい、一台かっぱらうつもりよ」
・・・で、いよいよたんじょうびがやってきましたが、
みんながプレゼントしてくれたのは、
おもちゃのじどうしゃ3台、絵本が1さつ、なわとびのなわ、あたらしいぶらんこ、きれいなかばん・・。
じてんしゃはありませんでした!
でも、やっぱり5歳の女の子です。
あたらしいプレゼントが気に行ったので、じてんしゃの事は忘れてしまい、もらったもので、とても楽しくロッタちゃんは遊びました。
めでたし、めでたし・・・と行けば良いのですが、やはりそうはいきません。
家に帰った時に目についた三輪車を蹴飛ばして、「おまえなんかにもうぜったいに乗ってやらない」と言い放ちます。
3才のたんじょうびに買ってもらった時は、あんなに喜んでいたのに、
子どもとは、何と気まぐれで、残酷・・・というか、じてんしゃという欲しいものに気持ちがいっぱいになるのが、やはり子どもでもありますよね。
そして、ついに、「おそろしい」計画を実行しようとします。
ロッタちゃんは、ベルイおばさんの物置に古い自転車があるのをちゃんと見ていました。
それをいただいてしまおうというのが、「おそろしい」計画なんです。
しかも、おばさんがお昼寝をする隙をねらってかっぱらおうというんだから!
作者も思わず「なんて、おそろしい こどもでしょう!」と。
ベルイおばさんの家に行ったロッタちゃんは、おばさんにお昼寝をすすめて、まんまと自転車を物置から出して、かっぱらおうとします。でも、じてんしゃが大きすぎて、なかなかうまく乗れません。それでも、なんとか押して行って、「ビューンと」下りるために坂道をのぼります。
そして、一気に坂を下りだします。
ビューンと飛ばすどころか、飛ぶように走るじてんしゃはぜんぜん止まりません。
さすがのロッタちゃんも「たすけてー」と叫びますが、じてんしゃは走る走る。
そして、ベルイおばさんの家の垣根に突っ込んでようやく止まります。
バラの茂みの中に投げ出されたロッタちゃんはこぶをつくるは、ひざから血がでるはで、さんざんにわめきちらします。
「あたいのたんじょうびなのに、血が出た~」には、笑ってしまいますね。
最悪のたんじょうびにふくれっ面をするロッタちゃんだったけど、優しいパパが、ロッタちゃんでも乗れる中古の自転車を買ってきてくれて、一気に最高のたんじょうびになったロッタちゃん。
喜びいさんでじてんしゃを乗り回すロッタちゃん。でも、これで終わりません。
今度は、おにいちゃんがしている手放し運転を「じぶんもできる」と言ってやりだしますが・・・
要求が満たされたら、次の要求へ・・・子どもって、なんておそろしい!
でも、そんな風にして、世界を広げていくのが子どもってものだよね。
そんな子どもの面白さを思う存分に堪能させてくれるお話ですよ。
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