伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

国会女子の忖度日記 議員秘書は、今日もイバラの道をゆく

2017-09-18 20:55:49 | ノンフィクション
 国会議員秘書歴20年以上という匿名の著者が、議員秘書の仕事の実情を説明した本。
 雇い主が「偉い人」で基本的にわがままということから(ある意味、弁護士の場合も同じような位置づけかな・・・)朝令暮改の指示に対して絶対服従を求められ、議員が落選すると職を失いかねないので選挙運動も一蓮托生で奉仕が求められる、ストレスがたまることもあり先輩秘書のいじめも多い、地元の支援者には逆らえないので無理な要求が少なくないなどの事情があれこれ書かれています。そのあたりは、仕事と雇い主の性格上、概ね予想できるところではありますが。
 優秀な秘書は永田町から早々にいなくなる、秘書自身に集票力や人脈があれば自分が政治家になってしまうし、情報収集力や分析力があれば大学やシンクタンクに、人心掌握力があれば大手企業の秘書室長等に引き抜かれということで、残っているのは・・・(32~33ページ)というのは、さもありなんというところでしょうね。
 後半では、国会議員の醜聞や評判について書いていますが、明らかに自民党議員には甘く、野党、特に民進党と蓮舫にはやたら厳しい書きぶりで、いかにも自民党と自分の雇い主の意向を「忖度」した内容です。野党の牛歩は時間の無駄と言いつつ、共謀罪の異例の「中間報告」による強行採決には野党が批判しても時すでに遅し、と涼しい顔をしています(194~195ページ)。こういう姿勢で「正義感」と「誠実さ」も秘書を続ける私のモチベーションになっています(229ページ)というのですから、永田町特有のというか自民党バージョンの価値観を読む本と受け止めておくべきでしょう。


神澤志万 徳間書店 2017年7月31日発行
 

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