かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

山中従天医館(愛知県碧南市)

2009-03-23 | 西三河の近代建築

●山中従天医館/碧南市東浦町/昭和5年 設計:大中肇

 大浜警察署を設計した大中肇のライト式建築が碧南に現存しています。
ライトと言えば帝国ホテルに代表される大規模な建築を思い浮かべますが、プレーリーハウス(草原住宅)と呼ばれる独自のデザインの住宅作品も有名です。深い軒にゆるい勾配の寄棟屋根を載せ、軒先の水平線を強調し、その下に縦長の連続窓を配して流れるような連続的な動きを表現しています。
 山中従天医館も当時流行のライト式を採用した医院建築で、現在も建設当時の外観を保ったまま、80年にわたり大切に使用されています。オーナーの建物に対する愛情が感じられ、建物を通じてその人柄が伝わってくるようです。



◆全景(南東面)


◆深い軒先、ゆるい勾配の屋根、連続した窓などが独自の空間を創り出しています。


◆玄関には茶褐色のスクラッチタイルや、幾何学模様の窓枠などライト風のデザインが随所に使われ
ています。



            ◆◇◆東海地方のフランク・ロイド・ライトの作品◆◇◆

●帝国ホテル中央玄関/愛知県犬山市明治村内/大正12年
  
 20世紀建築界の巨匠ライトの帝国ホテル中欧玄関部分が明治村内に移築保存されています。玄関ロビーに立つと、天才建築家が表現した空間にただただ圧倒されます。
 ホテル全体が保存されなかったのは悔やまれますが、玄関だけでも保存されたのは、多くの人がライトの作品に触れるきっかけになりました。近代建築の文化的価値が現在ほど認識されていない1960年代に、移築保存を決断した当時の佐藤栄作首相に感謝です。


◆帝国ホテル玄関正面
 どこかの古代の遺跡のようでありながら、懐かしさが感じられる不思議な空間。


◆2階からロビーを望む
 薄暗い洞窟のような囲まれ感が心地よい。


◆スクラッチタイルと大谷石の彫刻、多面体の照明器具など、まさに唯一無二の「ライトワールド」が広がります。