伊東良徳の超乱読読書日記

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名もなき毒

2007-04-25 07:55:29 | 小説
 紙パックウーロン茶への毒物混入による殺人事件と解雇されたアルバイトの怨念をめぐるミステリー小説。
 解雇されたアルバイトの身勝手で被害者意識の強い姿勢が強く印象づけられます。前半でのこの人の様子は、弁護士なら(紹介者のいる人の相談しか受けない弁護士でなければ)たいていは経験している感じで、さすが元弁護士事務所勤務なんて思いました。でも同時にそういう見方をしてしまうと見えなくなる事実もあるし、後半でちょっと極端に走らせすぎて、今の経営者側がやりたい放題に近い労働シーンを考えると、労働者側に偏見持ち過ぎ/経営者側の見方じゃない?とも思ってしまいます。犯罪者となるのは比較的貧しい労働者で、主人公は財界人の逆玉だし。
 毒殺事件(青酸カリ)、シックハウス・土壌汚染の毒(有害化学物質)、人間に潜む邪悪で悲しい怒りの毒を交差させ、最後の人間の性を、正体がわかり名付けられれば対策も講じられるがそれに至らない名もなき毒と位置づける(451~452頁)のがタイトルの由来。
 ところで相続人が子どもだというときに遺留分が3分の1(212~213頁)は2分の1の間違い。それくらいは調べて欲しかったですね。


宮部みゆき 幻冬舎 2006年8月25日発行
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