伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

歌舞伎町ダムド

2017-04-02 18:44:54 | 小説
 「歌舞伎町セブン」の続編。「歌舞伎町セブン」で新たな構成で復活した歌舞伎町セブンが殺害する予定だった相手が、何者かに先に殺され、ジウの後継者を気取る「歌舞伎町ダムド」と呼ばれる殺し屋の存在が浮かび上がり、他方、ミサキは「新世界秩序」のミヤジの後継者を名乗る謎の人物に息子を人質に取られ身動きできない状態にあり、その状態で何者かが東弘樹警部補の殺害を多方面に依頼し、「歌舞伎町ダムド」が動き、さらにはミサキもミヤジから東殺害を命じられるが、歌舞伎町セブンは東の保護を決意し…というアクション小説。
 「歌舞伎町セブン」で関係者を歌舞伎町の暴力団と商店・風俗店経営者、警察官等にほぼ限定した結果、話自体も悪役もしょぼくなったことへの反省か、ここでまた「ジウⅢ」の枠組みに戻って、風呂敷を広げています。そのため「ジウⅢ」同様の非現実感・荒唐無稽さが強くなりながら、この作品のタイトルにまでなっている殺し屋の「歌舞伎町ダムド」が読んでいてまったく共感できないとことんまで自己中で残忍でしかも小者感全開のキャラである上終盤もあっけなく、作品としてのまとまり、収めどころが悪く、フラストレーションがたまります。
 権力に根を張る「新世界秩序」などという存在を遺し敵役として展開してしまってどう収めたらよいのか、作者にもわからなくなっているのかなという気がします。さらに続編の「硝子の太陽N-ノワール」(2016年5月)でも話を収められずに、「武士道ジェネレーション」(2015年7月)以降、右翼の伝道師へと踏み切ったきらいがある作者は沖縄の米軍基地反対闘争は本土の左翼犯罪者の陰謀というストーリーを描き、さらにはその背景には外国人がいると示唆しています。その先、まだこれから書かれるであろう続編までついていくのはかなりつらいなぁと思います。


誉田哲也 2017年2月25日発行(単行本は2014年9月)

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