伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

さよならインターネット まもなく消えるその「輪郭」について

2017-02-08 21:17:48 | 実用書・ビジネス書
 レンタルサーバー事業や各種のウェブサービスの会社を経営しインターネットのプラットフォームを提供する側に立ち、2014年には東京都知事選挙に立候補しネット選挙を展開した著者が、インターネットの過去・現在・未来を語る本。
 基本的に、著者の経験談で自伝的エッセイという感じです。インターネットの初期、電話回線でその都度接続・切断し、モデムの「ピーヒョロヒョロ…」を聞いていた世代としては、懐かしい話が見られ、またSNSで「友達」からの投稿やシェアで送られてくる情報が基本的に方向性が同じで、それを見ていると世の中を見誤る(私の経験でも選挙など特定の陣営の側にいると身内の情報が多数流れてきているのに漬かっているうち勝っているように錯覚してしまうことが多々あります)というような話は、そうだよねと思うのですが、だからインターネットの利便性が減少したわけでも特に危険になったわけでもないと私は思います。確かに送られてくる情報だけ見ていたら心地よい幻想の世界に浸ってしまうのでしょうけれども、そもそも自分で積極的に情報を求めることで自らの知識や検討・検証能力を高めることができるのがインターネットの大きな魅力だと思うのです。近年のSNSの発達などにより、インターネット環境が誰もが顔なじみの田舎町のようになり、どこへ行っても知り合いに出くわし、監視されているような窮屈さを感じるとして、そこから外へ(リアルの世界へ)飛び出すことに救いを求めようというのは、著者がそうするのは自由ですし、ネット社会で息苦しさを感じている人にそういう道もあるよと示唆するのはいいと思うのですが、推奨すべき方向性と言えるか疑問を感じます。


家入一真 中公新書ラクレ 2016年8月10日発行 
 
コメント
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