goo blog サービス終了のお知らせ 

詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

中井久夫訳『現代ギリシャ詩選』読む(93)

2024-03-31 21:58:25 | 中井久夫「ギリシャ詩選」を読む

 ここからはヨルゴス・セフェリスの作品。最初は「愛の歌」。

風のバラが無知なぼくらをさらったのだね。

 この一行の「意味」はわかったようで、わからない。風、バラ、無知、ぼくらということば交錯する。「さらう」という動詞が、その交錯をさらに攪拌する。万華鏡をのぞいたときのように、何か、とてもあざやかなものを見たという印象がある。しかし、それを論理的に説明することはできない
 この一瞬の混乱、そしてその混乱を美しいと思うとき、そこに詩が存在する。
 中井のように論理的な人間が、この混乱を混乱のまま一行にしているところに、中井の訳詩のおもしろさがある。「論理的に説明してもらえますか?」と質問してはいけないのである。


**********************************************************************

★「詩はどこにあるか」オンライン講座★

メール、googlemeetを使っての「現代詩オンライン講座」です。
メール(宛て先=yachisyuso@gmail.com)で作品を送ってください。
詩への感想、推敲のヒントをメール、ネット会議でお伝えします。

★メール講座★
随時受け付け。
料金は1篇(40字×20行以内、1000円)
(20行を超える場合は、40行まで2000円、60行まで3000円、20行ごとに1000円追加)
1週間以内に、講評を返信します。
講評後の、質問などのやりとりは、1回につき500円。

★ネット会議講座(googlemeetかskype使用)★
随時受け付け。ただし、予約制。
1回30分、1000円。(長い詩の場合は60分まで延長、2000円)
メール送信の際、対話希望日、希望時間をお書きください。折り返し、対話可能日をお知らせします。

費用は月末に 1か月分を指定口座(返信の際、お知らせします)に振り込んでください。
作品は、A判サイズのワード文書でお送りください。

お申し込み・問い合わせは、
yachisyuso@gmail.com


また朝日カルチャーセンター福岡でも、講座を開いています。
毎月第1、第3月曜日13時-14時30分。
〒812-0011 福岡県福岡市博多区博多駅前2-1-1
電話 092-431-7751 / FAX 092-412-8571

オンデマンドで以下の本を発売中です。

(1)詩集『誤読』100ページ。1500円(送料別)
嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で詩を書いています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072512

(2)評論『中井久夫訳「カヴァフィス全詩集」を読む』396ページ。2500円(送料別)
読売文学賞(翻訳)受賞の中井の訳の魅力を、全編にわたって紹介。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073009

(3)評論『高橋睦郎「つい昨日のこと」を読む』314ページ。2500円(送料別)
2018年の話題の詩集の全編を批評しています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168074804


(4)評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』190ページ。2000円(送料別)
『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073455

(5)評論『天皇の悲鳴』72ページ。1000円(送料別)
2016年の「象徴としての務め」メッセージにこめられた天皇の真意と、安倍政権の攻防を描く。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

 

 

問い合わせ先 yachisyuso@gmail.com

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自民党のキックバック問題

2024-03-31 21:41:26 | 読売新聞を読む

 自民党の裏金、パーティー券収入のキックバック問題。いまでは、だれもキックバック問題とは言わないようなのだが。2024年03月31日の読売新聞(西部版・14版)を見ながら(読みながらではない)、私は不思議な「フラッシュバック」に襲われた。
 見出しに「安倍派元幹部 離党勧告へ」。どうやら、安倍派の大物(?)を処分することで、問題にカタかつけようとしているのだが、ふと私の頭の中に蘇ってきたのが、田中首相の逮捕である。表向きは、やっぱり金銭問題。ロッキードから金をもらっていた。それを適正に処理しなかった。それからロッキード問題はさらに拡大もしたのだが。
 でも、田中が失脚したのは、ほんとうは金が原因ではない。アメリカがベトナムへの自衛隊派遣を要請したのに対し、田中は憲法をタテに拒否した。それを怒ったアメリカが田中を追い落とし、アメリカの政策をそのまま受け入れる首相に代えようとしたのである。田中が「汚れた金」を手にしていたことは、たぶん、だれもが知っている。田中が汚れた金でさらに金もうけをしていたことも、だれもが知っている。ほかの政治家も、数億の金をなんとも思っていないだろう。だれもが少なかれ汚れた金を手にしている。
 私が奇妙に思うのは、キックバックの問題が、だんだん安倍派崩しに動いて行っていることである。「政治資金規正法改正」という問題も動いてはいるが、それよりも自民党内の勢力争いの「地殻変動」のようなものが起きており、それが田中角栄事件を思わせるのである。すでに二階は次の総選挙に出ないと表明し、二階は「自民党処分」の対象外になったようだが、そういう追い落としの動きも、田中角栄、金丸信追い落としの動きに似ている。
 で。
 思うのは、アメリカがやはり裏で動いているのではないか。安倍よりももっと言うことに従うだれかを見つけた。もちろん、岸田のことである。しかし、その岸田が思うようにアメリカ政策を実行できない。岸田を邪魔するやつを追い落とせば、きっとうまくいく。そう考えて、動いているのではないか。
 いまのままでは岸田の支持率は下がりっぱなし。なんとか岸田を首相にしておくために、安倍派をたたきこわしてしまえ。安倍派の幹部に対する国民の批判も強い。ちょうど、田中が庶民宰相ではないとわかったときに、国民が田中を指示しなくなったように、安倍派の議員が金に汚い、権力を悪用しているという評判が高まれば、それを捨ててしまっても国民のだれも文句を言わない。いまが、安倍派をぶっつぶし、岸田政権を支えるチャンスだと「仕組んで」いるのではないか。
 「私は知らない」という安倍派幹部の主張をそのまま受け入れていたはずの岸田の姿勢の劇的な変化を見ると、アメリカが「お前を支えてやるから、さっさと安倍派をつぶしてしまえ」と言われているのではないかと、私は思う。

 春闘の賃上げや、物価の上昇もみんな同じだ。アメリカの都合である。日本の給料があがらなければ、アメリカの製品が日本で売れない。アメリカの製品を買わせるためには日本人の給料を上げる必要がある。ロシアのウクライナ侵攻も同じ。ロシアのガスやほかの製品がヨーロッパ市場を占めてしまったら、アメリカの製品がヨーロッパで売れなくなる。ロシアの製品を買わせないようにするためには、ロシアを戦争犯罪人に仕立ててしまえ、ということである。そのためにウクライナのひとが犠牲になろうが、ヨーロッパで物価が上昇しヨーロッパのひとが苦しもうが関係ない。アメリカの製品が売れて、アメリカがもうかればそれでいい。
 ロシアのウクライナ侵攻以後、円安はどんどん進んでいる。円安が進めば(ドル高が進めば)、アメリカ製品は日本では売れない。アメリカ製品を売るためには、日本人の給料が上がらないことにはむりなのだ。なんでもかんでも、アメリカの都合なのである。春闘の「満額回答」も経営者側の判断というよりも、アメリカから「社員の給料を上げないなら、お前の所からは何も買わないぞ」と脅された結果かもしれない。
 私は「妄想派」の人間だから、どんな可能性でも考えてしまうのだ。
 アメリカの強欲主義は「グローバリズム」の名を借りて、世界を支配している。一部では賃金の上昇を大歓迎しているようだが、そんなものは商品の値上げ(物価上昇)で消えてしまう。物価が上昇し、喜んでいるのは、アメリカの産業だけである。金もうけをするには、コストダウンをはかる方法と、値段を上げる方法がある。アメリカの商法は、もちろん値段を上げ、利潤を増やすというとても簡単な方法である。彼らは金を持っている。金が足りなくなったら、何度でも値段を上げて金を稼げばいいだけである。
 これが、いま起きていることではないのか。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする