伊東良徳の超乱読読書日記

読んだ本の感想を中心に本に対するコメントを書き散らします。読み終わった本は図書館に返すのでフォローは保証できません。

医療者が語る答えなき世界 「いのちの守り人」の人類学

2017-08-02 20:40:10 | 人文・社会科学系
 入院患者に対する管理、高齢者に対する(ベッド)拘束、手術室にまつわるルールとその合理性、ワルファリンやDOACなどの抗凝固薬の薬効・副作用と医師によるコントロール(処方の微調整)の是非、根拠に基づく医療(Evidence - Based Medicine)と漢方、治すことと患者の意思・選択、認知症の意固地な人の在宅復帰、失語症とリハビリという8つのテーマを題材に、医療者が何を考え悩んでいるかをインタビュー等によって描いた本。
 医療者側の都合で患者を機械・材料のように扱うこと、患者の納得や選択よりも「治す」ことを優先する医療への疑問を、それに疑問・迷いを持つ医療者の言葉から浮かび上がらせようとしています。患者を人間として扱えという話を、患者・家族・遺族側からするのではなくて、心ある医療従事者側の自戒・心情で語る点にポイントがあるわけですが、他方で、そんなことを言っていたらとても(他の患者のケアも含めて)仕事が回らず、医療従事者が過労で倒れるだけという怨嗟の念を持つ者も多数いると思います。そのあたりの困難さを考える素材としてはいいかなと思います。
 ただ、血液をさらさらにする薬のDOACに「直接経口凝固薬」って振ったり(93ページ:血液をさらさらにするんだから「凝固薬」じゃなくて、「抗凝固薬」でしょ)、EBMについて Evidenced Based Medicine とか(110ページ)、ちゃんとわかって書いてるのか不安になります。医療の分野じゃないけど、181ページの賃貸マンションの例では「賃借人」と「賃貸人」逆だと思いますし・・・


磯野真穂 ちくま新書 2017年6月10日発行
 
『本』 ジャンルのランキング
コメント (2)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« しろいろの街の、その骨の体温の | トップ | 女性社労士の着眼力 知った... »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
無題 (こむろ)
2017-08-03 09:18:46
 私の妹は20歳の頃に虫歯になりちょっと色々な事情で大学病院で治療することになり、行ったら医学部の学生とかが大勢見学する前での治療になったそうです・・・。
 「実験台」にならないと実際の医療も学べないというのも仕方のないことですが・・・。
コメントありがとうございます (伊東良徳)
2017-08-03 09:25:28
こむろさん、コメントありがとうございます。
そうですね。我々の業界でも、司法修習生が、裁判等の現場で現実の事件を傍聴させてもらって勉強しています。
かみさんは子どもを3人助産院で出産しましたが、助産婦の見習いの方が多数来ている中での出産も経験しました。

コメントを投稿

人文・社会科学系」カテゴリの最新記事