11・4のあとすぐ、以前住んでいたカリフォルニア(ベイエリア)の友人たちに号外を出した。
特にリベラルで知られるベイエリアの人々が、今度の選挙にいったいどんな反応だったのかも興味津々だった。
早速続々と反応が返ってきた。(英文原文ママ)
** ** ** ** ** ** ** ** ** ** ** ** ** **
"・・・around here everyone is ecstatic. last night there was yelling and cheering in all the streets around my neighborhood and firecrackers. i am incredibly happy today.
isn't he amazing. i finally have some hope for my country. i haven't had any hope for 8 years. it feels great.
geoff and i saw him speak a year and 1/2 ago before anyone thought he had a chance. i we've been working for his election ever since, but never thought he had a chance. i am phenomanally thrilled.
(この辺じゃみんな狂喜乱舞で、夕べうちの近所はみんな絶叫するやら歓声あげるやら、爆竹鳴らすやらで大変やった。今日はめちゃくちゃうれしい。彼はもう最高や!やっとこの国に少し希望が持てたわ。8年間何の希望もなかったから最高の気分。
1年半前にジェフ(主人)とふたりでオバマ氏の演説を聞いてからずっと、この選挙選を支援しとってん。チャンスがあるんやないかて誰もが思うずっと前に。でも正直大統領になれるとは思わんかった。もうびっくりするほど興奮してるわ。
― Anne・アダルトスクール時代の恩師・バークレー在住 *なぜか関西弁訳)
“Obama's speech was eloquent and moving. When he first walked on stage, he had such a poignant expression on his face. I was so touched.
What joy it will be to see his beautiful family living in the White House.
I'm going to forward your pictures to Carlos. When I came home last night from him saying that he was "superfeliz" and that "America was a great country." Well, at least we're going to be a better country.
(彼の演説は雄弁で感動的だったわ。最初に彼がステージに歩み出たとき、胸にせまるような表情をうかべていたわね。ぐっときたわ。
彼のあの美しい家族がホワイトハウスに住むのを見られるなんて、なんて心躍ることかしら。
あなたが送ってくれた写真をカルロス(ベネズエラに住む共通の友人)に送らなくちゃ。夕べ彼から留守電が入っていてこう言っていたの。“最高にうれしい。アメリカはグレートな国だ”ってね。
まあ、少なくとも今よりもいい国になるでしょうね。
― Dede・バークレー在住)
“I'm sooooooooooooooooooooooooooooooooooooooo excited about our new president!!!!!!!!!!! I totally agree the last 8years were nightmares... Firuz and i became citizens just before the election. That's why we were so excited to be able to participate by voting in such a historical election.
When i was watching election on TV, i wish i was in Chicago. Seeing a huge crowd it was so amazing. Actually, i thought about you and i was wondering if you and Pedro went to Chicago that day. I even told Firuz that i was sure that both of you went. It also so great to see people in other states as well as around the world celebrating our great new president.
When i went to campus the day following the election, everyone in SJSU was celebrating. Starbucks was giving away free coffee, jumba juice free juices and there was free foods. I'm still so excited about the election even though it is over that i can't stop expressing my emotions and excitement.
(新大統領の誕生、もうサイコーにうれしい!この8年間は本当に悪夢だった。フィリス(主人)と私は選挙の少し前にアメリカ市民になったの。だからこの歴史的な選挙に参加できることにすごくうきうきしたわ。シカゴの群集をテレビで見たとき、きっとふたりはこの中にいるって思ってそう話してたの。他の州や国の人たちが私たちの誇るべき次期大統領を祝福してくれたのも最高だった。
翌日、大学(サンノゼ・ステートユニバーシティー)に行ったら、みんなお祝いしてた。スターバックスはタダでふるまわれていたし、ジャンバ・ジュースも無料で、食べ物も無料配布されていたのよ。
選挙が終わってもいまだに興奮冷めやらない。この感動を表現してもしてもし足りないくらいよ。
― Nigora・アダルトスクール以来の友人。旧ソビエト・ウズベキスタン出身)
"Friends around me were very happy about the result. You know, Californians. Yes, Obama brought hope to the US, and we hope he can bring change to the world, too.
(まわりの友人たちはこの選挙結果を喜んでいるわ。カリフォルニアンですもの。そう。オバマはアメリカに希望をもたらしてくれたし、世界を変えてくれると期待しているわ。
― Amy Huang・バークレー在住。中国出身)
"Yes, we stayed very happy with the election of Democrat in US too, speacially him. In Brazil the news were very positive about Barack Obama, even though they talked about the hard job he will face!! But at least it a chance for change!!!"
(私たちは民主党の勝利に、特に彼が選ばれたことを喜んでいるわ。
ここブラジルでも、たとえ苦難に面しているとはいえオバマ氏に関する報道はとてもポジティブよ。少なくとも変革のチャンスということね。
― Maria・旧クラスメート/ブラジル在住)
** ** ** ** ** ** ** ** ** ** ** ** ** **
もともとカリフォルニアは民主党の牙城。(なぜか州知事のシュワちゃんは共和党だが)
そんなわけで、共和党は初めからキャンペーンの比重を置いていない。
公式投票結果を見てみると、州全体では、
61% オバマ
37% マケイン
票数ではなんと、約250万票の開きがある。
これがカウンティ(郡)単位になるとさらに顕著で、
サンフランシスコでは
85% オバマ
13% マケイン
と、もう圧倒的。
バークレーやオークランドを含むアラメダカウンティでは
79% オバマ
19% マケイン
と、これも圧倒的な開きだった。
ちなみ地元、イリノイ州では
62%対37%で、カリフォルニアとほぼ同じだ。
世界各国も概して、8年ぶりの民主党の政権奪回、ことさらオバマ氏の勝利を好意的に受け止めて報道している。
対話路線を強調しているオバマ氏と比べて、マケインはブッシュの強硬路線を引き継ぐと思われていたからだ。
何様のつもりだか、マケインは数ヶ月前「(イラクから軍隊を撤退させた)スペインの国王とは(大統領になっても当分)会うつもりはない」と言って内外から大顰蹙をかった。
この、“KY発言”はマケインが一気に落ちていくきっかけにもなった。
また、今回面白かったのは日本との温度差だった。
「よかった!」とコメントしてきたのは、アメリカに在住経験のある友人だけ。
普通に生活している日本人にとっては、「よかった」と言えるだけの十分な理由も知識もパッションもなかったからだろう。
まぁ、外国の大統領選挙に盛り上げれと言うほうが無理というものだが。
オバマ氏は日本でも注目されていたようだがマケイン氏にいたっては「で、誰よ?」という感じだったらしい。
もっともオバマ氏に関しても“オバマまんじゅう(by 小浜市)”や“初の黒人大統領か”という、全く政策とは関係の無いところで騒がれていたにすぎない。
結果、優勢と報じられていたオバマ氏が勝ったところで別段「歴史的」という感覚もなくて当然だろう。
だいたい、96年当時は私だってクリントンの対抗馬は誰だかも知らなかったのだから。
でも今は、大統領が誰になるか、政府が今後どのように舵取りをしてくるかが私たちの生活に大きく影響してくる。
私たちはアメリカ市民ではないし参政権もない。しかし、ここで収入を得、税金を払い、家のローンを払っていることになんら変わりはない。
医療制度も今後の生活に大きくかかわってくる。無関心でいるわけにはいられない。
4年に一度のアメリカ大統領選が盛り上がるのは当たり前とはいえ、今回の選挙にかける国民の真剣度はすさまじかった。
それはきっと、ここに至るまでの長い長い伏線があったからだと思う。特に、民主党支持派の人たちにとっては・・・。
2000年の大統領選挙では、民主党のゴア候補との投票差をめぐっていろいろな“謀略”がささやかれ、疑惑のうちにブッシュが政権を握ることになった。
そして、2001年、テロが起こり、ブッシュ政権は一気に戦争へと突入していく。
続く2004年の選挙でも、最後のアイオワの開票までもつれこんだ結果、ケリー氏を僅差で破って再びブッシュが政権を握った。“戦争効果”である。
あのとき、私の周りの人々が受けた衝撃と絶望を、今でも忘れない。絶望のあまりカナダに移住した人もかなりの数にのぼったという。
そして、戦争で国は疲弊。
ブッシュは政治に宗教を持ちこみ、科学を否定した。その結果“カトリーナ”を招き入れ、南部をボロボロに破壊した。また、アルツハイマーなどの難病の解明に期待される胚幹細胞研究推進法案にも拒否権を発動、道を閉ざした。
とどめは住宅ローン破綻、そして金融破綻、である。
以前ここにも書いたが、きっとブッシュはどこぞ(maybe mission from God?)から「アメリカを根本から破壊せよ」という密命を受けた人物(そのわりに頭悪い)だったのかと疑うほど、8年間で国を見事に破壊した。
その長い長い悪夢のような道のりを経て、やっとおとずれたわずかな光明が、今度のオバマ氏勝利だった。
しかし、これからが大変だ。
彼は神サマではない。一部の人たちは彼が全ての問題を一夜のうちに解決してくれるとバカな期待をしている節があるが、そうはいくまい。
敗戦国が国を建てなおすようなものだ。
昨日、選挙後最初の記者会見を見たあるトークショーのコメンテーターがこう言っていた。
「ああ、やっと“大人”の話を聞けた。なんて素晴らしいことなんだ!なんてったって、彼(オバマ氏)のスピーチはちゃんと文章になっている。主語と述語があって、最後にピリオドがあるんだから。」
特にリベラルで知られるベイエリアの人々が、今度の選挙にいったいどんな反応だったのかも興味津々だった。
早速続々と反応が返ってきた。(英文原文ママ)
** ** ** ** ** ** ** ** ** ** ** ** ** **
"・・・around here everyone is ecstatic. last night there was yelling and cheering in all the streets around my neighborhood and firecrackers. i am incredibly happy today.
isn't he amazing. i finally have some hope for my country. i haven't had any hope for 8 years. it feels great.
geoff and i saw him speak a year and 1/2 ago before anyone thought he had a chance. i we've been working for his election ever since, but never thought he had a chance. i am phenomanally thrilled.
(この辺じゃみんな狂喜乱舞で、夕べうちの近所はみんな絶叫するやら歓声あげるやら、爆竹鳴らすやらで大変やった。今日はめちゃくちゃうれしい。彼はもう最高や!やっとこの国に少し希望が持てたわ。8年間何の希望もなかったから最高の気分。
1年半前にジェフ(主人)とふたりでオバマ氏の演説を聞いてからずっと、この選挙選を支援しとってん。チャンスがあるんやないかて誰もが思うずっと前に。でも正直大統領になれるとは思わんかった。もうびっくりするほど興奮してるわ。
― Anne・アダルトスクール時代の恩師・バークレー在住 *なぜか関西弁訳)
“Obama's speech was eloquent and moving. When he first walked on stage, he had such a poignant expression on his face. I was so touched.
What joy it will be to see his beautiful family living in the White House.
I'm going to forward your pictures to Carlos. When I came home last night from him saying that he was "superfeliz" and that "America was a great country." Well, at least we're going to be a better country.
(彼の演説は雄弁で感動的だったわ。最初に彼がステージに歩み出たとき、胸にせまるような表情をうかべていたわね。ぐっときたわ。
彼のあの美しい家族がホワイトハウスに住むのを見られるなんて、なんて心躍ることかしら。
あなたが送ってくれた写真をカルロス(ベネズエラに住む共通の友人)に送らなくちゃ。夕べ彼から留守電が入っていてこう言っていたの。“最高にうれしい。アメリカはグレートな国だ”ってね。
まあ、少なくとも今よりもいい国になるでしょうね。
― Dede・バークレー在住)
“I'm sooooooooooooooooooooooooooooooooooooooo excited about our new president!!!!!!!!!!! I totally agree the last 8years were nightmares... Firuz and i became citizens just before the election. That's why we were so excited to be able to participate by voting in such a historical election.
When i was watching election on TV, i wish i was in Chicago. Seeing a huge crowd it was so amazing. Actually, i thought about you and i was wondering if you and Pedro went to Chicago that day. I even told Firuz that i was sure that both of you went. It also so great to see people in other states as well as around the world celebrating our great new president.
When i went to campus the day following the election, everyone in SJSU was celebrating. Starbucks was giving away free coffee, jumba juice free juices and there was free foods. I'm still so excited about the election even though it is over that i can't stop expressing my emotions and excitement.
(新大統領の誕生、もうサイコーにうれしい!この8年間は本当に悪夢だった。フィリス(主人)と私は選挙の少し前にアメリカ市民になったの。だからこの歴史的な選挙に参加できることにすごくうきうきしたわ。シカゴの群集をテレビで見たとき、きっとふたりはこの中にいるって思ってそう話してたの。他の州や国の人たちが私たちの誇るべき次期大統領を祝福してくれたのも最高だった。
翌日、大学(サンノゼ・ステートユニバーシティー)に行ったら、みんなお祝いしてた。スターバックスはタダでふるまわれていたし、ジャンバ・ジュースも無料で、食べ物も無料配布されていたのよ。
選挙が終わってもいまだに興奮冷めやらない。この感動を表現してもしてもし足りないくらいよ。
― Nigora・アダルトスクール以来の友人。旧ソビエト・ウズベキスタン出身)
"Friends around me were very happy about the result. You know, Californians. Yes, Obama brought hope to the US, and we hope he can bring change to the world, too.
(まわりの友人たちはこの選挙結果を喜んでいるわ。カリフォルニアンですもの。そう。オバマはアメリカに希望をもたらしてくれたし、世界を変えてくれると期待しているわ。
― Amy Huang・バークレー在住。中国出身)
"Yes, we stayed very happy with the election of Democrat in US too, speacially him. In Brazil the news were very positive about Barack Obama, even though they talked about the hard job he will face!! But at least it a chance for change!!!"
(私たちは民主党の勝利に、特に彼が選ばれたことを喜んでいるわ。
ここブラジルでも、たとえ苦難に面しているとはいえオバマ氏に関する報道はとてもポジティブよ。少なくとも変革のチャンスということね。
― Maria・旧クラスメート/ブラジル在住)
** ** ** ** ** ** ** ** ** ** ** ** ** **
もともとカリフォルニアは民主党の牙城。(なぜか州知事のシュワちゃんは共和党だが)
そんなわけで、共和党は初めからキャンペーンの比重を置いていない。
公式投票結果を見てみると、州全体では、
61% オバマ
37% マケイン
票数ではなんと、約250万票の開きがある。
これがカウンティ(郡)単位になるとさらに顕著で、
サンフランシスコでは
85% オバマ
13% マケイン
と、もう圧倒的。
バークレーやオークランドを含むアラメダカウンティでは
79% オバマ
19% マケイン
と、これも圧倒的な開きだった。
ちなみ地元、イリノイ州では
62%対37%で、カリフォルニアとほぼ同じだ。
世界各国も概して、8年ぶりの民主党の政権奪回、ことさらオバマ氏の勝利を好意的に受け止めて報道している。
対話路線を強調しているオバマ氏と比べて、マケインはブッシュの強硬路線を引き継ぐと思われていたからだ。
何様のつもりだか、マケインは数ヶ月前「(イラクから軍隊を撤退させた)スペインの国王とは(大統領になっても当分)会うつもりはない」と言って内外から大顰蹙をかった。
この、“KY発言”はマケインが一気に落ちていくきっかけにもなった。
また、今回面白かったのは日本との温度差だった。
「よかった!」とコメントしてきたのは、アメリカに在住経験のある友人だけ。
普通に生活している日本人にとっては、「よかった」と言えるだけの十分な理由も知識もパッションもなかったからだろう。
まぁ、外国の大統領選挙に盛り上げれと言うほうが無理というものだが。
オバマ氏は日本でも注目されていたようだがマケイン氏にいたっては「で、誰よ?」という感じだったらしい。
もっともオバマ氏に関しても“オバマまんじゅう(by 小浜市)”や“初の黒人大統領か”という、全く政策とは関係の無いところで騒がれていたにすぎない。
結果、優勢と報じられていたオバマ氏が勝ったところで別段「歴史的」という感覚もなくて当然だろう。
だいたい、96年当時は私だってクリントンの対抗馬は誰だかも知らなかったのだから。
でも今は、大統領が誰になるか、政府が今後どのように舵取りをしてくるかが私たちの生活に大きく影響してくる。
私たちはアメリカ市民ではないし参政権もない。しかし、ここで収入を得、税金を払い、家のローンを払っていることになんら変わりはない。
医療制度も今後の生活に大きくかかわってくる。無関心でいるわけにはいられない。
4年に一度のアメリカ大統領選が盛り上がるのは当たり前とはいえ、今回の選挙にかける国民の真剣度はすさまじかった。
それはきっと、ここに至るまでの長い長い伏線があったからだと思う。特に、民主党支持派の人たちにとっては・・・。
2000年の大統領選挙では、民主党のゴア候補との投票差をめぐっていろいろな“謀略”がささやかれ、疑惑のうちにブッシュが政権を握ることになった。
そして、2001年、テロが起こり、ブッシュ政権は一気に戦争へと突入していく。
続く2004年の選挙でも、最後のアイオワの開票までもつれこんだ結果、ケリー氏を僅差で破って再びブッシュが政権を握った。“戦争効果”である。
あのとき、私の周りの人々が受けた衝撃と絶望を、今でも忘れない。絶望のあまりカナダに移住した人もかなりの数にのぼったという。
そして、戦争で国は疲弊。
ブッシュは政治に宗教を持ちこみ、科学を否定した。その結果“カトリーナ”を招き入れ、南部をボロボロに破壊した。また、アルツハイマーなどの難病の解明に期待される胚幹細胞研究推進法案にも拒否権を発動、道を閉ざした。
とどめは住宅ローン破綻、そして金融破綻、である。
以前ここにも書いたが、きっとブッシュはどこぞ(maybe mission from God?)から「アメリカを根本から破壊せよ」という密命を受けた人物(そのわりに頭悪い)だったのかと疑うほど、8年間で国を見事に破壊した。
その長い長い悪夢のような道のりを経て、やっとおとずれたわずかな光明が、今度のオバマ氏勝利だった。
しかし、これからが大変だ。
彼は神サマではない。一部の人たちは彼が全ての問題を一夜のうちに解決してくれるとバカな期待をしている節があるが、そうはいくまい。
敗戦国が国を建てなおすようなものだ。
昨日、選挙後最初の記者会見を見たあるトークショーのコメンテーターがこう言っていた。
「ああ、やっと“大人”の話を聞けた。なんて素晴らしいことなんだ!なんてったって、彼(オバマ氏)のスピーチはちゃんと文章になっている。主語と述語があって、最後にピリオドがあるんだから。」