墨象家 | 書家 | 木村松峯(峯子)のブログ shohokimura blog

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書家・かな642/従二位家隆

2018年04月21日 19時26分41秒 | かな

<釈文> かぜそよぐ ならのおがわのゆうぐれは みぞぎぞなつの しるしなりける

百人一首 第98番                      = 従二位家隆 =

<意味> 風がそよそよと、楢(なら)の葉に吹きそよぐ、楢の小川(上賀茂神社の前を流れる参

拝人が手口を清める御手洗川(みたらしがわ)。現在の京都市にある)の夕暮れは、もう秋のよう

な気配だけれど、ただ、夏越の祓(なごしのはらえ)のために行なわれている禊(みそぎ)が、い

まは夏なのだ、というしるしなんだなぁ。

という意味です。

<鑑賞> 夏越の祓とは、旧暦の6月末に行なわれる神事です。旧暦の6月は現在の7月にあたり

ますから、ちょうど梅雨も明け、湿度が高く暑い季節です。疫病や病害虫が発生しやすい時期なので、

人々の罪や穢れを神さまに祓って、清らかにしていただいたのです。禊とは、神事にかかる前に、水

で身を清めることです。いまでも、神社へお参りをするときに、お手水(ちょうず)で、手を洗った

り、口をゆすいだりするでしょう? それは、現在に残る禊の名残です。この和歌は、夏の夕暮れ、

少し秋の気配も感じられるようななか、しめやかに禊の儀式が行なわれている様子を詠ったものです。

『古今六帖』の「みそぎする ならの小川の 川風に いのりぞわたる 下に絶えじと(禊を行なう

楢の小川の川風に吹かれながら祈っています。わたしたちの恋が密かに続きますように、と)」と、

『後拾遺和歌集』の「夏山の楢の葉そよぐ夕ぐれは今年も秋の心地こそすれ(夏山のなか、楢の葉が

そよぐ夕暮れは、今年も秋が来たような気がするなぁ)」の二首を踏まえた本歌取り(ほんかとり)

しています。

<作者> 従二位家隆は、本名を藤原家隆(ふじわらのいえたか)といいます。第83番の歌人であ

る藤原俊成(ふじわらのしゅんぜい)に和歌を学び、この「小倉百人一首」を選んだ藤原定家(ふじ

わらのていか)と並び称されるほどの歌人でした。






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