伊東良徳の超乱読読書日記

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貧困のハローワーク

2017-11-07 07:31:12 | ノンフィクション
 各種の非正規労働者やブラック企業の正社員、フリーター、ホームレス、生活保護受給者16名と著者の短期アルバイト経験を合わせ、現代日本のワーキングプアと無職者の生活状況をレポートした本。
 安倍政権のいう「求人増」が、不安定・肉体労働の求人増と正社員・事務系の求人はほとんどなくあっても中高年の就職は無理という実情が、悲しいほどわかります。
 使用者側がひどい労働条件を押しつけ労働者を使い捨て状態で酷使している現状に慄然とします。今よりもさらに使用者側がやり放題にすることができる法改正の提案が目白押しで、それを推進する政党の国会議員が衆議院で8割を占めている現状が、いかに恐ろしいことかを改めて感じます。
 「風俗があったからわたしも子どもも生き延びてこられたのは事実ですよ」(35ページ)、労働基準法無視、暴力も頻繁の風俗業界(男性)についても「こういう仕事で助けられたという人が多いのは事実だ」(127ページ)、ホームレスを囲い込んで生活保護を受給させ保護費の大半をむしり取る貧困ビジネスについて「こうした業者がホームレスの人たちの生活改善につながっているという側面も否定できない」(203ページ)などというのは、この国のセーフティネットの欠落・欠陥、まさしく政治・社会保障の貧困を痛感させるところですが、そういう主張を含む本ではないようです。
 この本の中で、借金を抱えた人の話が出ると、「頼ったのは法テラスで、そこで自己破産と免責の申し立てをするように指導された。そうは言っても費用が掛かる。40万円と言われましたね。(略)大学時代の友人のお兄さんが弁護士だった(略)分割で引き受けてくれまして」(43ページ)って・・・いや、「遊興費や賭け事で作った借金ではない」(43ページ)で資産がなかったら破産手続は同時廃止手続で済み費用は裁判所に納める官報公告費が1万0584円と法テラス利用の場合弁護士費用(官報公告費以外の実費込み)が15万2600円(借りた相手がとても多いときは増額になりますがこの人は債権者6社(42ページ)なのでこの金額)を(法テラス利用なら弁護士がだれであっても)月5000円~1万円の分割払いなんですけど。それから申立から自己破産の決定と免責の許可が出るのは4~6か月後(43ページ)とされていますけど、この人の現住所は東京都練馬区(36ページ)ですから管轄は東京地裁で、東京地裁では同時廃止の事件の破産手続開始決定は申し立てたその日、免責決定は2か月後ですけど。「遊興費や賭け事で作った借金」だったり20万円以上の資産があったりして破産管財人がつく手続なら、管財人への「引継予納金」20万円が追加になり、その引継予納金が一括納付できないときは債権者集会や免責決定が4か月後になりますが。そういう情報は、きちんと調べて正確に書いて欲しいなぁと思います。こういうのを読んで自己破産も無理って誤解してさらに悲惨な状況に陥る人が出ないために。


増田明利 彩図社 2016年10月12日発行
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